研究成果の紹介

劣化アスファルト舗装の再生利用に関する研究


図1 アスファルト舗装材料のリサイクル

図2 アスファルトの溶剤抽出と品質試験

新たな品質評価方法

■アスファルト舗装材料のリサイクル
 日本国内の道路舗装は、戦後の高度成長期に急速に整備されたこともあり、その多くがアスファルト舗装です。破損し撤去された舗装材料は、かつては最終処分されていたものの、昭和40年代後半からのリサイクル技術(図1)の開発の取り組みにより基準等も整備され、昭和60年代からは本格的な普及が進められてきました。その結果、アスファルト舗装からの発生材の再資源化率は、平成12年度には98%と極めて高い率を達成し、以後その再資源化率を維持しています。アスファルト舗装は、繰返し使用されており、リサイクル推進の優等生であると言えます。

■劣化等によるアスファルト材料の品質変化
 しかしながら、舗装のリサイクルが広く浸透して一般化したため、何度も再生利用されたアスファルト舗装材料が多くなっており、経年に渡る劣化が進行したアスファルトが増えてきていると考えられます。このため、繰返し使用しても持続可能な再生利用の品質基準が必要になっています。さらに、最近では舗装の多機能化等が求められる場面が増え、路面に水が溜まらない排水性舗装に代表されるように、改質アスファルトを使用することも多くなってきています。材料劣化の進行やポリマー改質剤の混入により、現行基準に合致しない舗装発生材の増加が懸念されています。ポリマー改質アスファルトは有機溶剤に溶けにくい場合があり、既存の品質評価法(図2)が適用できないという問題もあります。このため、舗装発生材の品質の変化を考慮した高度なリサイクル技術の確立が必要になっています。

■再生アスファルト舗装材料の品質評価方法
 さまざまな品質の舗装発生材を適切に再生利用するためには、舗装発生材の品質を的確に評価し、再生利用のための配合設計を行う必要があります。本研究では、変形しやすさを試験する新しい評価試験方法や再生時に使用する添加剤の品質について、長期耐久性の明確化を目的として研究を行っています。
 これまでの成果から、劣化アスファルトや改質アスファルトを同じ基準値で評価でき、また、有機溶剤を使用しない試験方法が得られました。さらに、様々な材料試験や現道での試験舗装などから、繰返しリサイクルしても持続可能な再生材の混入率の目安や、再生用添加剤の品質などを調べています。



(問い合わせ先:新材料チーム舗装チーム