研究成果・技術情報

「第47回コンクリート工学講演会年次論文奨励賞」受賞

受   賞   名: 「第47回コンクリート工学講演会年次論文奨励賞」受賞
受   賞   者: 大屋貴生(材料資源研究グループ 交流研究員)

受賞日:令和7年7月18日

贈賞組織名:公益社団法人 日本コンクリート工学会

論文題目:床版CFRP補強の不具合事例調査およびメカニズムの検証

賞の概要:

同賞は、「コンクリート工学年次論文集」掲載の論文・報告講演者の中で、特に優秀な講演を行った者を対象として授与される。ただし、2025年1月1日時点で40歳以上の講演者、代理講演者、および既に2回受賞をしている講演者については対象外としている。

研究成果の概要:

耐疲労性、耐震性向上を目的に道路橋のコンクリート床版下面にCFRPを施工する事例が多くみられる。しかし、適切な施工管理を行わなければCFRPの浮き・剥がれが発生し、効果低減に繋がる。今回、浮きが発生した事例を対象に、その原因を実構造物調査と実験室での化学分析の両方の側面から詳細に分析し、浮きのメカニズムを初めて明らかにした。

実構造物より取得したCFRPサンプルを分析し、施工直後には判明しづらい樹脂硬化不良の要因を特定した。特に、多数の工事記録の解析に基づき、低温高湿度環境で施工された場合に樹脂硬化反応でアミンブラッシングが発生し、カルバミン酸塩類が副生成されることからエポキシ樹脂の硬化が不十分となる場合があることを化学的手法により明らかにした。

また、低温高湿度環境で硬化させた試料の劣化を温冷繰り返し環境下で促進すると浮きの発生を模擬することができた。これにより、CFRPの膨れや剥離に至るメカニズムを室内試験にて実証した。今回の成果によりCFRP浮き発生メカニズムが解明された。

今後、発生防止に向け得られた成果・知見を施工現場に反映できるよう努めていきたい。

- 賞状 -
- 受賞記念品である南部鉄器製銀河鉄道文鎮 -