「令和6年度土木学会論文賞」受賞
受 賞 名: | 「令和6年度土木学会論文賞」受賞 |
受 賞 者: |
對馬育夫 (研究当時 流域水環境研究グループ水質チーム 主任研究員 ) 末永敦士 (研究当時 流域水環境研究グループ水質チーム 交流研究員 ) 山下洋正 (研究当時 流域水環境研究グループ水質チーム 上席研究員 ) |
受賞日:令和7年6月13日(金)
贈賞組織名:土木学会
論文題目:ダム貯水池におけるカビ臭発生抑制のための微生物叢解析と対策の検討
賞の概要:
同賞は土木学会の各分野で一編ずつ(毎年7編程度)選ばれる論文賞を受賞したものであり、土木分野においては最も価値のある研究表彰の一つです。当該論文は3つの委員会で構成される土木学会のVII分野から推薦され今回の受賞に至りました。
対象研究成果の概要:
現在のダム貯水池水質管理では、光学顕微鏡を用いた植物プランクトン調査を行っていますが、顕微鏡観察では水質障害の原因生物を特定するのが難しい場合があります。そこで、水質チームでは水中のDNAを読み取ることが可能な次世代シーケンサーによる微生物叢の詳細な解析手法を用いた課題解決を目指しています。本論文はカビ臭発生が顕在化しているダム貯水池において、次世代シーケンサーを活用し、従来の光学顕微鏡では検出が難しかった微生物を多数確認し、カビ臭との関連性を明らかにしました。これらのDNA解析による植物プランクトンの検出手法に関する研究成果が学術的にも高い評価を受けました。
本研究で用いた技術は従来の顕微鏡観察では確認することが難しかったカビ臭発生藻類の検出が可能であり、植物プランクトン調査の検出網羅性・精度が大きく向上するものであります。また、実務面では顕微鏡観察よりも短時間・省コストな手法として業務効率の向上が見込めます。
将来的には、ダム貯水池内のカビ臭を引き起こす原因藻類を把握することで原因に応じた対策の検討が可能となると考えており、本論文の成果は今後の貯水池の水質管理技術の発展に大きく寄与することが期待されます。
- 對馬元主任研究員 -
- 賞状 -