微破壊・非破壊試験による新設の構造体コンクリート強度測定要領 (案)
国土交通省では、コンクリート構造物の品質確保を一層図るとともに、監督・検査の充実を目的として、平成18(2006)年より「微破壊・非破壊試験を用いたコンクリートの強度測定」が行われています。
平成30年10月24日(改定)には、国土交通省から「非破壊試験によるコンクリートの品質管理について」が通知されています。強度測定については「微破壊・非破壊試験によるコンクリートの強度測定を用いた品質管理について(別紙1)」によって行うことになっています。
別紙1によると、微破壊・非破壊試験によるコンクリートの強度の品質管理は、「微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領」(以下「要領」という。)に従って実施することになっています。
測定者については、要領6.2に「測定者の有する技術・資格などを証明する資料(以下、証明書という。)を常携」することになっています。
要領および証明書については、平成30年10月24日に通知(改定)された「微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領(解説)」(以下「解説」という。)に記述されています。
[H30.10.24]
通知文 https://www.mlit.go.jp/common/001260868.pdf
別添1.微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領
https://www.mlit.go.jp/common/001260869.pdf
微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領(解説)
https://www.mlit.go.jp/common/001260870.pdf
記入様式(強度測定)
https://www.mlit.go.jp/common/001260878.xls
微破壊・非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定 測定データ記入要領(別紙2)
https://www.mlit.go.jp/tec/content/01-3_181024hihakai_besshi2_kyoudosokutei.pdf
「解説」には、各試験法の測定要領(案)は、土木研究所のホームページを参照することになっており、表1に測定要領(案)と、問い合わせ先を掲載します。
また、測定者の要件について、「解説」には、「測定者の技術・資格などを証明する資料」が示されており、参考に測定者の資格証明書の例が示されています。それらの機関の連絡先を表2に示します。
表1 5種類の試験法の測定要領(案)
試験法 | 問い合わせ先 | |||
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所属 | 氏名 | TEL | ||
微破壊 | ボス供試体による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)(H21修正)(1.21MB) ・圧縮強度試験成績報告書(記入例)(50KB) |
戸田建設 | 土田 克美 | 03-3535-1616 |
小径コア試験による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)(534KB) | 錢高組 前田建設工業 日本国土開発 ソフトコアリング協会 |
薗井 孫文 佐藤 文則 山内 匡 (事務局) |
03-5210-2440 03-5276-5166 03-5410-5750 03-3766-2220 |
|
非破壊 | 超音波試験(土研法)による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)(H21修正)(622KB) ・超音波法による強度推定ワークシート(393KB) ・超音波法による強度推定ワークシートの使用方法について(1,490KB) |
土木研究所(先端材料資源研究センター(汎用材料)) | 加藤 祐哉 | hihakai(a)pwri.go.jp (a)を@にして送信をお願い致します。 029-879-6761 |
衝撃弾性波試験iTECS法による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)(H21修正)(386KB) | リック iTECS技術協会 |
岩野 聡史 事務局 |
03-5762-2058 029-847-1861 |
|
衝撃弾性波試験 表面2点法による新設の構造体コンクリート強度測定要領(案)(H22修正)(534KB) | 三井住友建設(株)技術開発センター エフティーエス(株) |
松田 拓 大瀧 昌輝 |
04-7140-5204 03-6206-2220 |
表2 講習会を開催し、証明書を交付している機関
試験方法 | 試験方法 の名称 |
講習会実施機関または問合せ TEL、URL |
|
---|---|---|---|
微破壊試験 | 外部供試体 | ボス供試体 | (一社)日本非破壊検査協会 TEL:03-5821-5103 URL:http://www.jsndi.jp/ |
内部供試体 | 小径コア | (一社)ソフトコアリング協会 TEL:03-3766-2220 URL:http://www.softcoring.jp/ |
