新潟試験所ニュース

【試験地紹介シリーズ No.7(大所地すべり観測地)】
写真−1 大所地すべり全景
写真−1 大所地すべり全景

 大所地すべりは、一級水系姫川の合流地点から約1q西の大所川沿いに位置します。写真−1は大所地すべりの全景写真を示します。
 大所川とその流域は、糸魚川−静岡構造線の西側近傍に位置しており、山体の深部まで破砕が進んでいるため、大規模な崩壊地や地すべり地が多く分布しており、このような地質構造により大所川本流や支流では、しばしば土石流が発生しています。過去(昭和42年5月)には大所川を堰止め、天然ダムを形成するほどの大規模な崩壊が発生するなど、破砕された流域特有の大規模な崩壊と、それに伴う土石流災害を発生させるポテンシャルを持つ流域のため、砂防施設を配置することが急務となっています。そこで土砂災害防止のため建設省北陸地方建設局松本砂防工事事務所と新潟県糸魚川土木事務所により、砂防事業が実施されています。大所地すべりは、大所川右岸に位置する大規模な活動中の地すべりであり、砂防事業を進める上で障害となっています。また、平成7年7月には豪雨があり、大規模な水害(7.11水害)が発生しました。この豪雨により大所川が増水し、地すべり末端部が侵食されましたが、これまでにない大きな移動を観測しました。

図−1 大所地すべり平面図
図−1 大所地すべり平面図

 しかし、平成8年11月に災害関連地すべり緊急対策事業が竣工したことから、地すべり移動の抑制が期待されています。
 大所地すべりの平面図を図−1に示します。当試験所では、この中で地表移動量測量と地すべり観測を行っています。地表移動量観測はトータルステーション(以下TS)測量により平成元年度から継続しています。
 平成8年度からは、GPS測量とTS測量の両工法による混合方式を用いて、継続して地表移動量観測を行っています。この混合方式の利点は、GPS測量の高精度な座標や方位角の決定能力により骨格を形成し、その成果を基に利便性を有したTS測量を用いることにより、観測結果をより充実することができます。
 また、地すべり観測は縦型伸縮計と埋設型傾斜計を用いて、観測を行っています。
 これらの調査結果を基に大所地すべりの移動特性を把握し、今後の砂防事業に資するものです。また、調査成果は、第35回地すべり学会論文集等にも発表されています。

(文責:飯田)

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