軟弱な土を盛土材として活用する技術
河川の治水対策として、洪水を安全に流下させるために河道掘削(川の底等を削って、川を深く・広くすること)が全国で進められています。その際に多量の土砂が発生しますが、資源の有効利用の観点から、堤防盛土の材料として使用されることが多々あります。その発生した土砂が堤防盛土に適したものであれば、問題なくそのまま使用できますが、水を大量に含んだ軟弱な粘土など(不良土)の場合では、そのままでは施工に適用することができません。そこで、不良土を堤防盛土に適した材料へと改良する技術として開発されたのが「固化破砕土」です。
固化破砕土とは、図-1に示すように、不良土に固化材(主にセメント等)を混合し、放置して不良土と固化材を反応させた後、固まった不良土(固化土)を破砕し、普通の土砂のようにしたものです。これにより堤防盛土材料として、敷き均しや転圧など、通常の施工への適用が可能になります。
固化土の盛土材料としての使用は昔から行われていましたが、不良土を施工できるまでに含水比(土の重さに対する間隙水の重さ)を下げるには固化材が大量に必要になり不経済になり得ること、またその結果、時間の経過とともに過剰に固くなり、基礎地盤が軟弱な場合には圧密沈下の変形に追従できず盛土にひび割れが発生してしまい、堤防としての機能を満足しないことがある(図-2)、などの問題がありました。固化破砕土はこれらの問題を解決する一つの技術となります。
北海道に分布する泥炭(含水比が600%程度の不良土)を固化破砕土として利用することが可能かどうか、固化土と固化破砕土では必要な固化材量はどれくらい違うのか、寒地地盤チームで試験を行いました。そこではこの泥炭の固化改良の強度目標を、普通ブルドーザが走行できるコーン指数(先端が尖った棒を押し込むのに必要な力)で500kN/m2、盛土の安定性を確保できる強度として7日養生後の一軸圧縮強さ(円柱の土を上から押して壊れるときの力)で150kN/m2と設定し、結果として図-3を得ました。固化土の場合、目標のコーン指数を得る固化材量は100%以上、目標の一軸圧縮強さを得る固化材量は22%以上でした。よって両方を満足するために必要な固化材量は100%以上ということになります。一方、例えば放置日数1日で破砕して作製した固化破砕土の場合、目標のコーン指数を得る固化材量は38%以上、目標の一軸圧縮強さを得る固化材量は45%以上でした。よって両方を満足するために必要な固化材量は45%以上ということになります。固化破砕土とすることで固化土の半分以下の固化材量で済むことになります。
このように合理的な盛土材料に関する技術として、固化破砕土は様々な場面で活躍が期待されます。以下の文献も参考になりますのでご一読ください。
(参考文献)
・佐藤厚子,山木正彦,林宏親,廣瀬純司,山崎智弘:固化破砕土による試験盛土の強度特性,
第16回地盤改良シンポジウム論文集,pp.544-549,2024.
https://thesis.ceri.go.jp/db/files/1615447123672993b50eeb8.pdf
・佐藤厚子:固化破砕土について,寒地土木研究所月報,No.849,pp.47-51,2023.
https://thesis.ceri.go.jp/db/files/715750806651e60a19ecda.pdf
(問い合わせ先 : 寒地土木研究所 寒地地盤チーム)



