土木研究所 構造物メンテナンス研究センター

損傷したRC橋脚への対応

橋を構成している部材に損傷や変状等を確認した際、道路管理者は当該部材の特性と損傷状況等を踏まえ、供用安全性、耐久性の確保の観点から、適切な維持管理を行っていくことが求められます。
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により被災した、河川を横架する単純PCプレテンT桁橋において、被災後約2年間でRC橋脚のひび割れが進展していることが確認され、原因究明及び今後の対策検討のための技術支援を行いました。既存資料の確認や橋脚毎のひび割れ傾向の確認、現地の地盤調査等を行った結果、地震の影響によりケーソン基礎側方の地盤や支持地盤に液状化が発生、これに過去に増設された歩道の死荷重の偏心載荷が加わり、不同沈下が生じたものと推定しました。本要因分析を踏まえ現状の耐震性能を評価した結果、同程度の地震動を受けた場合RC橋脚の変状が更に進展する可能性があることが分かったため、監視カメラの設置や常時モニタリングの実施により、ひび割れの進展や変位の変化等を監視し、これらの監視データを蓄積した上で耐震性能の評価の精度向上にも活用していくことにしました。

橋梁全景 写真-1 橋梁全景
平成23年7月 平成23年7月
平成25年1月 平成25年1月
平成25年7月 平成25年7月 写真-2 ひび割れの進展

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損傷が生じたRC橋脚に対する診断と維持管理への対応事例、土木技術資料、Vol.57、No.1、pp.55-56、2015.