研究成果・技術情報

土木学会田中賞(論文部門)受賞

SFRC舗装の疲労対策効果に関する検討

構造物メンテナンス研究センター(CAESAR)の村越上席研究員らによる論文「ビード進展き裂を有する鋼床版に対するSFRC舗装の疲労対策効果に関する検討」が、下記のとおり平成25年度土木学会賞の田中賞(論文部門)を受賞しました。同賞は、土木学会刊行物に発表された論文、報告の中で、計画、設計、製作・施工、維持管理、考案、歴史などに関連して橋梁工学の発展に大きく貢献したと認められた論文に対して授与されるものです。


受賞名:平成25年度土木学会田中賞(論文部門)
論文名:ビード進展き裂を有する鋼床版に対するSFRC舗装の対策効果に関する検討
著者:村越 潤(1)、小菅 匠(2)、石井 博典(3)、春日井 俊博(3)、遠山 直樹(4)、
   石澤 俊希(2)
  (1)構造物メンテナンス研究センター(CAESAR) 上席研究員/
  (2)新日本技研(株)、元CAESAR交流研究員/
  (3)(株)横河ブリッジ、共同研究者/
  (4)本州四国連絡高速道路(株)、元CAESAR主任研究員/

概要(図-1~図-4も参照):
 受賞対象の論文は、近年大型車交通量の多い路線において、多数報告されている鋼床版溶接部の疲労き裂を対象として、実験的・解析的検討によりSFRC舗装(鋼繊維補強コンクリート(Steel Fiber Reinforced Concrete)舗装)による補強工法の対策効果の評価等を行ったものである。
 既設鋼床版では、デッキプレートとU型の縦リブとの溶接部に、溶接内部から溶接ビード側に進展するき裂とデッキプレート側に進展するき裂が報告されている。これらのき裂に対して、ビード内に進展したき裂(ビード進展き裂)の先端に孔(観察孔)加工処理を施した上で、応力軽減を図る対策工法としてSFRC舗装が適用される場合がある。本論文では、き裂の長さ・先端位置、鋼床版の構造諸元等をパラメータとして、実大鋼床版試験体を用いた静的載荷試験、疲労試験及びFEM解析を行い、孔部分の応力性状と疲労性状を明らかにするとともに、SFRC舗装と孔加工処理の併用によるき裂の進展抑制効果の評価を行っている。
 今般、社会的要請の高い既設橋の長寿命化対策に関して、実務的な観点から系統立てた技術的検討を行った点などが評価され、受賞に至ったものである。