3次元の多自然川づくり支援ツール
目次
① iRICソフトウェアと連携した3次元の多自然川づくり支援ツールとは
④ 3次元の河道地形編集ツールRiTER 3D、TINのデータ削減ツールTIN Simplifierの公開 NEW
⑤ 景観を評価するためのバーチャルツアーと仮想現実を使ったツールの公開
⑥ iRICソフトウェアを使って「3次元川づくり」を体験しよう!
①iRICソフトウェア と連携した3次元の多自然川づくり支援ツールとは
iRICソフトウェアが、河道計画、河道設計にも役に立つ「多自然川づくり支援ツール」となるように開発を行っています。
図は、多自然川づくり支援ツールの全体像を示しています。大きく分けて川づくりに重要な3つの機能を支えるツール群です。
1)地形を柔軟に改良でき、工夫を直ちに計算に反映する地形編集ツール ~ RiTER ~
2)洪水時の安全性を評価するツール ~ iRICソフトウェア ~
iRICは緑の線を網羅します。
3)河川環境の定量評価ツール ~ EvaTRiP ~ となります。
②河川環境評価ツールEvaTRiPの公開
河川環境評価ツール EvaTRiP (EvaluationTools forRiverenvironmentalPlanning)
iRIC上で動作するソルバーの一つで、水理計算結果を用いてそれを環境評価に応用します。現状のツールでは、以下の4つの機能を有しています。
護岸要否の評価:流速に対して護岸の要否箇所を評価することができます。
移動限界粒径の評価:砂礫が移動を開始する限界の単一粒径を評価することができます。
陸生植物生育可否の評価:河道内の陸生植物の生育の有無について評価することができます。
魚類生息場の評価:魚魚種の生息場評価(Habitat Suitable Index)を評価することができます。
SI値を工夫することで瀬や淵といった特定の条件を抽出することもできます。
【EvaTRiPのダウンロード】
iRIC のウェブサイトにアクセスください。ログインの後に、EvaTRiPがダウンロードできます。最新版のiRICをインストールすることで、EvaTRiPもインストールされます。 魚類生息場評価に用いる生息場好適度(SI)を定義する選好度曲線については、既往の知見を取りまとめたこちらのデータセットをご利用いただけます。参考情報としてお使いください。
③河道地形編集ツールRiTERの公開
地形編集ツール RiTER(RiverTerrainEditor)
河道やその周辺の地形編集を柔軟に行うためのツールです。以下の2つがあります。
RiTER Xsec:河道断面(横断図)をベースとした地形編集機能ツールです。河床変動前後や改修工事前後などの土量計算を行うことが出来ます。
センターが開発するRiTER Xsecがi-conに対応可能となりました
当センターではiRIC研究会と連携しiRICソフトウェア*上で使える地形編集機能RiTER Xsec**の開発を通じて3次元川づくりとi-constructionを推進しています。この度
● DEMデータから河道に沿って一連の横断図を抽出する機能を追加しました
● 編集した地形をLandXML形式で出力できるようになりました
これまでは別途横断データを読み込んで、平面位置を合わせる必要などがあり大変手間でしたが、今回追加した横断抽出機能によって、近年活用が広がるUAVやALBなどの面的な測量成果をそのまま生かして設計作業に入ることができるようになりました。
また、LandXML形式に対応したことで、ICT建機へのデータ入力が大幅に改善しています。簡単な維持掘削であれば、RiTER Xsecだけでi-constructionができるレベルにまでなっています。
もちろんiRICソフトウェアは水理解析ソフトウェアですから、すぐに水理解析に進めますし、EvaTRiPを活用した環境解析までシームレスに行うことが可能になっています。
ぜひとも活用していただき、さまざまなご意見をいただければ幸いです。
*iRIC(アイリック)ソフトウェアとはiRIC研究会が中心となって開発された無料で高性能な2次元水理・河床変動計算ソフトウェアです。幅広い場面で多くの方々に活用されています。
iRICホームページ(https://i-ric.org/ja/)よりダウンロード可能です。
