土研ニュース

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究協定を締結

  土木研究所は、平成24年9月10日に独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と技術試験衛星[型「きく8号」を用いた災害対応センサデータの伝送実験に関する共同研究協定を締結しました。この協定に基づき、「きく8号」に対応した超小型通信端末を土木研究所火山・土石流チームが開発した自動降灰・降雨量計(特許第4915676号)に接続して、現地から「きく8号」を介した土木研究所へのデータ伝送実験を今年度内に行う予定です。自動降灰・降雨量計は、火山灰を捕灰容器に収集し、同容器に備えられている水位計と重量計を用いて火山灰の堆積量と雨量を計測することができる装置です。実験は、現在も活発な噴火活動が続く桜島を選び、特に、降灰の最中でも問題無く通信が可能かどうかを検証します。

  本実験を通じて、大規模噴火によって通常の通信ネットワークが寸断された場合でも、衛星経由によるデータ伝送が有効であることを検証します。


 「きく8号」を用いた自動降灰・降雨量計データの伝送実験<画像提供:JAXA>



(問い合わせ先:火山・土石流チーム)

第7回日韓建設技術ワークショップが開催されました

  土木研究所と韓国建設技術研究院(以下、KICT:Korea Institute of Construction Technology)は、両研究所間での研究協力協定に基づき、平成24年10月16日〜19日に日韓建設技術ワークショップを韓国において開催しました。このワークショップは、平成12年を第1回として日本・韓国で交互に開催してきており、今回が第7回になります。


 ワークショップ全体会議出席者


 海峡横断橋基礎の施工のための
高流動コンクリートの圧送試験(準備状況)



  土木研究所と韓国建設技術研究院(以下、KICT:Korea Institute of Construction Technology)は、両研究所間での研究協力協定に基づき、平成24年10月16日〜19日に日韓建設技術ワークショップを韓国において開催しました。このワークショップは、平成12年を第1回として日本・韓国で交互に開催してきており、今回が第7回になります。

  ワークショップでは、初日に全体会議、分野別会議および実験施設の見学、2日目以降に現地調査を行いました。最初の全体会議において、KICT・禹(ウ)院長および土木研究所・魚本理事長による開会スピーチが行われた後、KICT・成(ソン)対外協力情報処長および土木研究所・鈴木材料資源研究グループ長により、最近の研究に関するトピックが紹介されました。

  分野別会議では、個別の分野ごとに、研究に関する情報交換や今後の研究協力に関するディスカッションを行いました。なお、今回のワークショップでは、研究協力協定上の6分野のうち、コンクリート構造物、斜面管理、道路舗装、水質モニタリングの4分野について行いました。

  コンクリート構造物分野では、KICTの研究が耐久性の高いコンクリート構造物の建設技術に主眼が置かれているのに対し、土木研究所の研究は耐久性の低いコンクリート構造物を造らない、検査で見逃さないことに重点があり、このような異なるアプローチをとる両機関の研究経験について情報交換を行いました。また、現地調査では、海峡横断橋の基礎施工のために行われる高流動コンクリートの1kmポンプ圧送試験の準備状況などを視察しました。

  斜面管理分野では、韓国では近年、土砂災害が多くなってきている傾向があること、2009年から斜面災害等に対する管理の法律が出来たこと、地方自治体では技術力が足りないこと等の発言がありました。また、現場調査では、韓国東部の国道の工事現場を訪ね、2018年冬季オリンピック開催地、平昌(ピョンチャン)への交通網確保のための道路拡幅等が大規模に行われていました。会議および現地調査を通じて、両国の斜面管理のあり方の違いや問題点などを共有することができました。

  道路舗装分野では、日韓両国とも環境負荷軽減に寄与する舗装技術の関心が高く、特に、KICTでは中温化技術を2012年の二つの重点課題の一つと位置づけ、中温化技術を海外に積極的に展開しているほか、日本が先進的に取り組んでいるリサイクル技術について韓国でも関心が高く、アスファルト混合物のリサイクル率を上げる姿勢が感じられました。現場調査では、盛土部や橋梁、トンネル部の施工現場を訪れました。日本と異なる点は、高速道路は6割がコンクリート舗装であること、歩道ではブロック舗装が多く採用されていること、すべり対策として舗装の表面に縦の溝を掘っていることでした。

  水質モニタリング分野では、下水処理水中の微量化学物質の実態や下水道合流管からの越流汚濁負荷対策について情報交換を行い、今後の研究方針として、韓国4大河川プロジェクトの下流域で発生している藻類異常増殖の問題解決を目的とした共同研究の実施を検討することとなりました。また、現地調査では、水環境が復元された清渓川や上水道の高度浄化センターを視察し、ソウル市内の河川環境や水供給の実態を把握しました。

  以上のように最新の研究情報の交換や今後の研究方針の検討等が行われ、有意義なワークショップとなりました。次回ワークショップは、平成26年秋に日本で開催の予定です。




(問い合わせ先:地質チーム)

つくば科学フェスティバル2012に出展しました

 土研ブースは大盛況でした!


 アーチ橋づくり、皆、真剣です


 コンクリートの文鎮できるかな?




  つくば市内の研究機関、小中学校、高校、大学等が一堂に会し、子どもたちから大人まで科学を楽しみながら学ぶことができる「つくば科学フェスティバル」(主催:つくば市、つくば市教育委員会)。今回は平成24年11月17日(土)と18日(日)、つくばカピオ(つくば市)を会場に66団体が出展し、同時開催の「つくば3Eフォーラム」「つくば環境フェスティバル」も含めて両日で約3万人(主催者発表)が訪れました。

  土木研究所は、初日のみの出展でしたが、ブース内に研究等を紹介したパネル展示と、「土木の日一般公開」でも大人気だった2つの体験コーナーを設けました。

  1つ目は「アーチ橋を作ってみよう!」。これは、アーチ構造の橋をペーパークラフトで再現させる工作です。子どもたちは、時には大人からの手助けも得つつ黙々と作製に取り組みました。橋が完成した後、紙のブロックの組み合わせによるアーチ構造がどれほど強いつくりとなっているのかを確かめるため、水がいっぱい入ったペットボトルを橋の上に載せると、親子揃って「すごい!」と大きな歓声が上がりました。

  2つ目は「コンクリートの文鎮を作ってみよう!」。これはセメント、砂、水を分量どおり混ぜ合わせて、ペットボトルの底を利用した容器に注いで固めます。すると文鎮としてちょうど良い大きさのコンクリートが出来上がるというものです。子どもたちはもちろん、大人もコンクリートを自ら「作る」というのは、初めてだった方がほとんどで、普段の暮らしに欠かせないコンクリートをより身近に感じられた体験となったようでした。

  来場者からは、「家でもぜひ作ってみたい。」「橋やコンクリートの仕組みがよくわかって面白かった。」といった感想や「土木の研究というのが今ひとつピンと来なかったが、すごく大事な研究をされていることがわかった。これからも頑張ってください。」といった声援など、様々な声が寄せられました。

  土木研究所ではこれからも土木の面白さ、ひいては命と暮らしを守る土木技術や研究に多くの方から関心を持ってもらえるよう、広報活動に積極的に努めて参ります。



(問い合わせ先:研究企画課、総務課)