土木研究所 構造物メンテナンス研究センター

輪荷重走行試験機を用いた鉄筋コンクリート床版の疲労耐久性に関する研究

輪荷重走行試験(導入当時) 図-1 輪荷重走行試験(導入当時)
水張り下での輪荷重走行試験 図-2 水張り下での輪荷重走行試験

鉄筋コンクリート(RC)床版の疲労損傷は、大型車の繰返し載荷によって、ひび割れの発生・進展、最終的には路面の抜け落ちに至る、という過程をたどります。鋼道路橋の維持管理において、RC床版の疲労に対する補修・補強は鋼材の腐食や疲労の対策に並んで大きな割合を占めています。現行基準で設計された道路橋と比較して、RC床版の疲労耐久性が相対的に低い傾向にある昭和30~40年代(1955~1974年)の橋は、鋼道路橋約6万橋のうちの1/3近くを占めています。大阪大学で開発された輪荷重走行試験機1)は,RC床版の疲労損傷を再現するために不可欠な試験装置です。1995年に,土木研究所にも実物大の供試体を用いた試験ができる輪荷重走行試験機が2台導入されました。以来,RC床版の疲労とその対策に関わるさまざまな研究を実施しています2)-5)

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「既設RC 床版の更新技術に関する研究」

参考文献
1) 松井繁之,大田孝二,西川和廣:RC 床版とその損傷(その2),橋梁と基礎,pp.47-50,1998.6.
2) 松尾伸二,西川和廣,内田賢一,川間重一:既設鉄筋コンクリート床版の補修・補強に関する検討,橋梁と基礎,pp.25-32,2000.11.
3) 建設省土木研究所,炭素繊維補修・補強工法技術研究会:コンクリート部材の補修・補強に関する共同研究報告書(Ⅲ)-炭素繊維シート接着工法による道路橋コンクリート部材の補修・補強に関する設計・施工指針(案)-,共同研究報告書第235号,1999.12.
4) 田中良樹,村越潤,長屋優子,吉田英二:鉄筋コンクリート床版の疲労耐久性に関する最近の研究,土木技術資料,56-3,pp.30-35,2014.3.
5) 田中良樹,村越潤,玉越隆史,新藤竹文:RC 床版の主鉄筋方向挙動に及ぼすCFRP シート接着補強方向の影響,第9回道路橋床版シンポジウム,土木学会,pp. 83-88, 2016.