**RiTER Xsec(ライタークロスセクション)とは当センターが開発する横断図上の拡幅、掘削操作で3次元的に地形を操作する機能。iRICソフトウェアの一機能となっておりソフトウェアをインストールすると利用できます。実務者が慣れている横断図をベースとしたわかりやすい操作感と、結果をすぐに水理計算に用いることができるのが大きな特徴です。
<主な機能>
- 官民境界や道路といった参考情報を、平面図
- 横断図連動して表示
- 法勾配を確認しながら操作
- 平面図や航空写真の重ね合わせ機能b
- 背景格子スケールの表示で直感的にわかりやすい操作画面
- 面的な測量成果(UAVやALBなど)から河川横断データを抽出
- 操作後の地形データをICT建機で利用できるLandXML形式でエクスポート
RiTER 3D:3次元の地形の起伏をそのまま取扱い、編集する機能です。iRIC とは別のソフトウェアとして機能します。beta版が公開されています。
④3次元の河道地形編集ツールRiTER 3D、TINのデータ削除ツールTIN Simplifierの公開 NEW
・3次元河道地形編集ツール「RiTER 3D」
・TINのデータ削減ツール「TIN Simplifier」
をiRICに実装しました。
◎開発のポイントは以下の3点です
1)iRICで3次元地形を編集することが可能となりました(RiTER 3D)
2)編集した3次元地形データはデータ変換などの必要がなく、すぐにNay2DHなどで計算することが出来ます(ほぼシームレス)。
3)3次元地形はデータ量が大きくPC上での扱いが難しかったですが、TINデータ削減ツール(TIN Simplifier)を開発することで、データの扱いを容易にしました。
インストール方法や操作方法に関するマニュアル(案)のダウンロード
(↑クリック)
【以前公開していたRiTER3D(beta版)】
RiTER 3D(beta版)について
3次元による地形編集が可能なRiTER 3D (beta版) を公開しました。以下のチュートリアルをご参照ください。なお、RiTER XsecはiRICの機能の一部となっており、最新版のiRICをインストールすることで利用できるようになります。
チュートリアル(地形作成編)(PDF)
チュートリアル(地形編集編)(PDF)
プログラムソースの取得を希望される方は、以下のお問い合わせ先にご相談ください。追ってご連絡いたします。 E-mail: kyosei4@pwri.go.jp
【国総研・河川研究室がRiTER 3Dを公開】
国土交通省 国土技術政策総合研究所 河川研究室が、河道設計等に使用することを目的とした三次元地形データ編集ソフトRiTER 3Dを公開しました。 自然共生研究センターとの共同研究の成果です。
上記、RiTER 3D(beta版)の改良版となります。
以下よりダウンロードできますので、ぜひご使用ください。
⑤景観を評価するためのバーチャルツアーと仮想現実を使ったツールの公開
近年、注目を集めているのが「バーチャルな空間」の利用です。「現実」にある世界を「バーチャルな空間」に表現することで、その場を訪れなくても、景観を確認することが出来ます。さらに、「現実」をベースに将来の変化を「仮想現実」として表現すれば、景観がどのように変化するのかも確認することができます。そこで、河川整備を予定している地域において、360度写真を撮影して整備前の「現実」を移動するバーチャルツアーと、整備後の状況をゲームエンジンで作成した「仮想現実」を移動するバーチャルツアーを作成しました。どちらも同じ地点(視点場)からの景観を整備前後で比較することができます。
このバーチャルツアーを皆さんに体験していただけるように公開しました。ぜひご体験ください。作成マニュアルも公開しています(作成にはソフトウェアの購入が別途必要です)。
バーチャルツアーとは
利用する人が自由に見たい場所を移動し、その場の360度風景を体感することができるソフトウェアです。好きな場所から整備前後の風景を見渡すことができ、河川内空間だけではなく背後地との関係性も確認でき「河川がある空間」としての評価や比較も可能になります。 バーチャルツアーの視聴には、パソコン、スマートフォン、タブレット、大型テレビ、VRゴーグルなどが対応しています。
仮想現実とは
近年の仮想現実は、ゲームエンジンというソフトウェアを使って作成されます。作成された仮想現実は、実際の風景と見間違えるほどの高画質で整備後の風景(将来の変化)をよりリアルに近い形で確認することが出来ます。
作成した河川
