研究成果・技術情報

「2019年度河川基金研究者・研究機関部門 優秀成果表彰」受賞

受賞名: 「2019年度河川基金研究者・研究機関部門 優秀成果表彰」
論文題目: 河川-水路ネットワークと生息場環境が氾濫原性魚類に与える影響解明
受賞者: 末吉 正尚(土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター 専門研究員)
米倉 竜次(岐阜県水産研究所、専門研究員)
森 照貴(土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター 主任研究員)
石山 信雄(北海道立総合研究機構 森林研究本部 林業試験場、研究職員)
賞の概要:

 「2019年度河川基金助成事業 研究者・研究機関部門」の評価委員会が河川財団によって開催され、本成果が他者の模範となる素晴らしい研究として優秀成果表彰に選ばれました。

研究成果の概要:

 水田水路は古くから日本の多様な淡水魚類相を支えてきたが、近年の氾濫原環境の変化によって急激に劣化しつつある環境でもある。本研究では、木曽三川流域で蓄積された魚類・環境データを用いて、各淡水魚種の生息の有無を左右する環境要素を明らかにした。 魚類の種数は、河川との間の落差が小さく、大きな水路で多くなる傾向がみられた。また、重要な環境は種の特性によって異なり、小型種、流水を好む種、河床に生息する種は、流速や土砂で覆われた河床、河川とのつながりが重要であることが分かった。一方で大型種、止水を好む種、水中を遊泳する種は、 水深や水草・水際植生の有無が重要であることが分かった。本研究の成果は、多様な魚種を保全するためには、河川とのつながりや多様な水路環境を維持することが重要であることを示唆しており、生態系ネットワークの保全・再生に資するものである。

表彰状
図.魚類種数を決定づける要因
図.魚類種数を決定づける要因