土研ニュース

令和元年度土木研究所講演会を開催しました

写真-1 西川理事長による開会挨拶

写真-1 西川理事長による開会挨拶


  令和元年10月16日(水)に東京都千代田区の日本教育会館一ツ橋ホールにおいて、「令和元年度土木研究所講演会」を開催致しました。

  本講演会は、土木研究所の研究者による講演を通じ、当研究所が実施している研究開発の成果や研究状況を、それらの分野の動向と絡めて幅広く一般に紹介するものです。

  今回の講演会では、「新技術を活用した社会資本の維持管理と災害時の対応」、「激甚化する自然災害リスクの評価と対策」、「建設材料に関する技術開発の取り組み」の3つのテーマごとに様々な技術開発についてご報告致しました。



  特別講演では、立命館大学 古気候学研究センター センター長の中川毅様に「おだやかな「現代」はいつまで続くのか」と題したご講演をいただき、地質学的な視点から、これまでに起こってきた気候変動、そして、今後の気候変動に関する考察についてご紹介いただきました(写真-2)。


  「新技術を活用した社会資本の維持管理と災害時の対応」では、①道路橋メンテナンスにおけるAI・ICTの活用(橋梁構造研究グループ 金澤グループ長)、②災害発生時の対応にロボット技術を適用する上での課題と展望(技術推進本部 有田本部長)、③激甚化する水災害に対する寒地土木研究所の取組(寒地水圏研究グループ 前田上席研究員)、④治水機能増大のための既設ダムへの増設放流設備の設計(水工研究グループ 箱石グループ長)(写真-3)の4件の研究成果をご報告致しました。



写真-2 中川教授による特別講演 写真-3 箱石グループ長による講演
写真-2 中川教授による特別講演
写真-3 箱石グループ長による講演

  「激甚化する自然災害リスクの評価と対策」では、①水災害分野の気候変動影響評価を支える技術開発と適応策実装への戦略-発展途上国における取組-(水災害研究グループ 深見グループ長)、②火山噴火後の土石流発生に対する警戒避難のための新しい取り組み(土砂管理研究グループ火山・土石流チーム 石井上席研究員)、③土工構造物分野における近年の豪雨災害に対する土研の取組と展望(地質・地盤研究グループ 金子グループ長)(写真-4)の3件の研究成果をご報告致しました。

  「建設材料に関する技術開発の取り組み」では、①永続的な舗装リサイクル技術の確立を目指して(道路技術研究グループ舗装チーム 藪上席研究員)(写真-5)、②気象環境と土木材料の劣化-土木構造物の長寿命化に向けて-(材料資源研究グループ 西﨑グループ長)、③河川用コンクリート護岸ブロックの環境評価-経緯・現状・展望-(水環境研究グループ 萱場グループ長)の3件の研究成果をご報告致しました。



写真-4 金子グループ長による講演 写真-5 藪上席研究員による講演
写真-4 金子グループ長による講演
写真-5 藪上席研究員による講演


写真-6 渡辺理事による閉会挨拶
写真-6 渡辺理事による閉会挨拶



  講演会当日は、さまざまな業種、分野から478名の方にご来場頂き、盛況のうちに閉会することができました。来場者から頂いたアンケートは、今後の講演会開催に活かして参ります。

  本講演会の講演内容をまとめた講演集と講演者の発表資料はホームページに掲載しておりますので、是非ご覧ください。


(問い合わせ先:研究企画課)

第3回 iMaRRC セミナーを開催しました

写真-1 設立10周年記念CAESAR講演会
セミナーの様子

  令和元年11月13日に、つくば国際会議場において、第3回 iMaRRC セミナーを開催しました。

  今回は,「下水処理場における草木系バイオマスの利用と課題」というテーマで講演、パネルディスカッションを行いました。当日は54名の方にご参加いただきました。

  iMaRRCの重村上席研究員からの趣旨説明の後、iMaRRC宮本主任研究員より「土木研究所の研究紹介・剪定枝等の下水汚泥焼却施設補助燃料利用」と題して、下水汚泥と剪定枝等の混合焼却を検討すべき背景、過去に実施した過給式流動燃焼炉を用いた実験結果、混合焼却する剪定枝の質的改善方法、剪定枝を混合焼却することによる消費エネルギー削減効果等の説明を行いました。

  続いて、iMaRRC山﨑研究員より「土木研究所の研究紹介・草木系バイオマスの下水汚泥脱水助剤利用」と題して、草木系バイオマス利用による汚泥の脱水促進の原理、脱水機を用いた草木系バイオマス混合による脱水試験結果、下水処理場等でのヒアリングで見えた本技術の課題点等の説明を行いました。

  (公財)日本下水道新技術機構の星野正明様からは「下水処理場における草木系バイオマスの有効活用検討調査」と題して、下水処理場における地域バイオマスの受入状況、国土交通省の下水道エネルギー拠点化コンシェルジュ事業の実施状況、草木系バイオマスの種類別の資源化方法等についてご講演いただきました。

  新潟市下水道部の小林真様からは「河川堤防刈草の混合嫌気性消化」と題して、新潟市が刈草の混合消化を始めた背景、混合消化のシステムフロー・施設諸元、過去3年間の混合消化事業の結果、事業を3年間行った上でのメリットとデメリット等についてご講演いただきました。

  東京都下水道局の中里博昭様からは「木質系バイオマスと下水汚泥の混合焼却」と題して、東京都における混合焼却の導入背景、混合焼却事業および設備の概要、木質系バイオマスの受入基準、混合焼却実施による都市ガス使用量削減効果、維持管理上の問題等についてご講演いただきました。

  講演の後、重村上席研究員が進行役を務め,講演者全員でパネルディスカッションを行いました。下水処理場における資源・エネルギー利用に向けて求められること、下水処理場において草木系バイオマスを利活用するにあたり必要なこと、iMaRRCに期待される役割等について意見を交わすとともに、会場からもご質問、ご意見をいただきました。

  iMaRRCセミナーでは、今後も材料・資源に関する様々な課題について議論を深めるために、旬なテーマを取り上げ、セミナーを開催して参ります。

(問い合わせ先:iMaRRC)