土研ニュース

土研新技術セミナー「下水道のエネルギー活用・コスト縮減に関する技術」を開催しました


セミナー開催状況(H23.1.27)

新技術講習@「みずみち棒を用いた重力濃縮技術」

新技術講習A「過給式流動燃焼システム」

新技術講習B「消化ガスエンジンシステム」

 1月27日(木)に東京都内において土研新技術セミナーを開催しました。 本セミナーは、土木研究所で開発した技術のうち、土木施設の建設や維持管理が従来よりも安く・速くできたり、環境に有害なCO2の排出を減らせるなど効果の高いものを厳選し、それらを使うことになる技術者の皆さんに、すぐに活用できるよう使用方法や注意点、コストなどの詳細な説明を行うものです。
 今回は、「下水道のエネルギー活用・コスト縮減に関する技術」をテーマとして開催しました。まずはじめに、国の下水道技術行政を担当する国土交通省下水道企画課の白崎下水道技術開発官から、「下水道技術に関する最近の動向」と題して講演をいただき、次に以下の3つの技術を紹介しました。

@「みずみち棒を用いた重力濃縮技術」
 下水処理場で下水を処理する際に、汚泥からできるだけ水分を取り除き濃縮することができれば、汚泥の処分費用を大幅に安くすることができます。みずみち棒を、汚泥を濃縮するタンクの中の攪拌機に取り付けることにより、それを実現することができました。詳しくは次のアドレスへ
http://www.pwri.go.jp/jpn/seika/newtech/mizumiti/index.html

A「過給式流動燃焼システム」
 下水の汚泥を焼却して処分する際に、少し圧力を高めてやることにより燃え方を良くするとともに、システムに組み込んだ過給機(自動車等で使っているターボチャージャー)で圧縮空気を新たなエネルギーとして作ることにより、燃やすのに必要な電気やエネルギーを減らすことができ、それに伴ってCO2などの温室効果ガスの排出を減らせる技術です。詳しくは次のアドレスへhttp://www.pwri.go.jp/jpn/seika/newtech/turbo/index.html

B「消化ガスエンジンシステム」
 下水処理で発生する消化ガス(メタンガス)を燃料として利用し、発電することができる小型で安いエンジンのシステムです。下水処理場以外でも食品廃棄物や畜産分野などメタンガスが発生する場所であれば、有効に利用することができます。詳しくは次のアドレスへhttp://www.pwri.go.jp/jpn/seika/pdf/newtech/syoukaengine.pdf

 当日は、民間企業や国土交通省、地方公共団体、公益法人などから約60名の方々に参加をいただき、最後まで熱心に聴講いただくとともに活発に質疑も行われました。今後も新たなテーマを設定し、効果の高い技術を厳選してセミナーを開催していきますので、是非皆様のご参加をお願い致します。



問い合わせ先:技術推進本部

三井国土交通副大臣が寒地土木研究所を視察


写真−1
川村所長からの概要説明(副大臣は右から2人目)

写真−2
ワイヤーロープ式防護柵の視察(副大臣は左端)

写真−3
西上席研究員からの説明(副大臣は右から2人目)

 去る1月22日(土)、三井国土交通副大臣が当研究所を訪れ、研究開発の現状や実験施設等を視察されました。
冒頭、川村所長から当研究所の概要や積雪寒冷地が抱える土木技術上の様々な課題を説明し、現在、重点的かつ集中的に取り組んでいる研究開発等について、紹介しました(写真−1)。
 寒地交通チーム葛西上席研究員からは、民間企業と共同開発し、国土交通省推奨技術の第1号として選定された「ランブルストリップス」(正面衝突事故防止対策)について、研究目的や効果、技術の普及状況等を説明し、この技術により正面衝突事故が大幅に減少するなど高い効果が得られていること、道内はもとより道外へも着実に普及していることなどを紹介しました。
 また、同チームが2車線道路の中央分離施設として導入を目指し研究開発を進めている「ワイヤーロープ式防護柵」について、本年1月に実施した迫力ある衝突実験の映像を交えて紹介し、三井副大臣からは、「実用化の目処は?」との質問があり、この技術の早期実現に期待を寄せていただいているとの印象でした。
 実験施設等の視察では、構内に設置している「ランブルストリップス」を車で走行し、実際の効果を体験していただきました。「ワイヤーロープ式防護柵」については、当初、車中からの視察予定でしたが、三井副大臣の希望で急遽、降車し間近で見られるなど、この研究への関心の高さが窺われました(写真−2)。
 最後に第3実験棟へ移動し、寒地構造チーム西上席研究員から「RC床版の耐久性向上に関する研究」について、積雪寒冷地における道路橋床版の凍害等による劣化損傷等の現状と課題の説明をしました。また、実際に道内で供用され劣化損傷を受けた道路橋の床版と、車両の走行状態を模擬できる輪荷重走行試験機を見ていただき、これらを活用して劣化損傷のメカニズムを解明し、耐久性・補修補強効果等を実験的に検証しているとの説明を行いました(写真−3)。
 三井副大臣は、劣化損傷を受けた道路橋床版を興味深くご覧になり、「このような寒冷地特有の問題に対し、限られた予算の中で、効果的な対策方法を検討している状況が分かった。」とのお話しがありました。
 また、今回の視察に先立ち訪れた「2011ふゆトピア・フェア」では、寒地機械技術チームがロータリ除雪車の通年活用を目指し研究開発を進めている「アタッチメント方式による路面清掃装置」を視察されました。本来、冬期間にしか使用されない除雪機械をオールシーズン有効に活用することで、道路維持管理コストの縮減を図る取り組みもご覧になりました。


