土研ニュース

米国の橋梁等の専門家と東北地方太平洋沖地震の被災状況調査をおこないました


東北地方整備局表敬訪問(左が徳山局長,右がPhilip Yen博士)

桁が流出した歌津大橋の被災状況(上)と現場での議論の様子(下)



被災した橋梁に隣接して応急復旧橋の工事が進む小泉大橋
(※応急復旧橋は6月26日に開通)

 平成23年6月3日から6日にかけて,構造物メンテナンス研究センター(CAESAR)を中心としたメンバーは,米国連邦道路庁ターナ・フェアバンク高速道路研究センター地震災害軽減プログラムマネージャーのPhillip Yen博士を始めとした米国の橋梁及び地盤の専門家計6名と合同で東北地方太平洋沖地震により被災した橋梁の調査をおこないました。
この調査は,天然資源の開発利用に関する日米会議(U.S.-Japan Cooperative Program in Natural Resources = UJNR)の耐風・耐震構造専門部会の下に設けられた「作業部会G(交通システム,米側作業部会長:連邦道路庁Phillip Yen博士,日本側作業部会長:構造物メンテナンス研究センター 桑原徹郎橋梁構造研究グループ長)」の活動の一環として行われたものです。
 初日は,東北地方整備局を訪れ,徳山日出男局長への表敬訪問と,被災及び応急復旧等の対応状況の概要について説明を受けました。その後,ゴム支承が破断した仙台東部道路の高架橋と破断した支承を視察しました。
2日目は,津波により被災した国道45号の橋梁を中心に計5橋調査しました。最初に訪問した小泉大橋(気仙沼市)では,かつての街並みが想像できないほど荒涼とした光景に衝撃を受けたことから,犠牲になられた多くの方に黙祷を捧げた後に,流された橋桁や橋脚,桁の振動を小さくするためのダンパーの損傷状況などを調査しました。他に,桁や橋台背面土が流出した歌津大橋や二十一浜橋(南三陸町)なども調査しました。米国でもハワイ州やアラスカ州などで大きな津波の影響を受ける可能性のある地域があることから,橋梁だけでなく,周辺の家屋等もなくなり荒涼とした現場の状況をみて,あらためて津波の威力のすさまじさを感じるとともに,津波により橋桁が流出したメカニズム等について強い関心を示していました。
 3日目は,耐震補強対策がされた仙台市内の2橋(昭和53年宮城県沖地震の際には被災した橋)と,特に4月7日の余震により被害を生じた岩手県奥州市周辺の2橋を調査し,耐震補強対策の効果の確認や被災原因などについて意見交換しました。
 最終日は,ゲルバートラス橋である首都高速道路の荒川湾岸橋の損傷状況と,浦安地区の液状化による地盤や構造物の変状状況について調査しました。
 4日間にわたる調査の結果については,次回の橋梁ワークショップでとりまとめて発表する予定です。
結びに,改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに,被災された方々へお見舞い並びに一日も早い地域の復興を願っています。
謝辞:調査にあたって東北地方整備局,東日本高速道路(株),首都高速道路(株)の関係者の皆様に大変お世話になりました。ここに改めて謝意を表します。

(問い合わせ先:CAESAR)

