土研ニュース

フランスIFSTTARワークショップ、ドイツBAST研究協力協定締結、実施報告

写真-1 PWRI-IFSTTAR ワークショップ参加者

(中央が魚本理事長とMotyka IFSTTAR 副所長)

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写真-2 Guimbal IFSTTAR 所長と魚本理事長

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写真-3 BAST ロビーでの歓迎挨拶

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写真-4 Strick BAST 所長と魚本理事長

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  去る平成26(2014)年9月8日~10日、魚本理事長、塚田研究調整監ら10名が、IFSTTAR(フランス交通・空間計画・開発・ネットワーク科学技術研究所)を訪問し、日仏ワークショップ及び研究協力協定の締結を実施しました。さらに9月11日にBAST(ドイツ連邦高速 道路研究所)を訪問し、研究協力協定の締結と技術交流を実施しました。

  平成7(1995)年より日仏科学技術協力協定に基づいて、土木研究所はIFSTTAR の前身である LCPC(フランス中央土木研究所)と「道路分野における先端的な工法及び材料に関するワークショップ」を約3年毎に相互を訪問する形で開催しており、今回は通算第7回目となります。冒頭Hélène Jacquot-Guimbal、 IFSTTAR 所長の歓迎挨拶を頂いた後、IFSTTAR 側約10名の技術者と8、9日の2日間にわたり「材料と舗装」「構造物」「地盤工学」の各分野、計17件の研究テーマに関して発表と質疑が行われ、活発な議論が交わされました(写真-1、2)。

  また平成23(2011)年にLCPCは関係研究機関と統合されIFSTTARとして再編されましたが、LCPC 時代と変わらぬ信頼関係の構築および研究協力の継続を目的とした新たな研究協力協定が、Vincent Motyka、IFSTTAR 副所長と魚本理事長により締結されました。 翌10日にはパリ郊外のSaint-Cloud橋を訪れ、IFSTTAR指導によるコンクリート橋老朽化対策工事について見学を行いました。

  その後ドイツへ移動し、翌9月11日にBAST を訪問しました(写真-3)。BAST はドイツを代表する高速道路分野の研究所で、土木研究所とは平成15(2003)年に舗装およびトンネルに関する研究協力協定を締結しています。今回の訪問で、上記2分野に施工技術(情報化施工や締固めを含む)を加えた3分野での新たな研究協力協定が、Stefan Strick、BAST所長 と魚本理事長により締結されました(写真-4)。また、BAST側6名の技術者と「舗装」「トンネル」「施工技術」等に関して意見交換が行われ、活発な議論が交わされました。

  翌12日には道路機械メーカーBOMAG 社の本社工場を訪れ、最新舗装技術などについて情報交換を行うとともに、工場内の見学を行ないました。

  今回のIFSTTAR、BAST との研究交流を踏まえ、土木研究所では今後も両研究所との綿密な研究協力体制の構築を進め、国際的な研究交流を推進します。


(問い合わせ先 : 先端技術チーム)

インドネシアでトンネルセミナーを開催

写真-1 講演を行う砂金上席研究員

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写真-2 講演を行う淡路主任研究員

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写真-3 コンクリート急結材の

デモンストレーションの様子

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図-1 インドネシアで進行中の

トンネルプロジェクトの位置図

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1.開催経緯

  日本とインドネシア共催のトンネルセミナーが平成26(2014)年10月7日にインドネシアの首都ジャカルタで開催されました。

  インドネシアは、日本と同様に火山活動や地震活動の活発な島国であり、地形や地質条件が非常に厳しい国土を有しています。このため、安全で効率的な都市間ネットワークを構築するためには、トンネル建設が重要な役割を果たすと期待されています。しかし、インドネシアでは本格的な道路トンネルの建設事例がこれまで無かったため、同国と同様に厳しい地質条件を持つ日本のトンネル技術に大きな期待が寄せられています。そこで、国土技術政策総合研究所、土木研究所およびインドネシア国公共事業省道路研究所(IRE)で締結している二国間研究連携に基づき、平成22(2010)年よりトンネル・地下構造物に関する研究連携を開始しました。本セミナーは、その活動の一環として開催されたものです。

2. セミナー内容

  本セミナーでは、まず日本側から、日本の公共工事政策や日本とインドネシアの永続的パートナー構築に向けた取り組みが紹介されました。引き続いて、土木研究所トンネルチームの砂金上席研究員(写真-1)と淡路主任研究員(写真-2)がトンネル技術全般の解説と日本の最新トンネル技術を紹介しました。また、世界的にも高い技術を持つ日本の民間企業から、吹付けコンクリートと急結材の技術(写真-3)や日本関連企業によって進められているジャカルタメトロ計画が紹介されました。インドネシア側からは、道路トンネルの建設計画の動向として、図-1に示す進行中の4つのプロジェクトの中でも特に,大断層近傍(②Balingka)や低土被り地山(③Cisumdawu)といった厳しい地質条件下での建設計画について紹介がありました。

