第19回 国土技術開発賞入賞「総合洪水解析システム(IFAS)」
受賞名:第19回 国土技術開発賞入賞「総合洪水解析システム(IFAS)」 |
応募技術名称:総合洪水解析システム(IFAS) ~世界の洪水解析モデルを簡単に構築・運用できるフリーソフト~ |
受賞者:津田 守正(水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM) 主任研究員) 宮本 守(水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM) 研究員) 鍋坂 誠志((独)水資源機構 副参事) |
水災害・リスクマネジメント国際センターの開発した技術「総合洪水解析システム(IFAS)」が、「第19回国土技術開発賞」に入賞いたしました。
同賞の表彰式が平成29年7月27日に東京国際フォーラムで行われ、本技術が表彰されました。
「国土技術開発賞」は、建設産業におけるハードな技術のみならず、ソフトな技術も含めた広範な新技術を対象として表彰するものであり、
技術開発者に対する研究開発意欲の高揚並びに建設技術水準の向上を図ることを目的として行われております。
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中村英夫東京都市大学名誉総長(国土技術開発賞選考委員会委員長)より賞状が授与されました |
1.技術の概要
途上国では、洪水による死者・行方不明者を伴う被害が繰り返される一方で、水理・水文に関わる技術、観測データ、資金等の不足から、洪水を予測し住民に避難を促すシステムの構築・運用が困難でした。
このためICHARMでは、平成17年度から開始した (社)国際建設技術協会、民間建設コンサルタント9社との共同研究により、途上国において、洪水予報を簡易かつ効果的に行うための簡潔な洪水流出解析システムを開発しました。
共同研究終了後は、ICHRAMにおいて、機能拡張やGUIの改良を続けています。IFASはICHARMのホームページから無償でダウンロードできます。
総合洪水解析システム(IFAS)は、水文流出解析を簡便に実施するための機能と、操作性に優れたインターフェースを持つフリーのPCソフトウェアです。
地形データや土地利用データ等は、インターネット上から無償で入手できるデータを簡単に適用できます。
流出計算のための雨量データは、地上観測雨量、レーダー雨量の他、世界各地で利用可能な人工衛星観測雨量に対応しています。
融雪量や蒸発散量を計算する機能も保持し、幅広い条件に対応した洪水解析モデルを構築することを可能としています。
2.技術の効果等
人工衛星観測雨量を用いた洪水予警報が可能なため、地上での雨量観測が十分に行われていない流域や国際河川においても、洪水予測が可能になりました。
人工衛星観測雨量の観測精度を補うため、JAXAが開発した補正手法と連動する機能も搭載しています。
融雪や蒸発散量計算機能を組み合わせることで、様々な気候に適用できるよう汎用性を高めました。
アジア各国で洪水予警報システムとして活用されているほか研修用ツールとして活用され、すでに50か国1,000人以上が研修を受講しています。
パキスタンでは、導入されたIFASを用いた洪水予警報システムの適用範囲を拡大するにあたり、
パキスタン国内技術者自らがモデル構築を進めるなど、さらなる現地適用が進みつつあります。
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IFASの機能 | 50か国、1,000人以上がIFAS研修に参加 |