|
非破壊試験 | 超音波法 | 土研法 | (国研)土木研究所 土木研究所(先端材料資源研究センター(汎用材料)) TEL:029-879-6761 URL:http://www.pwri.go.jp/ |
衝撃弾性波法 | 表面2点法 | ||
iTECS法 | (一社)iTECS技術協会 TEL:029-847-1861 URL:http://www.itecs.or.jp/ |
【超音波法(土研法)】
超音波法による強度推定ワークシートの深さ-音速のグラフから不要な情報を削除しました。
【超音波法(土研法)】
超音波法による強度推定ワークシートに補足説明を追記しました。
試験法の修正はありません。
まえがきには、国土交通省の通知文H30のURLを示しました。
試験法の修正はありません。
まえがきには、国土交通省の通知文H24のURLを示しました。
表1、表2の問い合わせ先を修正しました。
【超音波法(土研法)】
強度推定ワークシートを使いやすくしました。
変更点は、「超音波法による強度推定ワークシートの使用方法について」をご覧ください。
【衝撃弾性波法(表面2点法)】
推定強度の材齢補正を加えました(p.10の7.(2))。
【ボス供試体】
- (1)
- 測定位置と測定回数について詳細に記述しました。
- (2)
- ボス型枠の選定
粗骨材最大寸法40mmの場合のボス型枠の選定について、125×125×250mm(φ125)と100×100×200mm(φ100)のどちらかを選定するようにしていましたが、φ125を使用すると多くの問題があることから、できるだけφ100を使用するようにしています。その理由を明記しました。 - (3)
- 不具合事例とその対策
これまで何件かの不具合事例が報告されています。その原因と対策を記述しました。 - (4)
- 圧縮強度試験報告書の例を掲載
試験機関にボス供試体の試験結果報告書の書式がないことから、試験結果が提出されない事例があるようです。
参考に、ボス供試体の圧縮強度試験結果報告書の例のエクセルシートを作成しました。ダウンロードできます。参考にしてください。
【iTECS法】
「7.基準材齢(28日)強度の求め方」を変更しました。
- (1)
- これまで、補正係数は「コンクリート標準示方書」(土木学会)の値を用いていましたが、試験結果を用いることにしました。
- (2)
- 補正方法は、これまでは次のa)の方法だけでしたが、b)の方法も取り入れました。
a) 材齢t日に構造体の弾性波速度測定⇒材齢t日の強度推定 ⇒材齢28日強度
b) 材齢t日に構造体の弾性波速度測定⇒材齢28日の弾性波速度を推定⇒材齢28日強度
【ボス供試体】
(1) 粗骨材最大寸法40mmの場合のボス型枠
これまでは、φ125×250mm型枠のみ ⇒ φ100×200mmも使用可能(取付け、安全性から推奨)
(2) φ125×250mm供試体の構造体コンクリート強度の算定
fcB=fB−1.0
【超音波法】
強度推定式を作成するときの円柱供試体の養生方法
これまでは、封かん養生 ⇒ 水中養生を推奨
水中養生した円柱供試体の強度推定式を用いた場合の強度の補正方法
【iTECS法】
強度推定式 これまでは、一次関数または指数関数 ⇒ 指数関数
【ボス供試体】に関して
ボス供試体による強度測定は、日本非破壊検査協会規格NDIS 3424「ボス供試体の作製方法及び圧縮強度試験方法」を前提にしています。規格の解説に示されている主な注意点を測定要領にも書き加えていますが、実施する前は、NDIS 3424も読むようにしてください。
【非破壊試験】 (超音波法、衝撃弾性波法2方法に共通。強度推定式を求めるための試験材齢)
強度推定式を求めるための試験材齢は、各測定要領にも記述していますが、次のようなことを考慮して決めてください
(1) | セメントの種類 |
(2) | 構造体を測定する材齢 |
(3) | 強度のばらつき(非破壊試験のばらつきではなく、構造体コンクリートの強度もばらついています。強度が高い場合、強度推定式の範囲からはずれる場合もあり、それをカバーできる強度(できるだけ長期の強度)が必要(図2参照)です) |
(4) | 強度推定式の結果は、維持管理における初期値となり、将来的に劣化の度合いなどの推定に利用できることから、できるだけ長期(少なくとも13週)の測定も行なっておくことが望ましい。 |
(5) | 以上のことから、少なくとも4材齢以上(できれば多いほうがよい)の試験を実施 <例1> 普通ポルトランドセメントおよび高炉セメントB種 1週、2週、4週、13週の4材齢 <例2> 早強ポルトランドセメント 3日、1週、4週、8週または13週の4材齢 |
例えば、4週強度を早めに推定したい場合、構造体の測定をコンクリート打設後1〜2週で行い、とりあえず1週、2週、4週の結果から強度推定式を求め、強度を推定するとします(図1)。円柱の4週までの速度の結果より構造体の速度が上回る場合もあります(図2)。そのような場合、13週の結果が得られたあと、再度、強度推定式を求め、強度を推定してください。
図1 円柱供試体による強度推定式の作成のための試験材齢と、構造体測定の例
図2 強度推定式と強度推定
<連絡先>
測定に関する全般的なお問い合わせは、以下にお願いいたします。
〒305-8516 茨城県つくば市南原1-6
国立研究開発法人 土木研究所 先端材料資源研究センター(汎用材料)
E-mail:hihakai(a)pwri.go.jp
※メールを送信する場合は(a)を@と変更してください。