「さくらの香り」千島桜並木の一般公開


未知の可能性を秘めた「千島桜」

昨年採取した種から発芽した苗

多くの方々が千島桜を楽しまれました

 寒地土木研究所では、平成11年から毎年札幌のソメイヨシノより一足早く開花する千島桜並木約200本の見頃に合わせて、構内を一般開放しています。
今年は5月2日から11日までの10日間、雨天が多かったにも関わらず、新聞やテレビ中継で紹介されたこと等もあり、昨年に引き続き12,000人を超える方々が来所されました。
 千島桜は、その名の由来でもある千島列島からサハリン、北海道の東部や北部を中心に、本州では中部以北の亜高山帯にまで自生しており、他の桜とは違い、樹高が低く、一般的には根元から枝分かれして横に広がる特徴があります。また、花の色や樹形に個体変異が多く、極めて個性の強い品種でもあります。実際、研究所にある千島桜も、大小様々色とりどり、その全てが個性的なものばかりです。
 ところでこの千島桜、もう一つの特徴について、この一般公開へ来られていた地方独立行政法人北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場の研究員の方に伺うことができました。それは「香り」です。一般的に桜の花には香りがないと言われていますが、この千島桜は、花に顔を近づけるとふんわり心地よい香りを楽しむことができます。この香りについては、まだ本格的な研究が始まったばかりとのことで、今後、私たちがまだ知らない新しい発見があるのかもしれません。
 また昨年には、集めた種から苗を育てる試みも始めてみました。そもそも桜を種から育てるのは、温度管理などで一手間も二手間もかかるものではありますが、この1年間丁寧に見守ってきた結果、この春に小さな芽を見つけることができました。
 これからも「千島桜並木のある研究所」として、たくさんの皆さまとお会いできることを、職員一同お待ちしております。


(問い合わせ先:寒地土木研究所 企画室)

   

次世代型下水汚泥焼却炉「過給式流動燃焼システム」が実用化へ
~ 大幅な省エネ化と温暖化ガス排出削減を両立させる新しい焼却炉 ~


「従来型システム」

「過給式流動燃焼システム」

燃焼炉を加圧流動炉とし、その後段に過給機(ターボチャージャー)を設置。
電力を消費する流動ブロワおよび吸引ファンが不要となる

実証炉本体の状況
(北海道長万部町下水処理場内)

 土木研究所、産業技術総合研究所、月島機械株式会社、三機工業株式会社が共同研究により開発した次世代型の下水汚泥焼却炉である「過給式流動燃焼システム」が、東京都下水道局葛西水再生センターにおける下水汚泥焼却設備として採用され、実用化されることになりました。

過給式流動燃焼システムの特徴
 本システムは、従来型の下水汚泥流動焼却炉に汎用の過給機(ターボチャージャー)を組み合わせて構成されています。下水汚泥を加圧条件下で燃焼することにより炉本体をコンパクトにするとともに、燃焼時の排ガスにより過給機を駆動して、得られる圧縮空気を燃焼空気として活用することにより、従来必要であった流動ブロワと誘引ファンを省略しました。これにより、約40%の電力消費量の削減が可能となりました。さらに、加圧燃焼下で炉内に高温域が形成されることで、温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)を従来型の高温焼却(850℃)と比較して約半分に削減することも可能で、地球温暖化問題解決への貢献が期待される燃焼システムとなっています。

開発の社会的背景
 国内の下水汚泥の発生量は年々増加しており、その大部分は焼却処理されています。汚泥焼却には多量の化石燃料(重油や都市ガス、電力)を必要とするため、焼却プロセスの省エネルギーおよび温暖化ガス削減対策が必要でした。

 そこで、北海道長万部町内の終末処理場に、5t/日規模の実証プラントを建設し、2000時間以上の安定運転を達成しました。
本システムについては、平成23年2月に東京都下水道局の発注工事を月島機械(株)が受注し、平成25年度末には東京都の葛西水再生センターにおいて300トン/日規模の施設が完成する予定です。


(問い合わせ先:リサイクルチーム)

  

