実験河川を活用して河川における自然環境の保全・復元方法について調査・研究を行っております

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展示見聞録
アクア・トト ぎふ -アユの棲む場所-

 ここ「アクア・トト ぎふ」は岐阜県各務原市川島の「河川環境楽園」という公園の中にあります。河川環境楽園は木曽川の本川と北派川の間に位置し、川が身近にあるという地域性から、この公園内には河川環境に関連する施設がたくさんあります(自然共生研究センターもその一つです)。
 この水族館は世界最大のナマズ「メコンオオナマズ」がいることで知られていますが、一番大きな特徴はやはり「淡水魚」水族館というところでしょう。「木曽三川・長良川の源流から河口までと世界の淡水魚」をテーマに自然環境を再現した展示を見ることが出来ます。
 最上階の4階から足を踏み入れると、外光が降り注ぐ、長良川の源流部が眼前に広がります。そして4階から1階へは木曽三川の上流、中流、下流と川を下るようにおりていき、さらに世界の川へと広がる構成になっています。そこには魚類だけでなく、水生昆虫、鳥類、両生類、爬虫類、水生植物等も展示されており、多様な生物とそれらの生息空間、水辺環境を総合的に演出しているのも魅力です。
 さて、木曽三川の代表的な魚といえば「アユ」が挙げられますが、この水族館では3階にある中流域の「瀬と淵の魚」というコーナーに飼育展示されています。写真のように水中の瀬と淵を中心とした水中環境と、陸上の自然環境も再現されています。アユの飼育展示で特に注意していることは、アユの寿命です。自然界のアユはその一生を約1年でまっとうしますが、水族館ではいつでも来館者が見ることが出来るよう、周年飼育が必要とされます。そのためアユが成熟し、産卵をして寿命が終わらないよう、ここでは水温を通年17度に設定し、24時間照明をすることで寿命を延ばしています(水温が下がり、日照時間が短くなると成熟し産卵行動を始めてしまうため)。餌は配合飼料ですが、水槽を観察していると、「石に付いたコケをはむ(一般的にコケと呼ぶ事が多いが、実際は藻類)」という、アユの本能的な行動をしばしば目にすることが出来ます。実際には藻類はほとんど付いていないので、食べている訳ではありませんが、このことから、形だけの再現ではなく、アユの本能的な行動を促すような環境(魚にとって過ごしやすい環境)がここに再現されていることが分かります。また夏になると縄張り行動も見られるそうです。アユの飼育展示に長くかかわってきた展示飼育部の竹嶋徹夫さんは「アユの周年飼育は水族館ではよく行う方法ですが、今後の課題としてアユの一生(ライフサイクル)を展示してみたい。産卵の様子や、アユの稚魚が海で過ごしている間の、あのきれいな透明な姿をぜひお客様にお見せしたい。」と抱負を語ってくれました。
 そして3階には岐阜県の絶滅危惧種に指定された13種の魚類全種を展示しているのも注目です。絶滅の危機に至った理由と、その保護の必要性を解説しています。また地域の保護団体とネットワークを図り保護活動、そのPRなどの普及活動にも力を入れています。
 また、飼育担当者が水槽の前に立ち解説をするポイントガイド、普段見ることの出来ない水族館の裏側を見て水族館の仕組みを学習するバックヤードツアー、河川環境や生き物について学習するアクアスクールなど、環境教育プログラムも実施しています。環境学習の場として、また、地域交流の拠点となっているので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

野村千穂
(独)土木研究所 自然共生研究センター





河川環境楽園内でひときわ目立つ「アクア・トト ぎふ」


石の組み方も考えられており「瀬と淵」を再現



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