研究の紹介

石のすき間を利用する魚たち 〜すき間と魚類生息の関係を明らかにする〜


実験河川における間隙実験

水中の様子

礫サイズと生息魚種との関係
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 石の隙間に形成される間隙、魚等の水生動物の棲み場所として利用され、何となく環境に良いように思われています。事実、護岸に間隙を付加させた環境配慮型の護岸は数多く開発されています。
 しかし、このような間隙環境の生息場所としての機能を評価した事例は極めて限られています。間隙は植物と並ぶ水際の環境要素ですから、植物同様生息場所として機能を把握しておくことは必要です(植物の機能については、自然共生研究センターのARRC NEWS No.6をご覧下さい)。自然共生研究センターでは、実験河川を用いた間隙に関する実験を多数行い、石のサイズや形状により利用する魚種が異なっていること及び水際植生との生息場所としての差異を明らかにしてきました。
 まず、礫サイズと魚種の関係は、礫サイズが小さい程小型の底生魚が多く、礫サイズが大きくなると遊泳魚が増加する傾向が見られます。巨礫になるとタモロコ、モツゴ、フナ類、もうちょっと礫サイズが小さい大礫では、ウナギ、ウキゴリのような中型から大型の底生魚が生息するようになります。また、水際の植物と比較すると、魚類の生息量は2倍程度に達すること、植物にはなかった越冬場として機能を有していることも確認されました。
 本研究は途中段階ですが、今後、間隙の生態的機能の解明を含む河岸から水際域の環境上の機能を明確にし、今年度中に護岸工法との関連を踏まえて取りまとめを行っていく予定です。また、随時技術者向けに公開実験等を行い、間隙等の環境要素の役割について解説を行っています。スケジュール等は自然共生研究センターHPに掲載しますので、ご確認下さい。




(問い合わせ先 : 自然共生研究センター)


       







バイオガスから水素エネルギーをつくる


バイオガスの利用方法

バイオガスからの水素製造技術

バイオガスプラントの外観

 バイオガスプラントでは家畜ふん尿やその他有機性廃棄物を原料に効率よくバイオガスを生産します。廃棄物を利用することは、地球温暖化対策のみならずリサイクルでゴミの削減等の利点を持っています。バイオガスの利用方法は、バイオガスを直接燃焼するガスエンジン発電やガスボイラーによる熱利用などが一般的ですが、バイオガス中のメタンを精製すれば、家庭用の給湯設備やガスコンロ、暖房設備等に利用できます。また、さらにそのメタンを改質すれば水素を製造することができ、燃料電池システムを用いた電力・熱エネルギー利用や燃料電池自動車に利用することができます。
 寒地土木研究所では、2003年より北海道東部の別海町にバイオガスを用いた水素製造と水素貯蔵および供給を行う実証実験プラント(エネルギー地域自立型実証実験施設)を設置し、水素製造技術および有機ハイドライドを用いた水素貯蔵・供給技術に関する実証研究を行いました。次にそれらの技術について簡単に紹介します。
【水素製造技術】
 本実証実験プラントではメタンからの水素製造を水蒸気改質法と直接改質法という2つの方法により行います。前者はメタン等炭化水素から水素を製造する実用的な方法です。後者は開発段階の新技術で水素製造と同時に副生成物としてベンゼン(C6H6)等芳香族化合物を産出します。ベンゼンは化学製品の基礎原料となる有用な物質であり、水素とともにその有効利用が期待されます。
【水素貯蔵技術】
 水素の貯蔵方法には圧縮ボンベ、液体水素、水素貯蔵合金、有機ハイドライド等がありますが、本研究では有機ハイドライドによる水素貯蔵及び再生技術の実証を行いました。有機ハイドライドとは芳香族化合物に水素を添加した物質の状態で水素を貯蔵する方法で、その貯蔵原料となる芳香族化合物はトルエン、ベンゼン、ナフタレン等が考えられています。有機ハイドライドは常温・常圧で液体であるため取り扱いやすく、ガソリンスタンドなど既存の石油系インフラが活用できるという利点を持ちます。


(問い合わせ先:寒地土木研究所 水素地域利用ユニット)

   

涼しい舗装 〜路面温度の上昇を抑制する舗装〜


保水性舗装の施工事例

遮熱性舗装の施工事例

シミュレーション結果の一例

 舗装は、夏の天気の良い日には表面温度が最高60℃にも達することから、都市におけるヒートアイランドの発生要因の一つとも言われています。そこで、保水性舗装や遮熱性舗装など路面温度の上昇を抑制する舗装が注目されており、舗装チームではその効果や評価方法等の研究を行っています。
 保水性舗装は、舗装体内に保水材を混入させることによって、水分の蒸発散作用による路面温度の上昇を抑制する舗装です。
また、遮熱性舗装は、舗装表面に近赤外線を反射させる特殊塗料を塗布することにより、温度上昇を抑制する舗装です。近年、国や自治体等で施工が増えてきています。
 これら保水性舗装・遮熱性舗装の効果は、夏季日中の路面温度を普通の舗装に比べて10℃以上低減させることが出来ます。また、地上1.5mの気温を約1℃低減することが実測およびシミュレーションから確認することができました。これにより、沿道の熱環境、特に子供やベビーカーなど路面に近い環境におかれている歩行者に対しては、さらに効果があると考えられます。
 また、保水性舗装、遮熱性舗装以外にも、土系舗装など自然素材を用いた舗装も路面温度の上昇抑制機能があることが確認されています。これらは主に景観舗装として適用されており主に公園の遊歩道等に施工されていますが、歩道への適当に向けた研究も行っています。


(問い合わせ先:舗装チーム)

   

北海道の沿道景観を紹介する「素敵な北の道」
〜北海道における美しく快適な沿道環境の創出に関する研究〜


北海道の道路の魅力に影響を与えている要因の分析

(左)町道西11線上富良野町
(右)国道453号支笏湖


素敵な北の道トップページ
http://northern-road.jp/scenic/

 寒地土木研究所地域景観ユニットでは、美しい沿道景観や快適なツーリング環境の創出、ドライブ観光を支援する情報提供に関する研究などを行っています。「北海道における美しく快適な沿道環境の創出に関する研究」では、沿道景観の向上に結びつく具体的な研究などを進めており、北海道の道路の魅力に影響を与えている要因などを検討しています。
 右図のうち、北海道の風景写真に空の面積が50%以上ある場合は、横軸がプラスになっています。これは、風景写真のうち空の面積が50%以上ある場合は、北海道の道路としての魅力に影響を与える度合い大きいということを意味しています。
 これまでの研究調査で得た写真データの中には北海道の雄大な自然など素敵な道の風景写真がたくさんあり、これらの写真を副次的に活用して「素敵な北の道」として公開しております。近年の個人型旅行への転換やレンタカー利用の急増などによるドライブ観光の増加にあわせ、当サイトのアクセス数も徐々に増加し、平成19年度の年間アクセス数は34,000件以上(1日90件以上)に及んでいます。当サイトに収納された素敵な北の道のデータは、北の道ナビ上にある「距離と時間検索」(http://northern-road.jp/navi/time/)とも連動しており、距離と時間検索結果の中におすすめドライブ情報の一つとしても活用しています。
 現在、掲載しているのは、北海道観光定番の札幌、富良野や知床のほか全道138箇所です。北海道でドライブ観光をする計画を持っている方は、是非ご活用ください。


(問い合わせ先:寒地土木研究所 地域景観ユニット)