第6回日韓建設技術ワークショップを開催しました


全体会議出席者

全体会議の状況

土木研究所内の施設見学

分野別会議の状況

 土木研究所と韓国建設技術研究院(KICT)は研究協力協定を結んでおり、このたび2011年6月28日~7月1日の期間で第6回日韓建設技術ワークショップを開催しました。当ワークショップは、今から11年前の2000年4月に第1回のワークショップを開催し、当初は、「コンクリート構造物」及び「斜面管理」を具体的な研究協力分野としてスタートしました。その後2002年11月の第3回ワークショップにおいて、「舗装管理」、「河川環境復元」、「水文観測」、「水質モニタリング」の4分野が加わりました。また、今回のワークショップから、新規検討分野として、「橋梁の維持管理」、「土壌汚染」、「情報化施工」が設けられ、9つの分野で情報交換や意見交換等が行われました。当ワークショップについては、これまで研究交流が一時中断した時期もありましたが、建設技術に関する両国を代表する研究所として情報交換や研究者の交流を行ってきました。
 今回のワークショップでは、6月28日の午前に全体会議を土木研究所別館8階の国際会議室で開催し、午後に土木研究所内の施設の見学を行った後、各分野における分野別会議を開催しました。
全体会議においては、土木研究所魚本理事長、韓国建設技術研究院Bae院長職務代行の挨拶の後、土木研究所大石理事による「東日本大地震における土木施設被害の調査報告」、韓国建設技術研究院Lee対外協力情報処長による「韓国建設技術研究院の研究概要」、土木研究所野口研究調整監による「第3期中期計画における土木研究所の研究概要」の紹介等がありました。
 土木研究所の施設見学では、ダム水理実験施設、大型構造部材万能試験機、三次元大型振動台、大型動的遠心力載荷試験装置の4施設を見学し、午後の分野別会議においては、9つの分野が7会場にわかれて意見交換・討議等が行われました。
また、6月29日~7月1日にかけて、福島県の地表地震断層や地すべり発生箇所、滋賀県の近江大橋、アスファルト合材等の工場の視察、釧路川自然再生事業、利根川上流及びダム等、各分野で現地調査が実施され、分野別会議においてだけでなく、現地調査を通じて各分野において活発な意見交換等が行われました。
 6月29日午後には、土木研究所及び韓国建設技術研究院幹部による次回に向けた打ち合わせを行いました。来年度韓国で第7回を開催すること及び今回新規の3分野(「橋の維持管理」、「土壌汚染」、「情報化施工」)については土木研究所と韓国建設技術研究院の研究協力協定の中に正式に含めるかどうかを今回のワークショップでの議論等を元に今後判断することとしました。

(問い合わせ先:河川生態チーム)

           

アジア開発銀行との連携プロジェクトが進んでいます


大変な水上生活者(コンポンチュナム付近)

(画像をクリ
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 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)はアジア開発銀行(ADB)1)との連携協定に基づき、バングラデシュ、インドネシア、メコン河下流域(ラオス、カンボジア、ベトナム)での水災害リスク低減のための技術支援をADBの資金を用いて実施しています。
 今回、メコン河下流域におけるプロジェクトの進捗状況をご紹介します。
 当地域における技術協力では、水災害のリスクを把握するための洪水脆弱性指数(FVI)の策定が主な目的となっています。FVIは降雨によって発生する洪水が現在の地形条件でどのように氾濫する可能性があるのかという物理要素(Physical Component: PhC)と、住居形態や貧困状況といった社会要素(Social Component: SoC)によって表現されます。
ICHARMではPhCを計算するためにICHARM Hydro-Geo Method(ICHARM水文地形法)を提案し、カンボジアの洪水域に対して試行しました。ICHARM水文地形法のキーコンセプトは、メコン河下流域の地形である大規模なデルタなどの緩慢な微地形を表現することにあります。
 2011年4月、田中グループ長と三宅上席研究員はカンボジアを訪れ、メコン河委員会2)事務局に対してIHGMの説明を行いました。
 2011年6月、ICHARMの三宅、郭、日比野の3名をカンボジアへ派遣し(写真)、PhCを計算するのに必要な現地調査を実施しました。
 同じ2011年6月、経済社会世帯調査がKampong Thom, Kandal, PreyVeng州で実施されました。480の世帯を対象とする調査と48の村を対象とする調査は、無事に終了しました。この調査はADBが業務委託をしたコンサルタントを中心として行いました。
 今後、現地調査を行って確認されたPhCとSoCを考慮し、FVIを策定する予定です。
 このFVIは、どこでどのような水害防止の投資がどのぐらいの期間で必要であるかを現地国行政府において合理的に判断できる指標となることが期待されています。

