国立研究開発法人 土木研究所

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山口嘉一理事が土木工学の学生を対象に
ダム基礎知識講座で講義

 一般社団法人ダム工学会1)の内に設置された若手の会は、平成30年9月3日(月)と4日(火)の両日に、 土木工学系の学生を主対象(若手技術者も含む)に「第5回ダムを知るための若手技術者勉強会」を開催しました。 参加者数は、5大学・1高専から26名、2コンサルタント会社から4名の計30名でした。また、学会の若手の会の実行委員等14名も参加しました。

 この勉強会は、次のような趣旨で開催されています。

  1. 建設中および管理中のダムの見学を通してダム事業の目的や効果、ダムの構造や施工、管理の方法など、様々な視点からダムについて学ぶ。
  2. ダム事業に関わる先輩技術者との対話を通してダムに関わる仕事の魅力を実感する。
  3. 参加学生間のグループワークにより交流を深める。
  4. ダムの専門家によるダムに関する講義を通してダムに関する知識を深める。

 今回の勉強会において見学の対象となった建設ダムは、国土交通省関東地方整備局が群馬県において建設中の 八ッ場ダム2)(堤高116.0m、重力式コンクリートダム)でした。八ッ場ダムは、堤高100mを超える大規模ダムであるだけでなく、 我が国が独自に開発した施工方法(巡航RCD工法3))を採用することによって高速施工を達成しているダムであるため、 参加学生等も大いに興味を持って見学できたのではないかと考えます。

 山口理事(当方)は、ダムの専門家として、入門編の「ダムの基礎知識」、また応用編の「ダム技術に関する最近の話題」についての講義を行いました(写真1)。 また、受講者が土木工学系の学生が中心であることを踏まえて、土木研究所の組織・研究概要について紹介するとともに、新しい新規採用職員の採用方式についても説明しました。

 入門編の「ダムの基礎知識」の講義では、まず、「1.わが国の自然条件とダムの役割」について、 わが国はその自然、地形、社会条件から水害、渇水に対して脆弱な状況になることを説明したうえで、ダムや堤防などの河川施設の建設によって治水と利水を効率的に行う河川総合開発事業の重要性を解説しました。 そのあと、ダムの豆知識として、重要なダム用語やダム型式の解説、洪水時や渇水時に役立つダムの事例を示した紹介を行いました。 さらには、ダムが計画されてから完成するまでの事業の流れを、現在、国土交通省東北地方整備局が管理する長井ダム(重力式コンクリートダム、堤高125.5m)が建設中に、 当時の工事事務所で作成されたイラスト解説冊子「コンクリートダムができるまで」で使用されたイラストを用いて説明、解説しました。

 応用編の「ダム技術に関する最近の話題」の講義では、まず、我が国におけるダム事業の状況を説明した後、新設ダムの設計・施工に関する技術として、 ①巡航RCD工法、②台形CSGダム、③流水型ダム、④造成アバットメント工、⑤ダムにおけるi-Construction、について実例も交えて紹介しました。 また、既設ダムの維持管理・更新に関する技術として、①耐震性能照査、②ダム総合点検、③ダム再生技術について、各種基準やガイドラインの内容も踏まえつつ紹介しました。 なお、この応用編の講義では、対象が土木工学を学ぶ学生であることを踏まえ、技術の詳細を解説することよりも、現在のダム事業や技術のトピックスを平易に伝えることに留意しました。

 最後に「土木研究所の組織・研究概要」の説明では、土木研究所の組織概要と今中長期における研究開発プログラムの概要、研究開発の成果の概要および研究成果の最大化を図るための 取組(技術支援、設計基準等への貢献、講演会・セミナー等の開催、国際貢献、共同研究など)の概要について紹介しました。 また、新規採用職員の採用方式の変更についても説明しました。一連の講義の内容や、採用方式の変更について、 参加した学生に伝わり、彼らの中から土木研究所を受験してくれる人が出てくることを期待しています。

 参加者の集合写真を写真2に示します。

1:一般社団法人ダム工学会HP:http://www.jsde.jp/index.html

2:国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所HP:http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/

3:一般財団法人ダム技術センターのHP:
http://www.jdec.or.jp/02project_outline/02_research_and_development/06rationalization.html

写真1 講義の状況
写真1 講義の状況
写真2 参加者の集合写真
写真2 参加者の集合写真