土研ニュース

UJNR耐風・耐震構造専門部会 第41回合同部会の開催について


日米耐風・耐震構造専門部会委員等による
集合写真(国土技術政策総合研究所にて)

第41回合同部会における論文発表の様子

現場視察の様子
(東京港臨海道路橋製作現場(有明ヤード)にて)

 天然資源の開発利用に関する日米会議(U.S.-Japan Cooperative Program in Natural Resources = UJNR)耐風・耐震構造専門部会の第41回合同部会が、平成21年5月18〜20日につくば市の国土交通省国土技術政策総合研究所で開催されました。本部会は、UJNRに設けられた18の専門部会の一つで、構造物の耐風・耐震設計法などに関する研究成果を日米間で交換するとともに、自然災害から人命及び財産の損失を防止するための総合的対策、技術分野の開拓を目的としています。昭和44年に第1回合同部会が東京で開催されて以来、40年近くにわたり毎年日米で交互に開催されるとともに、ワークショップの開催、共同研究の実施、研究者の交流など活発な活動を続けてきています。
 今回の第41回合同部会では、10名の米国側部会委員を迎え、(1)次世代建築・社会基盤システム、(2)ダム耐震工学、(3)風工学、(4)交通システム、(5)高潮及び津波、(6)建築・社会基盤システムの持続可能な設計〜自然災害軽減の視点から、(7)建築・社会基盤システムの災害時機能維持及び回復、に関する議論を3日間行いました。日米両国による合計21編にわたる論文発表を通して、両国における耐風・耐震技術についての最新情報を交換すると同時に、予定された時間を超過するほどの活発な質疑応答が行われました。また、本部会における今後の活動の方向性についても有意義な議論を行いました。
 合同部会後の5月21〜23日に行われた現場視察では、有明の丘基幹的防災拠点や気象庁の地震監視システム等、地震災害対応の現場を視察するとともに、東京港臨海道路橋や羽田空港新滑走路という大規模プロジェクトの建設現場も訪れました。また、環境に配慮したサステーナブル(持続可能)性をポイントとして設計・建設されたオフィスビルを訪れ、日本の最新の技術の動向を米側に紹介しました。視察旅行中には、米側の参加者から活発な質問が行われ、有意義な意見交換がなされました。



問い合わせ先:土質・振動チーム

「平成20年度 土木学会 国際貢献賞」受賞記念講演会


講演を行う竹内センター長

講演を行うソロシナジー副局長

国際貢献賞授与式での様子

 国連教育科学文化機関(UNESCO)自然科学局 アンドラス・ソロシナジー副局長と、(独)土木研究所 ICHARM 竹内邦良 センター長 両氏が、これまでの長年にわたる国際活動に対して(社)土木学会から「平成20年度 土木学会 国際貢献賞」を受賞されました。ソロシナジー副局長は、1989年からUNESCO水科学部長として各国政府間の学術研究計画に尽力され、ICHARMの設立に際しても多大な貢献をされたこと、また竹内センター長は山梨大学で長年教鞭をとるかたわら、国際水資源学会(IWRA)副会長や国際水文科学会会長等を歴任されるなど水文水資源研究分野におけるわが国の国際化推進に貢献されたこと、及びICHARMの初代センター長として活動基盤の充実に尽力されていることが評価され、今回の受賞につながったものです。
 これを機に、国土交通省 国土技術政策総合研究所と(独)土木研究所の共催により、日本ユネスコ国内委員会、(社)土木学会及び水文・水資源学会の後援のもと、5月29日(金)にホテルメトロポリタンエドモントで「地球気候変化と世界の水問題に関する講演会」を開催しました。
 竹内センター長は『持続可能な安寧社会のための災害管理』と題し、世界の水災害の被害軽減のためには、自然の猛威という外力からの保護と同時に、社会を脆弱にしている内在要因を取り除き、地域や個人レベルでの対処能力を向上させる必要があり、「人の能力向上」が重要であると述べ、その上でICHARMは、「地域主義」 を旗印に地域の能力向上のために、人工衛星を用いた早期警報システムの開発・普及や、水災害・リスクマネジメント分野での研修活動等に取り組んでいることを紹介しました。
 つづいて、ソロシナジー副局長は『水資源に関する地球規模の変化とその影響:土木技術者の新しい挑戦と機会』と題し、地球規模での気候変化や社会・経済条件の変化が、水分野で働く土木技術者にどのような挑戦や機会を与えるかについて講演し、特に流域水管理の上で十分な貯留施設を確保していくことの重要性を強調されました。講演の最後にジョン・F・ケネディの言葉として「水問題を解決できる人は2つのノーベル賞に値する。1つは平和への貢献で、1つは科学への貢献である。」を引用し、世界の水問題解決の意義と困難さを述べられたのが印象的でした。
 約100人入る会場は最後までほぼ満席の状況で、両氏の講演を熱心に聞き入っていました。
 ソロシナジー副局長と竹内センター長は、オーストリアの国際応用システム解析研究所(IIASA)在籍時にルームメイトだった頃からの35年来の友人であり、今回の同時受賞はお二人にとってエポックメイキングな出来事であったとともに、ちょうど1週間前に60歳の誕生日を迎えられたソロシナジー氏にとって「最高の誕生日プレゼント」(同氏)となったようです。



