国立研究開発法人 土木研究所

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東北地方整備局のダム関係技術職員の技術力向上を支援-第13回 東北ダム技術検討会-

 平成30年11月1日(木)~2日(金)の2日間、国土交通省東北地方整備局のダム関係技術職員の技術力向上等を目的として設置されている「東北ダム技術検討会」の第13回会議が、 秋田県北秋田市の北秋田市民ふれあいプラザならびに森吉山ダムにおいて開催されました。 (写真-1)土木研究所はこれまで国土技術政策総合研究所とともに、国や地方自治体のダム建設・管理に関し技術的な支援を実施しており、 本検討会でも技術指針等の解説や新技術に関する情報提供、個別ダムの技術的課題に対する助言等を実施しています。

 今回の検討会には、佐々木地質研究監、箱石水工研究グループ長をはじめ、水理チーム、地質チームなどダムに関係する研究チームより合計8名が出席し、 水理チームの宮川主任研究員が「吸引管を用いたダムからの土砂供給技術に関する研究」という演題で講演を行いました。(写真-2)

 講演ではダムの長寿命化に必要な持続可能な堆砂対策技術として、現在、土木研究所で研究開発を進めている「潜行吸引式排砂管」を用いた下流への土砂供給についての紹介があり、 排砂にあたって①サイフォンの原理を利用するため動力が不要②簡易な施工で維持管理が容易③貯水位を下げるなどの運用変更が不要、といった本技術の特徴や実証試験の状況、実用化に向けた展望について解説しました。

 このほか東北地方整備局の建設・管理ダムから、各ダムにおける技術的な課題や今後の維持管理に向けた提案などに関する発表がなされ、 いずれも会場からは若手職員を中心に活発な質疑応答がなされるとともに、佐々木地質研究監および箱石水工研究グループ長から地質、水理に関する技術面からコメントを行いました。

 翌日には平成23年度に完成し、管理に移行した森吉山ダムを視察しました。森吉山ダムは米代川流域の治水・利水を目的に建設された多目的ダムで、 堤高89.9m、堤頂長786.0mのロックフィルダムです。今回の検討会では、放流設備やダム堤体内の管理設備、貯水池周辺斜面を見学するとともに、円滑かつ効率的なダム管理のために 建設段階でどのような点を留意すべきか、といった観点から意見交換がなされました。 (写真-3、写真-4)貯水池周辺斜面の見学では、佐々木地質研究監から斜面対策における技術的検討の経緯について補足説明を行いました。 (写真-5)そして、2日間にわたり東北地方整備局のダム関係技術職員と交流を深めた検討会の最後には参加者全員で写真撮影を行い、検討会は無事に終了しました。(写真-6)

 今後も継続的に本検討会に参加し、現場と課題を共有し、必要な情報提供や意見交換を行うことで国土交通省のダム技術者の技術力向上に貢献したいと考えています。

写真-1検討会開催状況 写真-2講演する宮川主任研究員
写真-1 検討会開催状況 写真-2 講演する宮川主任研究員
写真-3森吉山ダム概要説明 写真-4森吉山ダム現地見学
写真-3 森吉山ダム概要説明 写真-4 森吉山ダム現地見学
写真-5貯水池周辺斜面見学(佐々木地質研究監による説明) 写真-6検討会参加者
写真-5 貯水池周辺斜面見学
(佐々木地質研究監による説明)
写真-6 検討会参加者