研究成果の紹介

野生動物自動行動追跡システム
     〜 水中の魚類行動を追跡するには? 〜

            
ATSシステム図
ATSシステム図
電波発信機を取り付けたフナ
電波発信機を取り付けたフナ
出水初期時のニゴイの動き
出水初期時のニゴイの動き
流速の遅いところに集まっています(白点)
※ 赤 : 流速が早い、青 : 流速が遅い

 野生動物の行動を手に取るように詳細に把握したいと思ったことはないでしょうか? 野生動物自動行動追跡システム(Advanced Telemetry System:ATS)は、まさにその要望を実現するシステムです。

 ATSは、野生動物に電波発信機を取り付け、その行動を追跡します。電波発信機から発信される電波が来る方向を複数の受信局で探査し、位置特定を行うシステムです。現在のシステムでは、3分に1回程度、野生動物の位置追跡が可能です。一見、単純なシステムに見えますが、林や草原、川の中から発信される電波は、反射・屈折などを繰り返し複雑な飛び方をします。複雑な電波の飛び方を解析し、ATSは野生動物の自動追跡を可能にしています。
 一例として千曲川における魚類行動追跡結果を示します。魚類(ニゴイ:コイ科の魚類)に電波発信機を取り付け、約半年間行動追跡を行いました。その結果、ニゴイは約4000m2の範囲を行動していました。
 観測期間中、何度か出水が発生しました。出水時、魚類は河川内の流速変化に機敏に対応し流速の遅い場所を選択しながら下流へ大幅に流されるのを回避しているなど興味深いデータが取れました。

 このように、ATSは、従来の野生動物調査手法では不可能であった野生動物の詳細な行動追跡を可能とします。例えば、河川改修での河川地形の改変が魚類行動に与える影響や、魚道を遡上する魚類の行動追跡など、土木事業による自然環境の改変が野生動物の行動に与える影響を評価する分野などで、ATSの技術は活用が期待されます。



(問い合わせ先 : 河川生態チーム)

北海道の道路のことなら 「北の道ナビ」
     〜 北海道における道路関連情報の高度利用に関する研究 〜

北の道ナビ
北の道ナビ http://northern-road.jp/navi/
画像情報を充実した峠情報ページ
画像情報を充実した峠情報ページ

 「北の道ナビ」は、北海道内の主要な道路管理者である北海道開発局、北海道、札幌市、NEXCO東日本北海道支社等の監修のもと、当研究所が運営を行っている北海道の道路情報総合案内サイトで、平成11年7月に開設したものです。
 各道路管理者が提供する道路情報へのリンクはもとより、道路地図や峠情報、距離と時間検索、カントリーサイン等の情報提供を行い、幅広く利用されています。また道の駅や気象情報等、様々なドライブ便利情報をカバーし、車で道内を移動する際に便利な情報をシームレスに利用できるようサイト構成に配慮しています。特に、「距離と時間検索」では、出発地から目的地までの距離及び所要時間、峠や道の駅、通過する市町村、沿道景観等の情報提供を行い、ドライブ観光を支援する情報提供を行っています。

 サイトのアクセス数は年々増加し、平成18年度の年間アクセス数は約144万件(日平均3,941件)に及び、距離と時間検索は年間約254万回(日平均 6,965回)使用されるまでになっています。観光シーズンや冬期の厳しい気象条件時などを中心に数多くのアクセスをいただき、平成19年10月24日には開設以来の累計アクセス数が600万件に達しています。

 寒地土木研究所では、国内でも最も早い時期から道路情報分野におけるインターネット技術の活用に着目し、調査研究を行ってきました。
 最近では、サイト上で行ったアンケート調査の結果から、道路画像を用いて情報提供を行うことにより、冬期道路利用者に危険回避を促す効果が期待できることを明らかにしました。こうした分析に基づき、画像情報を効果的に活用した冬道情報提供を実現しました。また冬道を運転したことがない人も対象として、北海道の冬道運転の注意点を静止画や動画で分かりやすく説明した「冬道運転ガイド」も提供しています。研究成果は、北海道開発局の道路情報提供システムなどにも反映され、広く活用されています。
 さらに平成17年6月には、近年の来道外国人観光客の増加に対応して、英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)版も公開し、平成19年10月までに約6万9千件のアクセスをいただくまでになっています。

(問い合わせ先 : 寒地土木研究所 雪氷チーム
                       地域景観ユニット)