問い合わせ先:ICHARM

   

各種非破壊試験方法の実演が行われました


写真1−共同研究の成果を報告する森濱幹事

非破壊試験の1つ、衝撃弾性波(表面2点法)の例
ハンマーで叩いた衝撃の伝わる速度でコンクリート強度を測る(速いほど固い)

写真2−衝撃弾性波(表面2点法)の実演と見学している状況

 1999年から2007年まで、土木研究所、非破壊検査協会、大学、民間会社(実33機関)と「非破壊・局部破壊試験によるコンクリート構造物の品質検査に関する共同研究」を実施してきました。その後、共同研究の成果をもとに非破壊検査協会規格(NDIS)が作成されています。その成果普及などのために、(社)日本非破壊検査協会・鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験特別研究委員会が主催する2009年度第1回研究委員会が、土木研究所で5月18日(月)に開催されたものです。参加者は、60名でした。
 第1回研究委員会では、@共同研究の成果、ANDISの現状、B各種非破壊試験の概要の報告の後、12種類の非破壊試験方法の実演が行われました。
 午前中、@〜Bの概要が報告されました(写真1)。
@ 共同研究の成果報告
 共同研究の成果が本年4月「非破壊検査」誌に特集され、その成果の概要が土木研究所の森濱幹事より報告されました。
A NDISの現状
 コンクリートに関するNDISの現状が報告されました。
 3月に改正されたばかりのNDIS 1401(コンクリート構造物の放射線透過試験方法)の概要が、蛻艨i日大教授)原案作成委員長より報告されました。
 また、NDIS 2426(コンクリート構造物の弾性波による試験方法)をはじめ、そのほか作成中、改正が計画されているNDISについて森濱幹事より報告されました。
B 各種非破壊試験方法の紹介
 共同研究、NDISに関連する試験方法、最近注目を集めている透気試験(トレント法)に関する概要が報告されました。
 午後には、炎天下の中、12種類の試験方法の実演が、共同研究で使用された大型供試体を用いて行われました(写真2)。
 NDISの普及により、鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験が導入され、信頼性の高い構造物の維持管理に寄与できるものと考えられます。



問い合わせ先:基礎材料チーム

   

知的財産ポリシーの制定について


実施権取得者数の推移

概念図

 土木研究所では、毎年何百件もの研究開発を行っていますが、そこで創り出される成果の中には、より安く橋梁を建設できる技術など利用価値の高い発明等が多く含まれています。それらは全体として知的財産と呼ばれるものですが、個々の発明等は国(特許庁)に申請して認められれば「特許権」や「実用新案権」などの権利として法律により保護され、お金や宝石等と同じように財産としての価値が生じます。
 土木研究所は平成13年度に独立行政法人になって以降、それらの貴重な知的財産をできるだけ特許権等として保有するとともに、それを実際に道路やダムなどの公共事業等で数多く使ってもらうことにより、工事費縮減等の効果を広く社会に還元することを目指しています。その結果、13年度末で266件であった特許権等の保有件数が19年度末には397件になり、6年間で約1.5倍と大きく増加しました。また、使われていなかった特許権や新たに取得した特許権等について活用に向けての普及活動等を積極的に行うことにより、独立行政法人移行後に実施契約を結んだ実施権取得者数が大幅に伸びてきています。
 このように、研究所の業務において知的財産の「創造」・「保護」・「活用」の活発な状態を維持し、さらに発展させていくためには、知的財産に対する研究所の基本的な考え方を明確にし、より戦略的かつ積極的に対応していく必要があることから、昨年度研究所内に坂本理事長を委員長とする知的財産ポリシー策定委員会を設置して検討を進め、平成21年4月1日付けで「独立行政法人土木研究所知的財産ポリシー」を定めました。
 本ポリシーの基本的な考え方は、研究所の業務が個別技術の研究開発だけではなく、社会で広く用いられる技術基準類の作成や技術的課題の解決のための技術指導もあることから、それら全てに関係する知的財産が、総体として社会に最大限の価値をもたらすよう対応するということです。また、研究所の業務の主な対象が土木の公共事業であるという特性を踏まえ、そのニーズに合った戦略的な研究開発を行うとともに、その成果を利用価値の高い財産として権利化し、公共事業の促進や技術の普及に役立つよう積極的に活用することとしています。
 今後は、本ポリシーに基づいて研究所の「創造」・「保護」・「活用」の知的創造サイクルが一層活発化し、より質の高い研究開発成果がさらに大きく社会に還元されるよう鋭意取り組んで行きたいと考えています。