愛知県梅田川(豊橋市)KP3.6~KP4.6を対象として、①整備前を把握できる「360度写真から作ったバーチャルツアー」②整備後を把握できる「仮想現実から作ったバーチャルツアー」を作成しました。
バーチャルツアーの操作方法
バーチャルツアー内では、左上平面図内の点か画面内の赤丸をクリックすると、その場所に移動し、360度風景を体験できます。場所によっては現地の音を聞くことができます。
仮想空間の作成マニュアル
仮想空間の作成マニュアルについては、九州地整九州技術事務所HPで公開されています。https://www.qsr.mlit.go.jp/kyugi/office/topics/gameengine.html
バーチャルツアーの体験はこちら
作成手引きはこちら
バーチャルツアーを作成するソフトウェアとして、3Dvista Virtual TourPROを使うための手引きです。
注意事項
・本資料の公開主体は、土木研究所自然共生研究センターです。
・本資料の公開ライセンスについては、クリエイティブ・コモンズ「CC
BY」に準拠していただきますので、本資料の複製、頒布、展示、実演を行うにあたっては、「土木研究所自然共生研究センター」公開の資料を利用した旨の表示をお願いします。
(参考:https://creativecommons.jp/licenses/)
⑥iRICソフトウェアを使って「3次元川づくり」を体験しよう!
今後の川づくりにおいては、計画の初期段階から環境や維持管理についても定量的な評価を行い、目標流量の流下と環境・維持管理の双方を満足する河道の形状を模索していくことが重要となります。
この解消の1つの手立てとして、河道計画の際に手助けとなるツールを試行的段階ではありますが、提供することとしました。
今後は機能をより拡充し、治水・環境・維持管理の計画から設計までを一体的かつ短時間で検討できるものへと発展させる予定です。 なお、今回提供したツールによって得られた評価結果は計画・設計を行うための一つの材料であり、これ以外の様々な条件を勘案して断面設定等の判断を行う必要があります。
例えば、魚類の生息場評価は、流れの計算に基づく流速や水深から得られるある魚種の生活史の一段階における生息場ポテンシャルの評価結果であり、多様性を保全するためには、
連続性や生物間相互作用等々な視点を踏まえる必要があります。
これらの点に留意いただき、本ツールを活用されることを期待しています。本ツールは現場でより有効活用していただけるよう、今後も適宜更新を行っていく予定です。
自然共生研究センターでは、iRICソフトウェアを活用した「多自然川づくり支援ツール」の開発を通じ、河川空間を3次元で取り扱う新しい川づくり「3次元川づくり」を推進しています。
多自然川づくり支援ツールとして開発を進める、河道地形編集ツールRiTER、および河川環境評価ツールEvaTRiPについては、講習会の開催等により技術の普及を図ってきましたが、
このたび多くの方に体験していただくため講習会で用いた資料・データを公開することになりました。使用にあたっての注意事項をご確認いただき、奮ってご活用ください。
注意事項
・本資料の公開主体は、土木研究所自然共生研究センターです。
・本資料の公開ライセンスについては、クリエイティブ・コモンズ「CC
BY」に準拠していただきますので、本資料の複製、頒布、展示、実演を行うにあたっては、「土木研究所自然共生研究センター」公開の資料を利用した旨の表示をお願いします。
(参考:https://creativecommons.jp/licenses/)
・問い合わせについては、原則非対応としますが、誤りの発見や有益な助言については歓迎いたします。自然共生研究センター問い合わせ(kyousei4 (at)
pwri.go.jp)よりご提案ください。
・本資料の利用に対するいかなる損害等においても、免責するものとします。
・iRICソフトウェアおよび一部情報の著作権はiRIC研究会に帰属し、本資料は許可を得て公開しているものです。したがって、本資料の内容については、iRIC利用規約(https://i-ric.org/help/terms/)にも関係する箇所があるので、合わせてご確認ください。iRICを用いて解析した結果にはiRICのロゴマークなどを入れる必要があります。
資料のダウンロードはこちらから(ファイルサイズ33.7MB):https://forms.gle/TM9mzMcPWh1ZQzDC8 (簡単なアンケート回答後にダウンロードURLが表示されます。回答時間:1~2分程度)