研究成果・技術情報

公益社団法人砂防学会「論文奨励賞」受賞

受賞名:「論文奨励賞」受賞
論文題目:Impact of Short-term Temporal Changes in Volcanic Ash Fall on Rainfall Threshold for Debris Flow Occurrence in Sakurajima, Japan
受賞者:木佐 洋志(前 土砂管理研究グループ火山・土石流チーム 交流研究員
          現 日本工営株式会社国土保全事業部砂防部)
賞の概要:

受賞日:平成29年5月24日

贈賞組織名:公益社団法人 砂防学会

砂防学会英文誌「International Journal of Erosion Control Engineering」のvol.7(2014)のNo.3に掲載された研究業績に対して受賞

 

研究成果の概要:

 噴火により火山灰が山腹斜面に厚く堆積すると斜面表層の浸透能が著しく低下することで、降雨時に表面流が発生し易くなり、表面侵食量が増大する。 そのため、噴火後数年間は通常より小規模の降雨でも土石流が頻発することが知られていた。一方、降灰が長期にわたって継続する場合、新たな降灰の堆積と降雨による侵食が繰り返されることにより、 斜面の浸透能はより短い時間スケールで変化する可能性があるが、この点を実証した研究事例はなかった。
 本論文は、噴火活動が継続する桜島の有村川流域の火山灰堆積斜面において、表面流出・侵食観測システムを設け、降灰量、降雨量および表面流出量、侵食土砂量等の変化を詳細に観測した初めての事例である。 期間中に有村川で土石流が発生した降雨時には、観測斜面において多量の表面流が観測されており、斜面での表面流出が土石流発生の主要な原因のひとつであると考えられることを示した。 また、自動降灰・降雨量計の観測データを活用して把握された降灰の比較的多い期間と少ない期間を対象として、斜面の浸透能、表面流を発生させる降雨条件の違いを分析したほか、 無降雨期間の長さと表面流が発生する降雨強度の関係についても分析した。これらの分析結果から、 降灰監視等に基づく降灰後の土石流の発生リスクを適切に評価する上でのいくつかの重要な知見を示すことができた。