「令和5年度土木学会論文賞」受賞
受 賞 名: | 「令和5年度土木学会論文賞」受賞 |
論文題目 : | 実橋PC上部構造の載荷試験による破壊過程の考察と上部構造全体評価のための簡易解析手法の構築 |
受 賞 者: |
吉田英二 (土木研究所 構造物メンテナンス研究センター 研究員) 大島義信 ((株)ナカノフドー建設) 北野 勇一 (川田建設株式会社) 石田雅博 (土木研究所 構造物メンテナンス研究センター 橋梁構造研究グループ長) 山本貴士 (京都大学大学院教授) 高橋良和 (京都大学大学院教授) |
受賞日:令和6年6月14日(金)
贈賞組織名:(公益社団法人)土木学会
賞の概要:
本賞は、原則として、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究、計画、設計、施工、考案、維持管理などに関する論文を発表し、 独創的な業績を挙げ、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められる論文の著者に授与される。
研究成果の概要:
本研究では、現地に架橋したままの状態にあるPC橋の上部構造に最大耐力に達するまで載荷し、主桁部材がせん断耐力に達してもせん断破壊が生じず、応力が再配分され上部構造として 変形性能が保持されることを実験的に明らかにしている。また、設計荷重モデルの前提である格子モデルを基本とし、破壊に至るまでの実験結果と整合する解析モデルを確立している。 この解析モデルは、新設設計の荷重モデルである設計荷重を考慮できるほか、PCケーブルの破断などの劣化も考慮できるため、新設設計と同様に既設構造物の耐荷力評価を可能にする ものであり、今後のPC橋の維持管理において極めて有用といえる。 以上のように本論文は、変状を生じた実在のPC橋を対象とし、静的載荷試験における終局付近での主桁の挙動および破壊性状を実験的に確認し、 変状を生じた実橋であっても耐荷力や冗長性を持つことを実証したものであり、PC橋の破壊メカニズムの解明や維持管理における管理限界の設定などに有用な知見を示している。 また、設計の実務で一般に使用される線形骨組モデルに部分的な拡張を行った新たなモデルを提案し、 PC上部構造の耐荷性能を精度良く評価可能な手法を検討している点において、論文賞に相応しいと認められた。


- 賞状・表彰盾 -