専門家として被災地を支援
平成28年4月14日21時46分頃、熊本県熊本地方でマグニチュード(M)6.5の地震が発生。その翌日4月16日午前1時25分頃にM7.3、震度7の地震が再度発生。
多数の道路橋にも被害が生じたとの報告があり、直ちに土木研究所CAESARではその対応が検討され、現地に職員を派遣することを決定。
本報告は熊本地震発生後のCAESARでの対応の一部を記すものである。
CAESARでは道路橋の状況調査のため、4月15日から研究員を派遣開始。地震発生後から5月10日までの期間に、のべ36名を現地に派遣。
CAESAR研究員が調査した被害状況の例
府領第一
大切畑ダム橋
俵山大橋
地震直後から随時更新されるCAESARホワイトボード
4月17日
4月18日
4月21日
道路管理者との現地での情報交換(4/17)
情報が集まるにつれ、対応が必要な橋梁の情報が増加する
耐震班の夜は長い…
CAESARが調査した主な橋梁位置図
※国土地理院のデータを元に編集
県道熊本高森線で多数の橋梁が損傷し、緊急車両を含め利用出来ない状況になっていた。
土研、橋梁管理者、国総研と協力して損傷原因を検討
大切畑大橋の例
橋桁の移動量
収集した情報を元に、損傷シナリオを考察するのはCAESARの使命である。。。
橋の部材に生じた損傷状況および測量結果を踏まえて、橋の復旧方法に関して、管理者へ助言
移動した橋桁を元の位置付近に戻すことに決定
様々な検証・計画を経て…
2018年5月29日に桁の移動を実施
①まずは、橋脚をベントと呼ばれる部材で補強して…
②横方向にスライド出来る鉛直ジャッキで桁を持ち上げて…
③水平ジャッキで横方向に移動させて完了
報告書:
- 土研資料第4359号:平成28年(2016年)熊本地震土木施設被害調査報告
参考文献:
- 大住道生ほか:熊本地震により被害を受けた道路橋の損傷痕に基づく要因分析,第20回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集,pp.121-128,2017.
- 江口康平ほか:熊本地震後のゴム支承の損傷状態から推定する地震時挙動,第22回橋梁等の耐震設計シンポジウム交連論文集,pp.5-12,2019.
- Michio Ohsumi et.al: ANALYSIS OF DAMAGE MECHANISM OF ROAD BRIDGE DAMAGED BY KUMAMOTO EARTHQUAKE, THE 17th World Conference on Earthquake Engineering, 2d-0085, 2021.
- Hisashi Nakao et.al: DAMAGE MECHANISM OF OHKIRIHATA BRIDGE DUE TO KUMAMOTO EARTHQUAKE, THE 17th World Conference on Earthquake Engineering, 2d-0071, 2021.
コンテンツ作成:江口 康平
更新日:2021/8/25