土質・振動チーム PWRI SMD

研究内容のページ

河川堤防に関する分野

  1. 河川堤防の浸透に対する安全性に関する分野
    1. 1.1 河川堤防の浸透による進行性破壊のメカニズムや対策方法に関する研究
    2. 1.2 河川堤防の浸透破壊に係る透水性の簡易調査手法に関する研究
    3. 1.3 河川堤防の浸透対策としてのドレーン工の耐久性に関する研究
  2. 河川構造物の耐震対策技術に関する分野
    1. 2.1 大規模地震動に対する河川堤防の液状化対策としてのドレーン工法に評価・設計法
    2. 2.2 地震後の河川堤防の機能を考慮した耐震性評価技術・対策技術の開発

1.河川堤防の浸透に対する安全性に関する分野

1.1 河川堤防の浸透による進行性破壊のメカニズムや対策方法に関する研究

  河川堤防の浸透に対する現行の対策は、崩壊の範囲やその進行性は考慮されていない。このため、河川堤防の浸透による進行性破壊のメカニズムを模型実験等により把握し、被災の進行性を踏まえた浸透安全性の評価技術や対策技術について研究することで、要対策延長の短縮,対策の優先順位付け、合理的な対策工の設計・施工法を確立を目指すものである。

渋井川
渋井川(宮城県)の堤防決壊
(出典:宮城県委員会資料
実験動画(上から)実験動画(正面から)
(動画をクリックすると別ウインドウで拡大できます)

1.2 河川堤防の浸透破壊に係る透水性の簡易調査手法に関する研究

  河川堤防の浸透破壊は,透水性のコントラスト(土層構成)の影響を強く受けることが分かってきたが,土の透水性は,粒度だけでなく,密度や堆積構造・築造方法でも大きく変わることから、浸透安全性を適切に評価するためには,透水性の分布を現場において直接的に把握する必要がある。 このため簡易で小規模・軽量な試験装置を用いて短時間に堤防の透水性を把握可能な、新たな現場透水試験方法を開発し、浸透に対する堤防の点検・評価の高度化に資する。

透水性の簡易調査手法

1.3 河川堤防の浸透対策としてのドレーン工の耐久性に関する研究

  近年、西日本豪雨のような局所化・集中化・激甚化する降雨・洪水による堤防の被害が頻発しており、堤防強化が課題となっている。膨大な延長を有する河川堤防の対策工法には、安価かつ長期的に対策効果を維持していくことが求められている。
 本研究では、河川水や雨水の繰返し浸透による周辺盛土の目詰まりや土粒子の吸出しが、ドレーン工の耐久性に与える影響について解明し、ドレーン工の耐久性を考慮した設計法の構築を行う。

ドレーン工の耐久性

2.河川構造物の耐震対策技術に関する分野

2.1 大規模地震動に対する河川堤防の液状化対策としてのドレーン工法に評価・設計法

  河川堤防の液状化対策としては,グラベルドレーンや排水機能付き矢板などがあるが、大きな地震動により排水が不十分になった場合の効果を簡易に評価する方法がなく、レベル2地震動に対応した「河川堤防の液状化対策の手引き」(H28.3)ではこれらの工法の採用が見送られた。
  しかし、東日本大震災では,グラベルドレーンによる対策が効果を発揮した事例を確認しており、レベル2地震動が作用した時のグラベルドレーンや排水機能付き矢板の効果や、模型実験や高度な数値解析により検証し、排水効果を簡易に評価・設計する方法を開発を目指すものである。

河川堤防の液状化対策

2.2 地震後の河川堤防の機能を考慮した耐震性評価技術・対策技術の開発

  現状の河川堤防の耐震対策は、地震後の沈下量(堤防天端高)のみに着目した耐震性評価、対策工設計を行っている。しかし、沈下量の他にも亀裂等の変状の影響も考えられるが、これに対しては定量的な評価手法や対策工設計の考え方が確立されていない。このため、地震後の堤防機能(沈下量・変状度)を考慮した河川堤防の耐震性評価技術、対策技術の開発を行っている。

地震後の河川堤防の機能

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