国立研究開発法人 土木研究所

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山口嘉一理事らが土木構造物のメンテナンスに関する講演を実施しました

 平成30年11月12日(月)~16日(金)に、土木学会関西支部主催でメンテナンスエキスパート講習会(開催場所:土木学会関西支部会議室(大阪市)など)が開催されました。 土木研究所の研究者も講師として招待され、理事の山口嘉一が「ダム総合点検」、道路技術研究グループトンネルチーム上席研究員の日下敦が「都市トンネルの維持管理」、 技術推進本部先端技術チーム主任研究員の上野仁士が「河川構造物(機械設備)の維持管理」と題した講演を行いました。

 「ダム総合点検」の講演においては、ダムの堤体や基礎地盤等の土木構造物、機械設備、電気通信設備、 貯水池などの多くの関連施設・設備から構成されるダムの維持管理上の特徴や留意点について説明した後、 ダム施設の長期供用を目指した維持管理にために国土交通省により制度化された「ダム総合点検」について、平成25年に発刊された要領に従って詳細に解説しました。 さらに、総合点検から明らかにダムの維持管理における具体的な課題についても実例を示しながら紹介しました。 最後に、ダムの長寿命化を達成するための主要技術の一つとして技術として、ダム再生技術についても紹介して、講義を締めくくりました。

 「都市トンネルの維持管理」の講演においては、平成26年に発出された道路トンネルの定期点検要領に基づき、 道路トンネルの点検・診断の考え方の骨子を概括しました。それを踏まえ、都市部に多い開削トンネルやシールドトンネル、 加えてカルバートにおける点検の着目点などについて、具体的な変状事例の紹介を交えて概説しました。 道路トンネルの維持管理を行うにあたっては、構造の安定性と利用者の安全性を確保することが主な着眼点となりますが、 今回の講演においては、とくに都市トンネルの構造特性を踏まえた維持管理における留意点を聴講者に理解していただけたものと考えています。

 また、河川水門や排水機場ポンプ設備等の機械設備は、 社会活動や生命財産を洪水被害から守る重要な社会インフラですが、老朽化と維持管理予算の低下から、より効率的・効果的な維持管理が求められています。 そこで、「河川構造物(機械設備)の維持管理」の講演においては、これら機械設備の種類や基本的な構造を説明し、その後、設備維持管理の基本事項や土木研究所で研究を進めているマネジメント技術、 設備の劣化具合の診断技術について概説しました。受講された方々は河川工学が専門であっても、機械設備に関してはなじみがない方もいらっしゃったかと思います。 そのうえ1時間20分の予定がカリキュラムの都合上急遽2時間の講義となりましたが、受講者の方々には熱心に聞いていただけたかと思います。

 これらの講演を通じて、土木研究所も、全国から寄せられる維持管理に関する技術相談をもとにした最新の動向を紹介する場を持つことができたことに加え、 維持管理に精通した人材の育成に資する社会的な貢献ができたものと考えています。