土研ニュース

科学技術週間に合わせて、一般公開を行いました!

土石流発生装置


コンクリート体験教室


○はじめに

 毎年4月中旬に設けられている科学技術週間に合わせて、今年も国土交通省国土技術政策総合研究所との共催で平成27(2015)年4月17日(金)に一般公開を行いました。あいにく、当日は気象庁から雷雨予報が発令にされたため、見学者の安全を考慮し、午後からのバスツアーは中止とさせていただきましたが、298名の方々に御来場いただくことが出来ました。

 主な公開内容を以下にご紹介します。


○見学バスツアー

 見学バスツアーでは、「土石流と老朽化」「道路とトンネル」「川をさかのぼる津波」「生活道路向け防護柵」の4コースを用意し、「土石流と老朽化」のコースでは、土石流発生装置を使った土石流災害の特徴に関する説明を行いました。残念ながら、午後からの見学バスツアーは中止となりましたが、参加していただけた見学者の方々からは「災害に対する意識の向上がなされた。」「土木技術に対しての関心が高まった。」等の意見をいただくことができました。


○体験教室及び展示物

 今年の一般公開では、庁舎ロビー及び駐車場にて、土木研究所は「コンクリート体験教室」「道路舗装を検査する自動車の展示」「液状化再現装置の実演」「腐食した鉄筋サンプルの展示」を、国土技術政策研究所は「粘り強い海岸堤防の紹介」を行い、見学者の方々が非常に興味深く説明を聞いている様子が覗えました。


○さいごに

 土木研究所では、インフラ施設の点検・診断技術や大規模災害への対応など、土木技術全般における関心が次第に高まりつつある中で、より多くの方々に研究や活動を知っていただきたいと考えております。今後も引き続き一般公開を開催していきたいと思いますので、ぜひ皆様のお越しを、職員一同、心よりお待ちしております。


(問い合わせ先:総務課)

 iMaRRCの設立と記念講演会の開催について

写真-1 丸山名誉教授による基調講演

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写真-2 ドリッシー・ハブティ博士による 講演1

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写真-3 坂下氏による講演2

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写真-4 パネルディスカッションの様子

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1.iMaRRCの設立

 近年、高齢化が進む土木構造物をこれからも長く利用していくため、耐久性の向上に役立つ材料開発が求められています。また、建設現場などから発生する廃棄物などの更なる有効利用も求められています。

 このような研究を加速して世の中に広めていくため、平成27(2015)年4月1日に土木研究所の中に先端材料資源研究センター(iMaRRC)が設立されました。


2.iMaRRC設立記念講演会の開催

 iMaRRCの設立を記念して、平成27(2015)年6月11日に東京の発明会館ホールで講演会を開催しました.

 基調講演では、長岡技術科学大学名誉教授の丸山久一先生をお招きし、コンクリート橋などを補強するための繊維強化プラスチック(FRP)の開発経緯、古代ローマ時代の建造物に使われた古代コンクリートの分析結果、塩分の被害を受けた橋に実際に壊れるまで力を加えた実験の結果とコンピューターで予想した結果の比較など、土木技術を支える材料から構造まで幅広くご紹介いただきました(写真-1)。

 講演1では、フランス交通・空間計画・開発・ネットワーク科学技術研究所(IFSTTAR)のモンセフ・ドリッシー・ハブティ博士をお招きし、フランスやヨーロッパでは土木についてどのような研究が求められているか、構造物がどの程度健全なのかを調べるための光ファイバーセンサーの研究事例の紹介などをお話しいただきました(写真-2)。

 講演2では、JAXAからきぼう利用プロモーション室長の坂下哲也氏をお招きし、宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟に関するお話をいただきました。宇宙空間という厳しい環境でも人間が過ごせるように、使われる材料や構造には土木材料とは違った性能が求められ、更に宇宙へ運ぶためにスペースシャトルの積載条件をも満足するための研究開発などをご紹介いただきました(写真-3)。

 講演会の後半では、最先端の材料開発を行っている研究者、土木構造物の管理やメンテナンスを行っている技術者の方々をお招きしてパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、これからの土木構造物の寿命を延ばすために、新たな材料に求められることや問題となること、今後のiMaRRCの活動に対する期待などが議論されました(写真-4)。

 講演会当日は、官公庁、民間企業、教育機関などから約170名の方々にご来場いただきました。来場者からはアンケートで今後のiMaRRCの研究活動についてのご意見をいただきました。皆様からのご期待に添えるような活動をiMaRRCとして取り組んで参りたいと思います。


(問い合わせ先:iMaRRC )