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湖岸につくられた水質浄化の実験施設

 水辺に茂るヨシ原は美しい景観を造るだけでなく、水を浄化する機能も持っています。琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センター(Biyoセンター)は、ヨシをはじめとした水生植物の水質浄化実験を行なっています。滋賀県草津市の琵琶湖湖岸に位置する同センターは、国土交通省近畿地方整備局、滋賀県、水資源機構が共同で整備し、平成9年7月にオープンしました。琵琶湖や淀川の水がどうすればきれいになるのか、湖岸フィールドにつくられた様々な実験施設を用いて、企業や大学と連携を図りながら水質浄化技術の開発を行なっています。

 25,000m2の広大な敷地には植生浄化実験施設、土壌浄化実験施設、湖岸フィールド実験施設など十数種類の実験施設があります。これらの施設は一般にも公開されているので新しい取り組みを実際に見ることもできます。また、各施設には実験概要を示す解説パネルを設置しているので水質浄化の仕組みを学ぶこともできます。葉山川でポンプアップされた水は各実験施設で浄化された後、琵琶湖に放流しています。放流口では、この浄化水と葉山川の河川水を並列して流しているので、水質浄化の効果を目で見て実感することもできます。

 施設中央にある見学者棟では、同センターで行なっている実験概要だけでなく、琵琶湖や淀川流域について職員の方から説明を受けることができます。また、実験施設を活用した自然観察会も行なわれていて、小中学生の自然観察の場としても利用されています。

 実際の自然環境に近いスケールの実験施設で、植物や土などを使った自然の浄化作用の効果を実感してみてはいかがでしょうか。


真田誠至

(独)土木研究所 自然共生研究センター

実験施設の入り口
植生浄化実験施設と見学者棟
実験施設には解説パネルを設置
浄化水と原水を比較できる水路