新潟試験所ニュース

【試験地紹介シリーズbX(長野県黒菱地区)】
写真−1 試験地全景及び近景
写真−1 試験地全景及び近景

 建設省では、昭和60年に雪崩対策事業を創設し、全国の豪雪地帯における雪崩危険箇所を対象として鋭意対策の推進を図っているところです。
 近年、コスト縮減や環境問題、施工性向上に配慮した対策構造物の施工が望まれています。鉛直型雪崩予防柵はこれらを満たす構造物として採用施工されつつありますがまだ設計のための基準が確立していません。
 そのため、新潟試験所では長野県の協力を得て平成7年度より長野県白馬村黒菱地区において長野県が施工した鉛直型雪崩予防柵を利用し、λ型雪崩予防柵の雪圧算定方法と比較検証を行うための基礎資料を収集するための調査を行っています。
 長野県白馬村黒菱地区は、北アルプス八方尾根の標高1,490m八方尾根スキー場の中央上部に位置します。

写真−2 受圧板設置状況
写真−2 受圧板設置状況

八方尾根スキー場は、平成9年2月今世紀最後の冬期オリンピックが開催されアルペンスキーの滑降、スーパージャイアントスラロームそして日本中が湧いたジャンプの舞台となったところとしても有名です。調査地は滑降コースの北側38度の斜面にあります。観測箇所は、高さ4mの鉛直型雪崩予防柵が1段、11基、延長55m及び高さ6mの鉛直型雪崩予防柵が8段、93基、延長465mが施工されています。
積雪期は、12月初旬から5月下旬までと長期間にわたっており、積雪深も5〜6mと多く調査地としては最適な箇所です。
 調査方法は、雪圧の鉛直分布観測を行うため、高さ4mと6m鉛直型雪崩予防柵を対象とし、かつ設置箇所斜面が同一地形に近い状態の場所を選定し、鉛直型雪崩予防柵の山側に受圧板(0.5×0.85m,厚さ9mm)を縦方向に設置し(写真−2参照)、1受圧板に3個のロードセルを設置、それぞれの受圧板にかかる雪圧を計測するものです。また、積雪各層の密度と層厚、層構造等を計測観測するため積雪断面観測も行っています。
 また平成10年度より鉛直型雪崩予防柵を施工している北海道、青森、秋田、山形、長野、岐阜各道県と共同で雪質、地形、地被等の異なる地域での雪圧調査も開始しました。今後各地の調査データを解析し雪圧分布状況等を把握し鉛直型雪崩予防柵の設計基準の確立を図って行きたいと思います。

(文責:佐藤)
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