国立研究開発法人 土木研究所

トピックス一覧

  • HOME
  • トピックス
  • 平成30年度の土木研究所の新たな取り組み-人工知能(AI)、地質・地盤リスクマネジメント、九州北部豪雨に重点-

平成30年度の土木研究所の新たな取り組み-人工知能(AI)、地質・地盤リスクマネジメント、九州北部豪雨に重点-

 国立研究開発法人 土木研究所(理事長 西川和廣、茨城県つくば市)は、平成30年度から「人工知能(AI)」「地質・地盤リスクマネジメント」「九州北部豪雨」に関係する研究課題に重点を置き新たに着手します。これらの研究を通じて「安全・安心な社会の実現」「社会資本の戦略的な維持管理・更新」「持続可能で活力ある社会の実現」を目指します。

主な新規研究課題の概要

(1)人工知能(AI)

  1. ①道路橋維持管理へのAIの導入に関する研究-点検や診断を行う技術者を支援するために-
     橋梁の老朽化や技術者の減少に対応するため,点検の見落とし防止や効率的な調書の作成など点検を補助する技術や、劣化要因の判断や的確な措置の判断など診断を支援する技術についてAIを活用し、 メンテナンスサイクルにおける点検・診断・措置の信頼性向上を目指します。
  2. ②先端技術を活用した土木機械設備の予防保全に関する研究
     代表的な土木機械設備である排水機場ポンプ設備は、近年の降雨の激化から国民の生命と財産を守る重要な施設ですが、老朽化の進行により確実な運転ができない恐れがあることから、 AI等技術を活用し、排水機場ポンプ設備の異常検知や診断の支援につながるデータ収集モニタリングシステムによる予防保全技術の開発を目指します。
  3. ③RC床板の滞水検出 ―橋梁床版の突然の抜け落ちを防ぐ-
     老朽化や大型車等の影響により、予測が困難な橋梁床版の抜け落ち被害が発生しています。 橋梁床版の劣化促進要因となる床版上の滞水を、電磁波を用いた調査により非破壊で検知する技術を開発し、橋梁のメンテナンス技術の向上を図ります。
  4. ④河川における魚類動態調査へのAIの導入
     AIと高機能ビデオカメラを組み合わせて魚種の判別技術を開発します(魚種判別AI)。また、魚種判別技術を用いて魚が魚道を遡上しているかどうかを評価するシステム(遡上状況評価システム)を構築し、 魚道の良否判定技術の向上を図ります。
  5. ⑤舗装分野におけるAI技術の活用-損傷メカニズムやAI教師データ等の研究-
     100万㎞を超える膨大なストックを有する舗装について、予算の制約や現場の人員不足等に対応するため、技術進展の著しいAIを管理に活用する研究を行います。 これにより、舗装分野における民間AI技術の開発促進やピンポイントの要補修個所の早期発見等が見込まれ、舗装の長寿命化、維持管理コストの低減に寄与します。
  6. ⑥トンネル分野におけるAI技術の活用
    -トンネルの建設・維持管理に要するトータルコストの低減を目指して-

     拡大を続けるトンネルの建設、進む老朽化へ対応するため、トンネルの設計、施工、維持管理等の各段階で得られた情報とAIに関する研究を進めます。 施工に使われていた膨大な切羽情報等を覆工のひび割れ等の維持管理情報と結びつけることにより、設計、施工、維持管理における安全性や生産性を向上させ、トータルコストの低減を目指します。
  7. ⑦車載カメラの画像解析による視程障害検知技術に関する研究
     効率的に吹雪危険箇所を抽出して吹雪対策施設を整備することは、冬期道路の安全性向上に大変有用です。 そこで、ドライブレコーダなどの車載カメラ画像とAIを用いて、視程障害を検知する技術を開発します。将来的に、当該技術の社会実装によって、暴風雪災害の被害軽減を目指します。

(2)地質・地盤リスクマネジメント技術の開発-安全で経済的な土木事業を目指して-

  1.  工事中のトンネルによる陥没事故等の地盤に起因する事故やトラブルを未然に防ぎ、安全で経済的な土木事業を進めるため、事業の各段階で適切にリスク評価する技術的な手法、地質・地盤リスクに強い工法やその選定手法等、地質・地盤リスクマネジメント技術の開発を開始します。

(3)九州北部豪雨

  1. ①流木:広域山地流域における流木流出量の推定に関する研究
    -流木が引き起こす災害をより確実に防止するために-

     土石流危険渓流を中心に講じられてきた流木対策に加え、より広域の山地流域を対象とした流木対策のため、渓流の地形や洪水などの条件に基づき流木の流出量を推定する技術の開発を目指します。
  2. ②「逃げ遅れゼロ」を目指した洪水時のリスクコミュニケーションに関する研究
     洪水時における「逃げ遅れゼロ」を実現するために、平常時や緊急時に効果的に洪水に関する情報を共有する「洪水情報ポータルサイト」や、洪水時の住民の行動心理を考慮した「防災アプリ」や洪水疑似体験ツールなどのリスクコミュニケーションツールの開発を行い、行政による防災・減災の取り組みや住民の早期避難を支援します。
問合せ先
国立研究開発法人 土木研究所
(主な新規研究課題)
(1)①構造物メンテナンス研究センター 石田 029-879-6773
(1)②技術推進本部先端技術チーム 新田 029-879-6757
(1)③地質・地盤研究グループ 齋藤 029-879-6800
(1)④水環境研究グループ河川生態チーム 中村 029-879-6775
(1)⑤道路技術研究グループ舗装チーム 藪 029-879-6789
(1)⑥道路技術研究グループトンネルチーム 日下 029-879-6791
(1)⑦寒地道路研究グループ雪氷チーム 高橋 011-841-1746
(2)地質・地盤研究グループ地質チーム 阿南 029-879-6769
(3)①土砂管理研究グループ火山・土石流 チーム 石井 029-879-6785
(3)②水災害研究グループ 徳永 029-879-6809
(その他)
企画部 研究企画課
崎谷 029-879-6751