1)1966年にアジア・太平洋諸国により設立されました。現在の加盟国はアジア・太平洋地域の48 ヵ国を含む67 ヵ国です。加盟国からの出資金によって運営され、日本はアメリカと並ぶ最大の出資国となっています。
詳しくは以下のURLをご参照ください。
http://www.adb.org/
2)1995年にカンボジア、ラオス人民民主共和国、タイ王国、ベトナム社会主義共和国4カ国間で結ばれた「メコン河流域の持続可能な開発のための協力協定」にもとづき、メコン川流域の水と関連する資源の持続可能な開発、利用、管理および保全のすべての分野で協力する組織として設立されました。
詳しくは以下のURLをご参照ください。
http://www.mrcmekong.org


(問い合わせ先:ICHARM)

   

国際シンポジウム「雪の物理学・化学・力学」に参加しました


セルゲイ博士による基調講演

スイスSLF(雪・雪崩研究所)のSchneebeli博士によるX線を用いた観測結果を基にした積雪変態に関する研究成果の発表

ポスターセッションにおけるディスカッション

ロシア科学アカデミー極東支部見学
(サハリンで発生した雪崩に関する資料の説明)

 ロシア連邦ユジノサハリンスク市において6月13日から16日に、国際シンポジウム「雪の物理学・化学・力学」が開催されました。このシンポジウムに土木研究所から、雪崩・地すべり研究センターの伊藤と池田、雪氷チームの松下の3名が参加しましたので報告します。
 このシンポジウムは、雪氷に関する唯一の国際学会であるInternational Glaciological Society(国際雪氷学会)が主催するもので、ロシア科学アカデミー極東支部極東地質研究所、ロシア連邦サハリン州政府等の協力によって開催されました。このシンポジウムは、各国の雪氷研究者が集まる場であるため、研究内容を広くアピールすることができる上、関連分野における各国の最先端の研究動向を把握することができます。
 シンポジウムの目的は、雪崩等の雪氷災害を含むあらゆる雪氷現象を支配する「雪の物理学・化学・力学」といった基礎的な研究について、今日までの成果を評価・整理し、今後の発展の可能性について議論するというものです。シンポジウムには、5カ国から約40人が参加し、口頭発表とポスター発表合わせて43件の発表がありました。
 冒頭、モスクワ大学雪崩・土石流研究所のセルゲイ博士と、北海道大学名誉教授の前野博士から基調講演がありました。前野博士の講演では「伝統的ではない雪氷物理の応用。氷の摩擦、雪崩、鳴き雪そしてカーリング」と題して、雪崩、鳴き雪、カーリングなど身近な雪氷現象を基礎的な雪氷物理によって説明されました。この講演はユニークで興味を引くものであると同時に現象を理解する上で基礎的な研究がいかに重要であるか再認識させるものでした。
今回もっとも注目された研究発表は、MRIやX線を用いた積雪の微細構造の新しい観測技術を利用した研究成果です。これらの観測技術は、積雪の変態や破壊等、様々な基礎研究に飛躍的な発展をもたらす可能性を持っています。それらは、雪崩防災等の応用的な研究へも波及すると考えられるため、今後も注目し続ける必要があります。
 土木研究所からは、雪崩・地すべり研究センターの伊藤が「積雪が含水した後の強度の時間変化に関する研究成果」を、池田が「降雪結晶弱層の特性に関する研究成果」を、寒地土木研究所雪氷チームの松下が「新雪のせん断強度の時間変化に関する研究成果」を、それぞれ発表しました。
なお、シンポジウムの詳細については、http://snowphysics.fegi.ru/en/main.htmlをご参照ください。


(問い合わせ先:雪崩地すべり研究センター)

 

防潮堤等が津波被害を軽減した事例(北海道浜中町)


1960年のチリ沖地震による津波被害の状況
(浜中町役場提供)