問い合わせ先:技術推進本部

   

CAESARと高松高専 技術力育成に関する協定書締結


協定書を締結し握手する
嘉門校長(左)と大石センター長

定期点検の実施状況
(平成19年9月国土交通省調べ)

現地研修を行う橋梁管理担当者と
高松高専の講師陣

日程表

 土木研究所CAESAR(構造物メンテナンス研究センター)は、平成21年5月29日、高松工業高等専門学校と市町村の道路管理者の橋梁維持管理技術力育成に関する協定書を締結しました。
 我が国の道路橋は、15m以上のものだけでも約15万橋ありますが、そのうち市町村が管理するものはおよそ9万橋、全体の約6割を占めています。その一方で、国が管理する橋では5年に1度行われている定期点検が市町村ではほとんど行われていません。点検を行っていない理由として、技術力不足、財政的な問題、技術者の人材不足といった3つ理由が挙げられています。今後、高齢化が進む道路橋を適切に維持管理していくためには現場で実務に当たる技術者の育成が急務となっています。
 高松工業高等専門学校では、太田貞次教授が中心となり、香川県内の市町の道路管理者が橋の維持管理技術を身につけ、橋の老朽化対策を適切に実施できることを目指した講座活動「実践的橋梁維持管理講座」を昨年から実施しています。各市町が担当する現地研修と高松高専が担当する座学を毎月交互に実施しているのが特徴的な取り組みです。
 今回の協定により、CAESARからは講座に関する講師派遣などの技術協力を行うとともに、協定を通じ、管理の実態やデータを把握し今後の研究開発につなげていくこと、市町村の実状に応じた橋梁維持管理モデルや人材育成方法を蓄積・情報発信し、維持管理に携わる技術者育成に貢献していきたいと考えています。



問い合わせ:CAESAR

   

平成21年度 第1回内部評価委員会の実施


土木研究所研究評価の流れ


第1内部評価委員会の様子

第2内部評価委員会の様子

 4月24日と5月12〜14日につくばで、5月20、21日に札幌でそれぞれ内部評価委員会が実施されました。
 土木研究所では、研究開発の要否、実施状況・進捗状況、成果の質・反映状況等について、事前、中間、事後の各段階で研究開発内容の評価を行っています。
 研究評価は、研究所内での内部評価と大学、民間の研究者など専門性の高い学識経験者による外部評価に分類して行われ、内部評価委員会、外部評価委員会の各分科会、外部評価委員会(本委員会)の流れで審議の積み上げが行われます。
 内部評価委員会は内部評価委員会(つくば)と内部評価委員会(寒地土研)の2つの委員会で構成されており、一部の委員は両委員会の委員を兼任して審議を行っています。
 今年の内部評価委員会では、主に平成20年度に終了した課題の事後評価と平成22年度から開始予定課題の事前評価を中心に審議されました。
 今回の内部評価委員会での結果は、6月初旬〜中旬にかけて行われる外部評価委員会の各分科会の審議を経て、6月26日実施の外部評価委員会において審議されます。



問い合わせ先:評価・調整室

 