  本セミナーには、現地の技術者や学生をはじめとする多くのインドネシアの土木関係者が集まり、活発な質疑応答や議論が行われ、実りある国際交流となりました。土木研究所では今後とも引き続き、国土技術政策総合研究所と協力しつつ、インドネシアとの合同ワークショップの開催や、研究員の受け入れ、トンネルに関する様々な研究連携などの技術交流を進め、インドネシアにおけるトンネル技術の発展に大きく貢献し、インドネシアでの日本の技術プレゼンスの向上に努めていきます。


(問い合わせ先 : トンネルチーム)

平成26年度土木研究所講演会を開催しました

 写真-1 魚本理事長による開会挨拶


写真-2 油田氏による特別講演

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写真-3 可知氏による特別講演

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 写真-4 講演の様子

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 写真-5 藤澤理事による閉会挨拶


  平成26年(2014)10月16日(木)に東京都千代田区の一橋講堂において、平成26年度土木研究所講演会が開催されました。

  本講演会は、土木研究所の研究者による講演・報告を通じ、当研究所が実施しているこの1年の調査研究の成果や研究状況を、それらの分野の動向と絡めて幅広く一般に紹介するものです。また、当研究所の情報発信の重要な場であるとともに新たな連携の発展につなげる場の一つです。

  特別講演の午前の部では、芝浦工業大学特任教授の油田信一氏をお招きし、あるがままの環境で働くことが出来るヒトや動物の特長を持つ機械を作ろうというフィールドロボット技術の説明をして頂きました。また、この技術を利用して、社会インフラのメンテナンスや検査に利用する次世代社会インフラ用ロボットの開発・導入に関する取り組みや災害現場での適用事例など、いくつかの試みをご紹介して頂きました(写真-2)。

  午後の部では、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 主任開発員の可知美佐子氏をお招きし、日米を中心とした国際協力ミッションである全球降水観測(Global Precipitation Measurement:GPM)計画の成り立ちや、最新技術による観測成果、洪水予測などの実利用分野での利用に向けた取り組みについてご紹介して頂きました(写真-3)。

  一般講演第1部では、油田氏からロボット技術に関して、ご指導を受け行っている情報化施工技術の研究を始め、他機関と連携して開発した新技術であるひずみ可視化シート及びワイヤーロープ式防護柵に関する研究成果を紹介しました。

  一般講演第2部では、防災・減災技術の開発や災害対応を通じて得られた教訓として、津波、液状化、土石流、雪崩を取り上げて、土木研究所の自然災害への予測、予防、対応に関する研究業務を紹介しました。この中で8月に広島県を襲った土石流災害、9月に発生した御嶽山噴火に伴う火山灰による土石流に関する現時点での調査報告を行いました(写真-4)。

  一般講演第3部では、可知氏にご講演頂いた衛星雨量観測データ等を活用した研究成果による、国際貢献の取り組みや河川環境の保全に関する取り組みを紹介しました。

  講演会当日は、民間の方をはじめ、さまざまな分野から約450名の方々にご来場頂き、盛況のうちに閉会することができました。ご来場者からのアンケートでは、「現場に強い土木集団として、今後もますますのご活躍を期待しています」などのご感想を頂くとともに、今後講演会を開催するにあたり、大変貴重となるご意見やご要望も数多く頂きました。

  近年進行している地球温暖化や頻発する自然災害、急速に増加する老朽化社会資本ストックなど、緊急に対応すべき課題が山積する中で、最近では広島県で発生した大規模土石流災害、御嶽山噴火に伴う火山灰による土石流に対しての技術指導等を行っており、土木研究所が国の内外に於いて果たさねばならない役割はますます大きくなっていると思います。これらを踏まえ、土木研究所では土木技術に関する調査研究、技術指導、成果の普及などに取り組んで行きます。

  本講演会の講演内容をまとめた講演集は、本ホームページの以下のURLより入手可能です。 http://www.pwri.go.jp/jpn/news/2014/1016/index.html


(問い合わせ先 : 研究企画課)

