新潟試験所ニュース

写真−1 定点観測と道路状況
写真−1 定点観測と道路状況

2 冬期道路の路面性状と車両速度に関する一考察

(1) はじめに
 本研究は冬期道路における各種障害要因について分析を行い、路線重要度を加味した冬期路面管理水準を策定することを目的としています。これを念頭において、本観測では雪氷路面性状が道路交通に及ぼす影響とその実態を把握するために気象、交通および凍結検知装置に基づく路面性状の定点自動観測とすべり測定車による縦すべり摩擦係数,光屈折式塩分濃度計による残留塩分濃度の現地詳細観測(合計:6回,観測累計時間:142時間)を行いました。本稿では、現地詳細観測期間のデータを対象として路面性状と平均速度、10分間集計台数の関係について報告します。


図−1 路面状態別の10分間集計台数と平均速度の関係
図−1 路面状態別の10分間集計台数と平均速度の関係
(対象:現地詳細観測機関合計6回、計142時間)

(2)定点自動観測概要
 本観測は、1998年12月3日から1999年3月23日までの111日間、新潟県中頸城郡妙高高原町二俣地先における一般国道18号上り線で定点自動観測を行いました。観測項目は気象観測(気温、湿度、風向風速、上下各短波・長波放射量、雨雪量、視程距離、降水強度)、路面観測(路面温度、路面の水分、積雪の有無)及び交通観測(平均速度、10分間集計台数)です。道路は本観測地点を起点として上下線1kmの区間に交差点がなく信号の影響を受けない単路部です。
 なお、本観測で用いた凍結検知装置は「乾燥」、「湿潤」、「凍結」、「積雪」の4状態に判別分類している。この内「乾燥」、「湿潤」、「積雪」の3状態については路面に照射した赤外線の正反射と乱反射の比率(反射比率)から分類しました。しかし「湿潤」と「凍結」の区分は路面反射比率のみでは困難であるため気温、路面温度を加えて論理判別している。本観測では路面反射比率が0.5〜0.95で気温2℃以下、路面温度1℃以下を「凍結」と判定するように設定しました。

(3)定点自動観測結果および考察 (路面性状と平均速度、10分間集計台数の関係)
 凍結検知装置によって分類された路面状態別の10分間集計台数と平均速度の関係を図−1に示す。この図より10分間集計台数が多くなると平均速度が低下する傾向にあり、平均速度は、乾燥状態および湿潤状態が同レベルで高く、次いで凍結状態、積雪状態の順に低くなっているのがわかります。また、観測期間平均速度は乾燥状態および湿潤状態で61km/h、凍結状態で56km/h、積雪状態で46km/hであり、乾燥状態を基準とした場合、凍結状態で約1割、積雪状態で約3割の速度低下が見られます。また、積雪状態の平均速度が30km/h以下に速度低下しているのは2月3日の8時から17時までの大量降雪(最大時間降雪量:19cm/h)に起因しています。

(4) おわりに
 本観測地点は道路管理上、凍結防止剤(塩化ナトリウム)の散布が行われており、これによる氷点降下に伴う路面温度低下の影響がありますが、この効果を凍結判別条件に組み込んでいないため路面状態判別が十分とはいえません。また、積雪状態の判定についても路面圧雪表面の凍結状態を判別し分類することを今後の課題としています。

(文責:荒川)
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