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保水性舗装の効果

   アスファルトやコンクリートの舗装表層に水分を保持して、蒸発に伴う潜熱輸送により舗装表面の高温化を抑制できる保水性舗装の開発が昨今盛んとなっています。そこで、東京23区の全道路に保水性舗装を導入した場合の気温低減効果を試算し、今後の技術開発がもたらす影響を見ました。計算に際して、保水性舗装の蒸発効率については土木研究所の実験結果(土木研究所,2000)を参考にし、蒸発効率(β法の定数β)の値として0.06,0.15の2通りを与えました。蒸発効率は対象期間中、一定値としました。
    大手町と練馬における気温低下量を図-1に示します。東京23区の道路面積率は約15%を占めており、仮にこれら道路全てで蒸発効率0.15が常時確保できれば、大手町と練馬の気温の低下量は水面再生や屋上緑化と同等程度になることがわかります。また、熱収支(図-2)で見てみると、保水性舗装の導入により顕熱輸送量が大幅に減少し、路面温度も10℃程度低下しています。
    保水性舗装の技術は開発途上であり、表面温度抑制効果の持続期間は2日程度と短いのですが、将来的な技術開発により持続性が改善されれば、大きな効果をもたらす可能性を持っていると言えます。

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図-1 保水性舗装導入による気温変化量の時間変動
(かっこ内の数字は蒸発効率の値)

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図-2 保水性舗装導入による各熱収支成分の変化量
熱収支成分の変化量は,保水性舗装導入後から現状を引いた値である。



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