研究の紹介

セメント混合土の品質管理に関する研究


セメント混合土製造の様子

提案する品質管理方法

(左)@乱さないコアの採取
(右)A土の剛性(反発力)の計測

 (研究の背景)
 工事現場では軟弱な土が大量に発生しますが、セメントを混ぜて固化することで、宅地の基礎や盛土として日本全国で有効利用されています。しかしながら、セメントによる固化強度がどのくらい出ているか、品質のばらつきはどのくらいか、といったことを現場で正確に計測し管理する方法は、現在確立していません。
 そのため、施工技術チームでは「工事現場で直接セメントの固化強度を計測し、評価する管理方法の確立」を目的として、管理技術と評価方法に関する研究を行っています。

(提案する管理方法)
 施工技術チームでは、有効な方法として、@特殊な機械でセメント混合土を乱さないように採取し(乱さないコア)、固化強度を測定する方法と、A土の剛性(反発力)を計測するセンサーを用いる方法を組み合わせることで、セメント混合土の品質管理を行う方法を提案しています。乱さないコアを採取する特殊な機械は、施工技術チームで独自に開発したものです。
 @の方法は、正確な固化強度が分かりますが、たくさんのデータを取るには、手間と時間がかかります。Aの方法は、手間をかけずに、たくさんのデータを取ることができますが、個々のデータの信頼性が低く、また剛性データを固化強度に変換する必要があります。お互いの欠点を補うことで、セメント混合土の強度をより正確で効率よく知ることができると考えています。
 現在、各工事現場でデータを集めて、より良い管理方法へと改良を重ねているところです。



問い合わせ先:施工技術チーム

鋼構造物塗装のVOC削減に関する研究

     

VOCは光化学スモッグの原因です

促進劣化試験(複合環境腐食試験機)

屋外暴露試験(沖縄暴露場;水性塗料)

屋外暴露試験(江戸川暴露場;無溶剤塗料)

 橋梁や水門などの鋼構造物は、鋼材の腐食を防ぐため塗装されるのが一般的です。塗料は、樹脂(エポキシ樹脂やふっ素樹脂など)、顔料(防錆顔料、着色顔料など)、溶剤などから構成されています。これに硬化剤を加えて撹拌し被塗物(鋼材)に塗ります。このとき塗料粘度を下げて塗装作業性を良くするため適量のシンナーを加えます。徐々に反応して塗膜が形成されます。この間、シンナーなど揮発性有機化合物(VOC)が大気中に放出されます。VOCは、大気中で紫外線などにより光化学スモッグを発生させるためその排出量の低減が求められています。
 鋼構造物用塗装のVOCを削減する方法には、溶剤を水に替えた水性塗料と、溶剤を使用しない無溶剤塗料があります。ただし、水性塗料は、溶剤の代わりに水が蒸発して塗膜を形成するため水が蒸発しにくい低温時や塗膜の形成時に降雨などが当たると良好な塗膜が形成されません。また、無溶剤塗料は、粘度が高いため塗装作業性が極端に悪く平滑な塗膜を得にくいことなどがあります。
 現在、水性塗料を橋梁等の陸上鋼構造物に、無溶剤塗料を水門等の河川鋼構造物に適用するための技術開発を行っています。
 水性塗料は、溶剤型塗料に比べて防食性が劣るため、防食性を向上させるための改良を行っています。無溶剤塗料は、塗装作業性を改善するため高粘度塗料を塗装できる塗装機の改良を行っています。これら改良された塗料や改良した塗装機で施工された塗膜が溶剤型塗料と同等程度の防食性を有することを検証するため促進劣化試験と屋外暴露試験を行っています。



問い合わせ先:新材料チーム