問い合わせ先:寒地土木研究所 企画室

   

ICHARMが国連アジア太平洋経済社会委員会とワークショップを共同開催しました
 〜 アジアにおける水災害リスク軽減のための衛星利用について 〜


ワークショップの様子

参加者による洪水分析結果のプレゼン

アンケートにおける主な意見

 2010年 12月 7〜 9日、バンコクにおいて、アジアにおける水災害リスク軽減のための衛星利用に関するワークショップが、ICHARMと国連アジア太平洋経済社会委員会(UN/ESCAP)により共同開催されました。
 参加者は、60名をこえ、参加国は、バングラディシュ、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、パキスタン、フィリピン、韓国、ベトナム、タイ、及び日本の 12カ国、参加機関は、アジア防災センター(ADRC)、メコン委員会(MRC)、並びに、本ワークショップの協力機関でもある世界気象機構(WMO)や ESCAP/WMO台風委員会など多岐にわたりました。
 ワークショップの目的は、洪水リスク評価、洪水予報、及び早期警報、避難など水災害リスク軽減のための衛星技術に関する情報の共有及び、衛星技術を活用した IFAS(人工衛星によって観測された雨量情報を用いた総合洪水解析システム)の実践的な活用に関するトレーニングをすることです。
 1日目から 2日目前半にかけては、気象庁などの参加機関からアジアにおける水災害リスク軽減のための衛星利用について、全体的な説明があり、各国による主に衛星技術を活用した災害対策の実例についての報告があり、それにもとづく議論がありました。
 2日目の後半から 3日目は、ICHARMによる IFASの実習が行われ、参加者は自国のデータを使って、流出解析を行いました。中には、パラメータの調整までを行い、精度の高い計算結果が得られた参加者も見受けられました。このように、多くの参加者に、衛星技術に関する知識に加えて、その実践的な活用としてのIFAS研修を効果的に提供することができました。
 ワークショップの後に行われたアンケートの感想は、ほとんどが IFASに関するものでした。これにより、IF ASの洪水管理への有用性、さらには、より多くの機会を作って欲しいなど多くの要望を得ることができ、参加者のIFASに関する関心の高さとさらなる研修機会の必要性が強く感じられました。
国連アジア太平洋経済社会委員会の関連HP:
http://www.unescap.org/idd/events/2010-JAXAicharm7-9DEC/



問い合わせ先:ICHARM 防災チーム

      

第24回寒地土木研究所講演会を開催しました


川村所長の挨拶

丹保理事長の講演

プログラム

 平成22年11月12日(金)、かでる2.7(札幌市)で第24回寒地土木研究所講演会を開催しました。当日は平日にもかかわらず400名近い方々にご来場をいただきました。
 本講演会は、当研究所の研究成果や寒地土木技術に関連するトピック等を多くの方々に紹介するため昭和61年から行っており、今回で24回を数えます。
 特別講演では、水環境工学、都市水工学を専門とし、北海道大学総長や各学会等の多くの要職を歴任され、現在は地方独立行政法人北海道立総合研究機構の初代理事長を務められております丹保憲仁氏をお招きして、「環境の時代?」と題し、ご講演をいただきました。丹保氏は「近代の大成長によって地球が相対的に縮小(過密化)し、その構造的帰結として文明の大都市化が地球規模で起こっている(グローバリゼーション)。それに伴う様々な歪みによって近代は終焉に向かい、新時代を模索していくことになる。」と提起し、「近代の後期、すなわち環境制約の時代を迎え、我が国が文明の最先端にあることを自覚すれば、世界の最先端で後近代へ向かう地域として、新しい価値観による新文明を創造することができるだろう。」と、来たるべき時代を見据えて鋭く分析されました。
 一般講演では、寒地土木研究所の積雪寒冷地に対応した土木技術や技術の普及について、3人の研究者から発表があったほか、茨城県つくば市にあるつくば中央研究所から火山・土石流チームの石塚忠範上席研究員を招待し、「最近の土砂災害を巡る状況について」講演しました。
 また、かでる2.7内1階ロビーで行った「寒地土木研究所パネル展」では、各研究チームの研究成果をパネル、模型、パンフレットなどでわかりやすく展示し、来場者から好評を博しました。
 今年もたくさんの皆様のご来場を頂きましたこと、心より感謝申し上げます。



問い合わせ先:寒地土木研究所 企画室

   

