研究成果・技術情報

「応用生態工学会 第23回研究発表会 優秀ポスター研究発表賞」受賞

受賞名:「応用生態工学会 第23回研究発表会 優秀ポスター研究発表賞」受賞
論文題目:ヨシやオギなどの草本による河川の樹林化抑制に関する研究
受賞者:兼頭 淳(土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター 交流研究員
    (現)(株)建設技術研究所)
    森 照貴(土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター 研究員)
    大石 哲也(寒地土木研究所 寒地水圏研究グループ 寒地河川チーム 主任研究員)
    中村 圭吾(土木研究所 水環境研究グループ 河川生態チーム 上席研究員)
    萱場 祐一(土木研究所 水環境研究グループ グループ長)

 

賞の概要等:

 2019年9月27日-30日に開催された「応用生態工学会 第23回研究発表会」において、前土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター 交流研究員 兼頭 淳(現(株)建設技術研究所)が、優秀ポスター研究発表賞を受賞しました。

研究成果の概要:

 河畔に繁茂したヤナギは河積阻害を招くことがある。高水敷の切下げは、治水安全度を高められる河川整備の主要な対策の1つであるが、切下げ後にヤナギ類を中心とした樹林域が形成されるケースが散見される。
 近年、これに対処するため、切下げ後にヨシやオギなどの高茎草本を早期に回復させ、ヤナギ類の繁茂を抑制する手法(以下、草本による樹林化抑制)の有効性が確認され始めている。草本による樹林化抑制は、ヤナギ類の発芽や実生の成長に必要な光環境を制限することを狙いとしている。しかし、どの程度の草本が裸地面を被えば、ヤナギの繁茂を抑制できるかについて検討した事例は見当たらない。
 そこで、本研究では、ヤナギ類の繁茂抑制に必要な草本の植被率や植被による光環境の制限効果について検討することを目的とし、草本によるヤナギ類の抑制実験ならびにヤナギ類の実生を対象とした遮光実験を行った。
 両実験の結果、ヤナギ類を抑制する対策として光制限が有効であることが示された。ただし、種子から実生の初期生長期では光環境の制限はヤナギの生残に影響を及ぼすが、実生より生長した稚樹には影響が少ない。以上のことから、ヤナギ類の繁茂を抑制するためには、生長段階の初期(5~7月)に草本等により光環境を70~80%程度まで制限することが重要であることが示唆された。

種子から実生(10cm以下)の生残率と苗数の経月変化
実生(10cm)から稚樹の生残率と苗高の経月変化
賞状