研究成果の紹介

高速道路の舗装を丈夫にする!
〜積雪寒冷地用の耐久性の高い表層混合物の開発〜

写真-1 高規格幹線道路に発生した

舗装の破損

図-1 きめの深いSMAの特徴

(クリックすると拡大します)


写真-2 雨天走行時の水けむりの発生状況

加速車線の密粒度アスコンに比べて、走行

車線のきめの深いSMAでは水けむりが発生

していない。(クリックすると拡大します)


1. 積雪寒冷地における高規格幹線道路用表層混合物の課題

  高規格幹線道路の舗装表層の材料として、安全に高速走行できるように、すべりにくく、水はけの良い排水性舗装が多く使われています。しかし、積雪寒冷地では、長く使用された排水性舗装の区間の多くで、タイヤの走行部や橋のジョイント部などに、ポットホールと呼ばれる穴ボコ、ひび割れ、舗装表面の材料が飛散するなどの破損が多数発生し(写真−1)、走行性が悪くなったり、その補修のための費用が大きくなるなどの問題が起こってきました。


2.積雪寒冷地用の高規格幹線道路用表層混合物の開発

  そこで、高規格幹線道路に必要な高速走行時の安全性能を確保しながら、壊れにくい耐久性の高い舗装材料の開発を行っています。

  これまでの研究から、耐久性の高い砕石マスチックアスファルト舗装(SMA)という舗装材料を用いて、すべりにくさや水はけに有効な舗装表面のきめを深くした「きめの深いSMA」が最有力の舗装材料と考え、高規格幹線道路への適用性について、室内や試験走行路での試験や実道での試験施工などにより検討を行ってきました(図−1)。

  その結果、@雨天走行時のドライバーの見やすさに影響する水けむりの発生を抑制する効果がある(写真−2)A夜間、対向車のライトの路面反射も抑制する効果があるB冬期のブラックアイスバーンが発生しにくいC排水性舗装に比べて表面材料の飛散が少ないことなどを確認し、きめの深いSMAは、排水性舗装と比較し排水機能は低いものの、それ以外の性能は、ほぼ同等の機能を有し、耐久性に優れるなど、高規格幹線道路の舗装材料として期待した効果が得られることがわかりました。

  今後は、実道での試験施工箇所を増やしながら、長期的な耐久性を検討していく予定です。



(問い合わせ先:寒地土木研究所 寒地道路保全チーム)