「第35回日本道路会議 優秀賞および奨励賞」受賞(舗装チーム4編)
受 賞 名: | 第35回日本道路会議「優秀賞」受賞 |
論文題目 : | 再生アスファルト混合物評価における海外試験法の適用性検証 |
受 賞 者: | 舗装チーム<現・SIP事務局> 川上 篤史 舗装チーム 上席研究員 藪 雅行 株式会社NIPPO 技術研究所 末原 俊史 株式会社NIPPO 技術研究所 人見 信男 |
受 賞 名: | 第35回日本道路会議「優秀賞」受賞 |
論文題目 : | 橋面舗装端部・施工打継目等防水工法の新たな評価法の開発とその効果 |
受 賞 者: | 舗装チーム(現・㈱NIPPO) 室井 和也 舗装チーム<現・SIP事務局> 川上 篤史 舗装チーム 上席研究員 藪 雅行 |
受 賞 名: | 第35回日本道路会議「優秀賞」受賞 |
論文題目 : | グースアスファルト舗装用補修材のコンクリート床版への適用についての検討 |
受 賞 者: | 前田道路株式会社 技術研究所 牧野 幹 前田道路株式会社 技術研究所 畠山 慶吾 舗装チーム<現・SIP事務局> 川上 篤史 |
受 賞 名: | 第35回日本道路会議「奨励賞」受賞 |
論文題目 : | RC 床版・鋼床版兼用グース混合物の実用化に向けた検討 |
受 賞 者: | 日本道路株式会社 技術研究所 平松 大銘 日本道路株式会社 技術研究所 吉野 広一郎 舗装チーム<現・SIP事務局> 川上 篤史 |
受賞日:令和5年11月1,2日
贈賞組織名:公益社団法人 日本道路協会
賞の対象:
(優秀賞)道路技術の向上と道路事業の促進への寄与の観点から、内容及び発表が特に優秀と
認められる論文等に与えられる。
(奨励賞)内容に独自性、将来性があり、発表資料や説明に創意工夫が見られるなど、発表者の今
後の取組の発展が期待できると認められる論文等で、発表者の年齢が35 才以下
◆研究成果の概要(論文①):
わが国のアスファルト舗装の再生利用は40年以上行われており、アスファルト混合物の
繰り返し再生による影響が懸念される。しかし、繰り返し再生された再生混合物の評価
法はまだ明らかになっていない。そこで本研究では、筆者らが過去開発した高温カンタ
ブロ試験法等のほか海外試験法も着目し、実大促進載荷試験結果と比較することによっ
てその適用性を検証した。

アピールポイント(論文①):
土木研究所が保有する実物大模型を用いた舗装耐久性試験(促進載荷試験:図-1)と混
合物評価試験を行い、その試験結果を比較した。その結果、圧裂試験およびSCB試験
(図-2)によって得られる柔軟性指数(FI)の相関性が高い結果となった。FIは、破壊
エネルギーを供試体破断後の接線傾きで除算することから、供試体破断後の亀裂の進行
が緩やかなほどFI値は大きくなり、柔軟性が高くひび割れ抵抗性が高い評価となる。
今回の結果より、
SCB試験によるFI、および汎用試験である圧裂試験で求めたFIが有用
である可能性が高いことが明らかになり、実務でも実施可能な評価法である。
今後は、 試験法のメカニズムの違いも含めて検証したいと考えている。

◆研究成果の概要(論文②):
道路橋RC床版の劣化・損傷は橋面舗装等から侵入した水によって発生、促進される。
床版への主な水の浸入経路は舗装端部やアスファルト舗装の施工打継目部、舗装の貫
通ひび割れであることがわかっているが、舗装端部や施工打継目に施工される防水工
法の評価方法は明らかになっていない。そこで本研究では、橋面舗装端部や施工打継
目等における防水工法の新たな評価法を開発するとともに、対策工法の効果について
検証した。
アピールポイント(論文②):
防水工法の評価法として電気抵抗の計測による水分検知技術を活用し、凍結融解による
評価を行うとともに、交通荷重を模したホイールトラッキング(WT)試験による評価法
(図-3)を新たに開発した。その結果、橋面舗装では端部の転圧が不十分になることが
多いが、転圧を必要としない緻密なグースアスファルトは防水性の向上に有効であるこ
とが再確認されたとともに、表層の密粒アスコンの端部にはスラリーシールなどの表面
処理工法を行うことで道路橋RC床版の劣化抑制に寄与することができることが定量的に
明らかになった。



研究成果の概要(論文③、④):
道路橋床版の土砂化は、路面や舗装端部からの雨水などの侵入が主な原因となることから、
防水性を高めた橋面舗装材料の開発が急務となっていた。そこで、土木研究所は令和2年度
より「防水性を高めたコンクリート床版橋面舗装の実用化に関する共同研究」を開始し、民
間企業8社と新たなRC床版用橋面舗装の開発および実用化に向けた検討を行った。その結果、
RC床版に適用できる新たな橋面舗装材料として、改質グースアスファルト混合物(図-4)(4社)、
植物性特殊樹脂混合物、グースアスファルト用簡易補修材(図-5)、新規端部防水工法、超緻密
高強度繊維補強コンクリートを開発した(今回の受賞は前述の下線の技術)。
アピールポイント(論文③、④):
防水性に優れた舗装材料であるグースアスファルト舗装は、鋼床版の橋梁に適用
されている一方で、RC床版ではコンクリート内部の水分の蒸発によりブリスタリ
ング(水蒸気等による舗装の膨れ)が発生するため適用されていなかった。改質
グースアスファルト混合物は、施工温度を低減してブリスタリングを起きにくく
させるとともに耐久性を高めた、RC床版(および鋼床版)で適用できる技術である。
グースアスファルト用簡易補修材は、常温かつRC床版表面が表乾状態でも施工でき
る舗装材料で、今まで懸念されていたポットホール補修など小規模施工で用いるこ
とが可能となる。
これら床版防水工法を開発できたことで、道路橋RC床版の劣化抑制に寄与することが
でき、RC床版のみならず鋼床版の長寿命化につながると期待される。