新潟試験所ニュース |
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1.はじめに
毎年融雪期には、全層雪崩による土砂の巻き込みや河川水の濁度増加など土砂の生産・移動現象が観察されます。これら積雪の影響については、雪食作用による崩壊地の変遷、雪崩地形の特徴や分布、浸食量など全層雪崩に関するものや、融雪水による土砂流出などの研究事例があります。 2.調査対象流域の概要と地形的特徴
新潟・長野県境に位置する苗場山の西麓にある信濃川水系中津川支流硫黄川(流域面積13.2km2)・小赤沢川(同7.8km2)および中津川左岸にある鳥甲山東斜面の白沢を調査地に選定しました(図1)。 |
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写真−1 鳥甲山東斜面(白沢)の状況(H14.4) |
3.調査内容 融雪期(4〜5月)に空中写真撮影を行い、判読により全層雪崩の発生や土砂生産状況の広域的な把握を行いました。硫黄川・小赤沢川の流域内では、南北方位の裸地・崩壊地で12斜面を選定し、斜面浸食量、積雪グライド量の実測を降雪前と消雪後に実施しています。 また、浸食の活発な鳥甲山東斜面の白沢では、最上部の堰堤を基準に上流側において河川縦横断測量や全層雪崩のデブリに含まれる浸食土砂量の計測を行っています。
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4.調査結果
4.1 広域的な土砂生産状況 4.2 全層雪崩による浸食量 4.3 積雪期における恒常的な土砂生産
5.まとめ 当地においては、植生のない裸地や崩壊地において、積雪の存在だけで101〜100 mm程度浸食されており、一般的に言われている降雨による裸地の年間浸食量と同程度で、期間中は非積雪期と同程度以上の寄与度でした。全層雪崩の発生箇所ではより多くの土砂を生産していますが、これは雪崩地形・崩壊地上で毎年繰り返し発生します。土砂生産や流出に積雪が関係する事象として、他に雪泥流や融雪出水、積雪期間中の大雨による生産が考えられますが、いずれも情報は断片的で、積雪地においてはこれらを含め、積雪期間中の時系列的な動態の検討が課題です。 (参考文献) |
(文責:秋山) |
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