講演会「近年の火山噴火活動と噴火災害対策について」開催報告


講演の様子(1)

講演の様子(2)

プログラム

1.講演会の概要
 2010年は、多くの犠牲者を出した雲仙普賢岳の噴火開始から20年、有珠山、三宅島の2000年噴火から10年の節目の年でした。そこで、次なる噴火災害に備えて今後必要となる研究の方向性について展望を得るため、近年の火山噴火災害とその対応を振り返り、最近の火山学、砂防学における火山噴火災害対策・研究の現状と課題について、それぞれの分野の専門家による講演会を開催いたしました。

2.講演内容
 藤井氏の発表では、火山噴火のメカニズムに関する基礎的な話や、火山噴火がもたらす様々な災害について、国内外の事例が織りまぜられた解説がなされました。最近、顕著な火山噴火災害は起きていないが、約7,000年に一度の頻度で、破局的な大規模噴火が発生している等、日本では火山噴火がいつ起きてもおかしくないことが強調されました。しかし、火山噴火予知は未だに困難であり、とにかく監視体制の整備が重要であることが指摘されました。
 松井氏の発表では、ご自身の建設省雲仙復興工事事務所(当時)初代所長としての体験に基づき、火山噴火後の対策の困難さ、課題が紹介されました。特に、被害が拡大したにもかかわらず十分な対策が困難であった初期の対応を振り返った内容が紹介され、対策を行うための土地の確保等事前準備の重要性と、噴火中または噴火終了直後に最も多くの土砂が流出するという火山ならではの特性を有した土砂流出に対して、その状況を監視し、可能な限り迅速に対応することの重要性が述べられました。

3.今後の火山噴火対策・研究の課題と展望

 現在、新燃岳が噴火しているように、我が国において噴火災害はいつか必ず発生する災害です。しかし、その一方で、両講師からは、火山噴火予知技術、火山噴火災害対策技術はまだ十分な水準にあるとは言えず、監視・観測体制の強化、事前準備の重要性が強調されました。火山噴火は通常の風水害とは異なり、頻繁に発生するものではありません。そのため、噴火災害時においては、目前の噴火災害への対応のために観測・監視体制を強化することはもちろんのこと、今後の研究開発のためのデータ収集も同時に行うことが重要であると言えます。



問い合わせ先:火山・土石流チーム

      

シンポジウム「寒地土木研究所における農業気象研究」の開催


(左)秀島グループ長、(右)松澤上席研究員の講演

(左)中村上席研究員の講演、(右)シンポジウムでの討論

プログラム

 平成22年12月6日(月)、当研究所講堂において、シンポジウム「寒地土木研究所における農業気象研究」を開催しました。このシンポジウムは、日本農業気象学会北海道支部と(独)土木研究所寒地土木研究所との共催で実施しました。また、シンポジウム前には日本農業気象学会北海道支部2010年大会があわせて開催されました。
 本シンポジウムでは、寒地土木研究所の研究者3名が、それぞれ異なる角度から北海道の基盤整備と気象についての講演を行いました。

 秀島グループ長の講演では、農業全般にわたる水文・気象環境についての説明や農業とエネルギー消費の関係、農村地域のCO2収支など、多岐にわたる話題が取り上げられました。
 松澤上席研究員は、日常生活と密接する道路での吹雪について、その発生メカニズムを解説し、吹雪対策に関する研究やホームページを活用した情報提供システムについての紹介をしました。
 中村上席研究員は、将来予測されている気候変動に伴って降雪・降水量や融雪時期がどのように変化するかについて説明した後、ダムでの用水量管理に必要な積雪水量の推定手法に関して講演しました。
 3名の講演後、北海道大学院の浦野愼一教授と北海道農業研究センターの廣田知良チーム長の2名が加わり、総合討論を行いました。総合討論では、北海道では、昨年の多雨や今年の高温のような気象変化が生じており、このことが今後の農業にどのような影響を及ぼすかなどについて議論がなされました。



(問い合わせ先:寒地農業基盤研究グループ雪氷チーム

平成22年度 外部評価委員会の開催


表-1 委員会出席者

表-2 プロジェクト研究

委員会の様子

 1月31日に土木研究所外部評価委員会が開催されました。
 来年度から新たな中期目標期間が始まることから、今回の評価委員会では、新たな体制の下、来年度から開始するプロジェクト研究の事前評価について、各分科会での審議内容の報告に対する討議が行われました。
 委員会では、分科会毎に分野の概要説明と評価結果の報告および質疑を行い、最後に委員長から全体講評をいただきました。
 各委員からは、「プロジェクト研究間の連携」「他機関との連携」「土研の役割の明確化」「課題の設定」など様々な助言をいただくと共に、各分科会の評価結果が承認されました。



問い合わせ先:評価・調整室

      

科学技術週間:平成23年4月22日(金)は中止になりました


 当初、4月22日に予定していた「土木研究所と国土技術政策総合研究所が共催する科学技術週間に伴う一般公開」は、中止になりましたのでお知らせします。

問い合わせ先:総務課