千島桜並木一般公開を行いました


一般公開の様子


千島桜

ライトアップの様子

 寒地土木研究所では構内の千島桜並木を4月25日から5月6日に一般公開しました。
 千島桜は北海道では道東や道北を中心に、本州では中部以北の亜高山帯、そして千島、サハリン等に自生している落葉低木で、2〜2.5p程度の淡紅色または白色の花をつける北方系の桜です。
 現在、寒地土木研究所には、構内を流れる精進川沿いに約200本の千島桜が植樹されています。この千島桜は昭和59年に構内美化の一環として植樹されたものです。植樹当初は幼木だった桜も、現在では3〜4mの大きさにまで成長しました。
 そうした千島桜並木を多くの方々に楽しんでもらいたいと平成11年から始めた一般公開も、今年で11年目を迎え、春の恒例行事として地域に定着しました。また、毎年テレビ局が中継を行うなど、札幌における隠れた桜の名所としても有名になってきました。
 今年の公開期間序盤は季節外れの雪が降るなど、天候に恵まれませんでしたが、その後は持ち直し短い開催期間に5,000名以上の皆様にご来場いただきました。
 千島桜は寒さに耐え、ゆっくりと、しかししっかりと成長していきます。寒地土木研究所も千島桜のように寒冷地に根を張り、しっかりと研究活動を進めていきます。



問い合わせ先:寒地土木研究所企画室

 

7月3日(金)・4日(土)に寒地土木研究所一般公開を実施します


昨年の一般公開の様子

昨年の一般公開の様子

研究者の説明を聞く子供達(昨年度)

 寒地土木研究所一般公開は当研究所の研究内容や研究施設を、普段土木研究に接する機会の少ない一般の方々や、お子様達にも知ってもらい、当研究所の研究活動に対する関心や理解を深めていただくことを目的とイベントで、毎年7月の「国土交通Day」の時期に開催しています。
 26回目を迎える今年は「しってなっとく、北の知恵」をテーマに14の研究チーム及び2つのユニットがご来場いただく皆様に楽しめる、遊べる、体験していただけるよう趣向を凝らした研究紹介を取り組んでおります。
 また今年は、土木技術者のための「研究説明コーナー」を設け特別に研究内容について詳しく説明する機会もつくります。時間は7月3日(金)13時から15時30分と限られておりますが、技術的なことでお悩みの方などにお気軽に寄っていただければと思います。
 例年1,500名以上の皆様にご来場いただいております。今年も是非、職場で、学校で、ご家族で、ご友人同士でお誘い合わせの上、たくさんの皆様にご来場いただけますよう、職員一同心よりお待ち申し上げております。

平成21年7月3日(金)、4日(土)
9:00〜16:00(受付は15:30まで)
場 所:
札幌市豊平区平岸1条3丁目1番34号
 (独)土木研究所 寒地土木研究所
詳細はこちらのページへどうぞ
http://www.ceri.go.jp/contents/ippannkoukai/2009koukai.html



問い合わせ先:寒地土木研究所企画室

 

7月29日(水)に土木研究所一般公開を実施します
 〜つくばちびっ子博士〜


昨年の施設見学の様子(試験走路)

ダム水理実験施設

見学の様子(昨年は建設ロボットを公開しました)

 毎年開催している「つくばちびっ子博士」を7月29日(水)に、国土技術政策総合研究所と合同で実施します。
 つくばちびっ子博士とは、つくば市・つくば市教育委員会が主催する全国の小中学生を対象とした一般公開で、つくば市内にある研究機関等において小中学生に科学技術や自然科学に触れさせ、科学に対する興味関心を高めて夢や希望に満ちた未来を考えてもらうことを目的とした科学教育推進事業です。また、見学した施設数や感想文の提出によって、つくば市教育委員会が「つくばちびっ子博士」の認定をします。昨年度は34の研究機関等が参加して、延べ44,806名が参加した人気のある事業として定着し、土木研究所では、構内を循環するバスがほぼ満員の状態で348名(引率する父兄等を含む)が見学しました。
 今年の一般公開では、見学バスを6回運行して、2箇所の施設を見学していただく予定です。試験走路ではバスで走りながら、施設全体の説明をした後、バンクの傾斜や高速走行を体験していただき、ダム水理実験施設では、ダムの模型に実際に水を流す模型実験の様子をご覧いただけます。
 見学バスは予約制で事前に電話で予約する必要がありますが、詳細は決まり次第おってつくば市が発行するパンフレットや土木研究所ホームページなどで周知します。

※公開施設や内容は変更する場合がありますのでご了承願います。



問い合わせ先:総務課