研究成果・技術情報

「第5回FRP複合構造・橋梁に関するシンポジウム」優秀講演者表彰

2014年12月19日に材料資源研究グループ新材料チーム櫻庭浩樹研究員が、公益社団法人土木学会複合構造委員会より、「第5回FRP複合構造・橋梁に関するシンポジウム(開催は2014年11月12日~13日)」の優秀講演者として表彰されました。


題目名:GFRP角パイプ引抜成形材の力学物性に関する研究
執筆者:櫻庭 浩樹(1),西崎 到(2)
     (1) 材料資源研究グループ新材料チーム 研究員/
      (2) 同チーム 上席研究員
概要:
 GFRP角パイプ引抜成形材は、これまでも主要なFRP橋梁に使用されている重要な構造用FRP部材の一つである。しかし、成形法上の特徴から、比較的4つある各面の物性差が生じやすい形状と考えられる。このようなFRP部材の性能評価は多くの場合、部材から切り出したクーポン試験から得られる力学物性に基づくため、その信頼性を検討することは重要である。
 本研究では、2種類のGFRP角パイプ(正方形断面)引抜成形材の4面からそれぞれクーポン試験片を切り出し、引張特性および圧縮特性について材料試験を行った。試験結果から、各切出し面の引張および圧縮特性の相違やばらつきの程度を分析する。また、クーポン試験のばらつきに関する基礎データ構築のため、各切り出し面の引張特性および圧縮特性のばらつきが、それぞれ、部材の引張耐力および圧縮耐力の算定に及ぼす影響を示す。

 本検討により、得られた知見を以下に示す。
  • SP75およびSP100の引張強度、引張弾性係数、圧縮強度および圧縮弾性係数について、切出し面の違いによる差が確認された(図-3、図-4参照)。また、本研究の範囲では、引張弾性係数と板厚の関係および圧縮弾性係数と板厚の関係には、相関性が認められなかった(図-5参照)。
  • 切出し面の強度および弾性係数の違いを考慮して算定される引張耐力および圧縮耐力は、全切出し面の平均値を用いて算定される引張耐力および圧縮耐力よりも小さくなることが確認された(表-1参照)。
図-1 引張試験片の寸法(単位:mm)
図-1 引張試験片の寸法(単位:mm)

図-2 圧縮試験片の寸法(単位:mm)
図-2 圧縮試験片の寸法(単位:mm)

図-3 引張強度,引張弾性係数および変動係数の比較
図-3 引張強度,引張弾性係数および変動係数の比較

図-4 圧縮強度,圧縮弾性係数および変動係数の比較
図-4 圧縮強度,圧縮弾性係数および変動係数の比較

図-5 弾性係数と板厚の関係
図-5 弾性係数と板厚の関係


表-1 引張耐力および圧縮耐力の算定結果 表-1 引張耐力および圧縮耐力の算定結果
( )の数字は,最小の耐力を示した切出し面である。