研究成果の紹介

実用化が進む緩衝型ワイヤーロープ式防護柵


  新開発のワイヤーロープ式防護柵



  一般国道275号天北峠



  ゴム製デリニエータ(視線誘導標)


  平成24年11月に開通した道央自動車道大沼公園IC〜森IC間の1.6kmに、我が国で最初の緩衝型ワイヤーロープ式防護柵の試行導入が行われました。同年12月には一般国道275号音威子府村天北峠にも延長320mに渡って導入されたほか、紀勢道紀勢大内山IC〜紀伊長島IC間128m、磐越道安田IC〜三川IC間390m等、北海道以外の地域でも導入が進んでおり、重大事故防止に大きな効果が期待されています。

  ワイヤーロープ式防護柵が従来のケーブル型防護柵(ガードケーブル)と大きく異なる点は、車両が衝突した時に支柱が変形し、衝撃をワイヤーロープが受け止めて車両と乗員へのダメージを緩和する点にあります。支柱が細いので道路の幅が狭い箇所や既設道路にも設置でき、また、人力でワイヤーと支柱を取り外すことができるので、事故等の緊急時には処理作業や交通切り回しに必要な開口部を迅速に設けることも可能です。さらに、除雪作業による柵の変形や堆雪による車線への阻害が少ないことも利点です。車両が衝突した際の飛散を防止し、第3者被害を防ぐゴム製のデリニエータも新たに開発しました。

  ワイヤーロープ式防護柵は平成24年に特許登録されたほか各種学会でも表彰されており、技術の独自性と高い有用性が認められました。

  今後は道路管理者と連携し、実際の道路での運用を通して防護柵の仕様・施工方法・維持管理方法等の課題の抽出と解決方法について検討を行い、整備ガイドラインの策定に取り組む予定です。



(問い合わせ先:寒地土木研究所  寒地交通チーム)