「つくばサイエンスコラボ2014 科学と環境のフェスティバル」に出展しました

 写真-1 説明をよく聞いてね


写真-2 熱心に材料を混ぜてます


写真-3 「ぞうさん」と触れあい


  「つくば科学フェスティバル」(主催 : つくば市、つくば市教育委員会)は、つくば市内の研究機関、小中学校、高校、大学等が出展し、子どもから大人まで科学を楽しみながら学ぶことができる体験型イベントです。今回は平成26(2014)年11月8日(土)と9日(日)、つくばカピオ(つくば市)を会場に59団体が出展し、「つくば3Eフォーラム」「つくば環境フェスティバル」とともに「つくばサイエンスコラボ2014」として同時開催し、両日で約17,500人(主催者発表)が訪れました。

  土木研究所は8日(土)に「道路の舗装をつくってみよう」と題したイベントを出展しました。このイベントは、来場者にアスファルト舗装の作成を体験していただくもので、混ぜ合わせた材料をアルミ製のハート型に敷き詰め、1週間ほどで硬化し、ハート型のアスファルト舗装が完成します(当日は型に入れたままお持ち帰りいただきました)。参加した子供たちは普段体験することのないアスファルト舗装づくりに熱心に取り組み、「アスファルトって砂とか石が入ってるんだ」といった声も聞かれ、日常何気なく使っている道路に興味を持っていただくことができました。

  当日は、土木研究所のマスコットキャラクター「ぞうさん」と来場者が触れ合ったり(写真-3)、11月15日(土)に開催する土木の日一般公開の周知も行いました。

  1日のみの出展ではありましたが、全6回行ったアスファルト舗装づくり体験は、用意した8席がほぼ満席となり、中には臨時で増席した回もあるなど、なかなかの好感触であったと思います。今後も来場者の方々に楽しんでいただきながら土木研究所の活動を紹介していきたいと考えています。


(問い合わせ先 : 研究企画課、総務課)

「土木の日」2014一般公開を開催しました

写真-1 土石流発生装置の実演


写真-2 油圧ショベルの遠隔操作体験


写真-3 防雪林・防雪柵の模型実験


写真-4 ボール紙でつくる橋コンテストの表彰式


写真-5 働く自動車の展示


  土木の「土」と「木」を分解するとそれぞれ漢数字の「十一」と「十八」となることから、十一月十八日(11月18日)は「土木の日」に制定されています。この土木の日にちなみ、毎年恒例のイベント「土木の日2014一般公開」を11月15日(土)、土木研究所と国土技術政策総合研究所の共催で開催しました。

  この一般公開は、両研究所で「どのような研究を行っているのか」、また「土木とは何か」など、広く一般の方々に土木に関する理解を深めて頂くことを目的として行っています。

  当日は快晴に恵まれ、1,057名もの方にご来場頂きました。

  今年の実験施設の公開は、試験走路、ITSスポット体験、舗装走行実験場、海洋沿岸実験施設、水理実験施設、土石流発生装置(写真-1)、橋の撤去部材展示の他、油圧ショベルの遠隔操作体験を建設機械屋外実験場(写真-2)で行いました。このうち、土石流発生装置の見学者からは「土石流のしくみ、防止のしくみがわかりやすかった」との感想を頂いたほか、建設機械屋外実験場の見学者からは「大好きなショベルカーを操作できた」といった喜びの感想を頂くなど、各公開施設とも大変好評でした。

  また、土木に関する様々な体験ができる土木体験教室にも、多くのご参加を頂きました。今年は、北海道の寒地土木研究所からも防雪林・防雪柵の模型実験(写真-3)を出展し、見学者からは「森で吹雪がさえぎられたりするのがすごかった」との感想を頂くなど、寒冷地での研究についても興味をもって頂くことができました。

  また、子どもたちにものづくりの楽しさを体験してもらうため、つくば市の小学五年生を対象とした「ボール紙でつくる橋コンテスト」を毎年行っており、今回は30校から388作品の応募がありました。当日はその作品の展示と優秀作品等の表彰式(写真-4)を行いました。これ以外にも、国土交通省関東地方整備局にご協力頂いた「働く自動車」の展示(写真-5)や体験乗車、土木研究所のマスコット「ぞうさん」との記念撮影、つくば市立吾妻小学校及び吾妻中学校による吹奏楽の演奏、職員有志による和太鼓やバイオリン、バンド演奏など、幅広い年齢層に楽しんでもらえるイベントも開催しました。

  一般公開全体では、来場者から、「普段見られない研究所が見られて嬉しいです」、「研究所の皆さんが親切であたたかい感じがして、いい研究所だなと思いました」など好評なご意見を数多く頂きました。

  ご来場頂いた皆さんに土木をより身近に感じ、理解を深めていただける良い機会になったのではないかと思います。

  土木の日一般公開は、研究所にとってその活動内容や土木事業の重要性をアピールする数少ない機会の一つですので、次回もよりよいイベントにしていきたいと考えています。ぜひご期待ください。


(問い合わせ先 : 研究企画課、総務課)