研究の紹介

冬期における路面のすべり易さを計測する 〜 路面すべり抵抗モニタリングシステム 〜


試験道路における計測試験(後ろの2台が
連続路面すべり抵抗値測定装置(CFT)搭載車)

実道におけるモニタリング

インターネットを通じた情報提供サイト(下は拡大図)
(緑色部が滑りづらく、赤色部が滑りやすい箇所を示す)

 北海道のような積雪寒冷地では、積雪による道路幅員の縮小や、路面の凍結が発生します。特に、スパイクタイヤの使用規制以降、「つるつる路面」と呼ばれる非常に滑りやすい路面が出現し、冬期特有の渋滞や交通事故が発生します。
 寒地土木研究所では、適切で効率的・効果的な冬期道路管理手法の確立に向け、冬期路面状態の定量的・客観的な評価に基づいた、より適正で的確な冬期路面管理に資する研究を行っています。
 我が国では、場所によって変化する路面のすべりやすさを計測できる計測機器がなかったことから、目視による路面状態の判断を基に冬期路面管理を行っていますが、目視では判別が難しい路面状態や判断の個人差があります。定量的・客観的な冬期路面の評価に基づく冬期路面管理を可能とするため、近年開発された、路面のすべりやすさを連続的に計測できる「連続路面すべり抵抗値測定装置(Continuous Friction Tester: CFT)」を導入し、路面のすべり抵抗モニタリング手法の構築に取り組んでいます。
 研究では、CFTを用いた計測試験を行って測定値の信頼性を検証するとともに、CFTで計測したすべり抵抗値を時刻や位置データとともに記録し、デジタル道路地図とリンク付けしたデータベース化して地図表示や種々の分析が可能な「路面すべり抵抗モニタリングシステム」を構築しました。
 このシステムを構築したことで、路面のすべりやすさの状況を地図上に表示し、情報提供することが可能になりました。実際に、北海道内の国道の路面のすべり抵抗値をモニタリングした結果を、インターネットを通じて道路管理者に情報提供し、日々の路面管理の参考にしてもらっています。
 今後は、システムを利用して蓄積されたデータを活用し、凍結防止剤散布効果の把握など日々の冬期路面管理の評価、さらに、冬期間を通じた冬期路面管理の評価などすべり抵抗値を活用した冬期路面管理手法の高度化に関する研究を進める予定です。



(問い合わせ先:寒地土木研究所 寒地交通チーム)