防潮堤等の施設整備の概要

津波襲来時の状況(3月11日16時30分)
(浜中町役場提供)


津波襲来後の防潮堤外の様子(3月15日撮影)

1.はじめに
 北海道では、戦後だけでも、十勝沖地震(1952)や、 チリ沖地震(1960)、北海道南西沖地震(1993)等で津波による大きな被害が発生しています。このため、北海道南西沖地震で被災した奥尻町やせたな町、十勝沖地震やチリ沖地震で被災した浜中町などで、津波防災施設が整備されています。3月に発生した東日本太平洋沖地震では、東北地方の太平洋側を中心に、多くの海岸堤防や津波防波堤等が破壊され、ハード整備の限界が指摘されていますが、もとより、海岸堤防等の施設整備は、ソフト対策と合わせて進めていくべきものです。このような観点から、防潮堤等が機能を果たし、市街地の浸水を防いだ事例として浜中町を紹介します。なお、寒地土木研究所道東支所は、地震発生後に、寒冷沿岸域チームと北海道東部の太平洋沿岸で現地調査を実施しており、本紹介は、浜中町での現地調査や浜中町役場への聞き取りに基づいて作成したものです。


2.防潮堤等の施設整備の概要
 浜中町は過去に度重なる津波被害を受けたことから、総延長18km・高さ3m(海抜5.3m)の防潮堤、4基の水門、5基の陸閘(りくこう)が整備されています。さらに、2001年には、北海道で唯一の津波防災ステーション1)が整備され、水門と陸閘の開閉を遠隔操作で行うことが可能となりました。


3.防潮堤等の施設整備の効果
 気象庁の発表2)によると、浜中町では3月11日15時27分に津波の第1波(引波)が、同日22時19分には最大波高2.6mの津波(潮位3.42m)が水門付近の潮位計で観測されました。また、陸閘付近のCCTVカメラには、津波が防潮堤の高さのぎりぎりまで達した様子が記録されていました。
写真(16時30分に町内の高台より)撮影時の津波の高さは、気象庁の発表では2.0mでした。写真を見ると、防潮堤で守られた市街地は浸水を免れていることが分かります。一方、防潮堤の外側(海側)では、建物の浸水や船舶の流出が写真で確認できます。


4.おわりに
 防潮堤等の施設整備は、防災計画で設定した高さまでの津波や高潮に対して人命と財産を守る非常に重要なハード対策です。浜中町では、ハード対策のみならず、ソフト対策として、防潮堤外の居住用建物の建築制限、津波ハザードマップの全戸配布、避難経路等の整備、避難訓練、町内の小・中・高校生を対象とした勉強会の実施なども行っており、今回の地震でもこれらの取組が活き、北海道内の市町村で3番目に高い避難率を記録しました。3)
最後に資料を提供していただいた浜中町役場に感謝を申し上げます。


5.参考・引用文献
1)国土交通省ホームページ:北海道浜中町津波防災ステーション
http://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/kaigan/gaiyou/panf/station/hokkai.pdf
2)気象庁ホームページ:防災気象情報
http://www.jma.go.jp/jp/tsunami/observation_04_20110313180559.html#text

3)北海道総務部危機対策局危機対策課 (2011) 市町村が避難所等で避難を確認した人数の状況(2011年3月15日現在)

【陸閘(りくこう)】堤防よりも海側にある施設を利用する人や車両が通行するために設ける門扉

(問い合わせ先:寒地土木研究所 寒地技術推進室道東支所)

 

第5回洪水管理国際会議(ICFM5)が2011年9月27-29日に土木研究所ICHARMの主催により、東京で開催されます


ICFM5お知らせ(1面)



ICFM5お知らせ(2面)

洪水管理に関する国際会議について
 この会議は、洪水管理に特化して、定期的に開催されている世界で唯一の国際会議です。
会議には、技術者をはじめ、政策立案・決定、医療、災害管理など各分野に携わる現場実務者や研究者が一堂に集い、洪水管理の様々な側面に関してアイディアや経験を共有する絶好の機会になっています。
これまでに過去4回次のような都市で開催されてきました。2000年カッセル(ドイツ)、2002年 北京(中国)、2005年 ナイメーヘン(オランダ)、2008年 トロント(カナダ)。
 今回の会議では、「Floods: From Risk to Opportunity(洪水:リスクから好機への転換)」を全体テーマとしています。洪水がもたらす状況を総合的に利用するにはどうするか、洪水がもたらすリスクにどう対処するか、洪水にどう備えるかを総合的に理解しようという方向性を反映したテーマ設定になっています。

会議の準備状況
 表記会議に向け、発表論文要旨の募集を実施しましたところ、事務局が設定した5つのテーマ全てにわたり、世界50か国から396件という多くの応募をいただきました。投稿要旨はICFM5国際科学技術委員会が厳正に審査した後、採択された要旨執筆者に口頭もしくはポスターによる発表採択の旨、通知いたしました。

会場変更‐東京での開催が決定‐
 当初つくばにおいて開催を計画しておりましたが、交通利便性等を考慮し、会議開催会場を都内へ変更しました。会議初日(27)は青山表参道からほど近い国連大学、2・3日目(28・29)は秋葉原UDXが会場となります。
*詳細は以下のICFM5のウェブページをご覧下さい。
http://www.ifi-home.info/icfm-icharm/Conference-Venue.html

巨大水災害に関する国際フォーラム開催(9月27日/国連大学)
 本年3月11日に発生した東日本大震災により大きな被害をもたらした津波など巨大水災害をテーマとする国際フォーラムをICFM5のプログラムに追加しました。近年非常に関心の高まっているテーマでもあることから、国内外から大臣級の政府関係者にもご出席いただく予定です。

ICFM5 参加費

参加費 

全日参加 35,000
1日参加 15,000
同伴者 15,000


 全日参加費には、テクニカルセッション参加費、コーヒーブレイク、ウェルカム・パーティ、昼食、論文概要集、会議記録(CD)を含んでいます。また、いずれの参加方法においても学生は5割引で参加することができます。さらに詳しいことはICFM5のウェブサイトをご覧ください。

(問い合わせ先:ICHARM)

「つくばちびっ子博士」を7月29日に実施します


昨年の施設見学の様子(試験走路)

ダム水理実験施設

3次元大型振動台

 3月11日の地震により研究施設の一部が被災し、例年4月に行われている一般公開は中止としましたが、毎年開催している「つくばちびっ子博士」については、実施することとしました。7月29日(金)に、国土技術政策総合研究所と合同で実施します。
 つくばちびっ子博士とは、つくば市・つくば市教育委員会が主催する全国の小中学生を対象とした一般公開で、つくば市内にある研究機関等において小中学生に科学技術や自然科学に触れてもらい、科学に対する関心を高めて夢や希望に満ちた未来を考えてもらうことを目的とした科学教育推進事業です。また、見学した施設数や感想文の提出によって、つくば市教育委員会が「つくばちびっ子博士」の認定をします。
 昨年度は36の研究機関等が参加して、延べ62,282名(前年比9.8%増)が参加した人気のある事業として定着し、見学者は年々増加しています。土木研究所では、構内を循環するバスがほぼ満員の状態で474名(前年比17.3%増)が見学しました。
 今年の公開内容は、ダム水理実験施設・振動実験施設の見学と試験走路での高速走行乗車体験です。
実験施設では、各々の研究員から、実験の内容や研究の成果についての説明を受けながら実験施設を見学し、試験走路ではバスで走りながら、施設全体の説明を受けた後、バンクの傾斜や高速走行を体験していただきます。
 見学バスは予約制で事前にインターネットで予約する必要があります。申し込みをされる方はこちら


※公開施設や内容は変更する場合がありますのでご了承願います。


(問い合わせ先:総務課)