国立研究開発法人 土木研究所

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年頭のご挨拶

国立研究開発法人土木研究所 理事長 西川 和廣

 

国立研究開発法人土木研究所理事長西川和廣

 新年明けましておめでとうございます。
 オリンピックイヤーとして始まった2020年でしたが、年明けから新型コロナウイルスの感染が拡大し、4月には全国的に緊急事態宣言が発出されるなど、土木研究所においても出勤や出張の制限を余儀なくされる事態となりました。 その結果、国民の生活スタイルに大きな影響を与えたことに加え、在宅勤務やWeb会議をはじめとした非接触・リモート型勤務への転換など、働き方の変化が強制的に進められることになりました。 土木研究所では、これをいずれ必要となる働き方改革への契機と捉え、様々な条件の整備を進めているところです。

 さて、令和3年度は、平成28年度から取組んできた第4期中長期計画最終年度にあたります。 6年間の研究成果を技術論文や報告書等として着実に発表していくことはもちろんのこと、技術基準等への反映や、現場への技術指導等を通じて社会に還元するなど、 土木研究所の最重要ミッションとして、研究成果の社会実装を進め、広く普及させることを常に念頭に置きながら、しっかりとこの第4期中長期計画の成果をとりまとめ、周知に努めてまいります。

 同時に、令和3年度は次期中長期計画の策定を行う年に当たり、既にそのための準備を進めているところであります。 現在、国を挙げてDX デジタルトランスフォーメーションを技術政策の柱として推進していますが、まさに、土木研究所としても次の中長期計画の中心課題として取り組むべき課題だと考えております。

 経済産業省のガイダンスによれば、デジタルトランスフォーメーションとは、『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、 製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』とあります。

 「データとデジタル技術」はもちろんのこと、「ビジネスモデルを変革する」ほど、仕事の仕方が変わるような技術開発が求められているのだと考えます。 これまでのように、デジタル技術の活用により仕事を効率化するというレベルでは、急速に進む少子化による次世代の担い手不足には対応できません。これまでとは次元の異なる発想で技術開発に取り組む必要があります。

 今年の3月で東日本大震災の発生から10年を迎えることになります。今後想定される巨大地震災害や近年激甚化する洪水・土砂災害などの防災・減災対策のほか、 社会インフラの老朽化に対する長寿命化対策などの効率的な維持管理技術の開発等、これらの土木技術の研究開発のニーズはより一層高まっていることから、 土木研究所としてもこれらのトランスフォーメーションの実現を目指した研究開発を着実に進めてまいります。

 今後とも土木技術に対する社会的要請、国民のニーズ及び国際情勢の変化を的確に受け止め、国立研究開発法人のメリットが最大限活かされるような活動を続けたいと考えています。

 引き続き皆様のご支援、ご協力をお願いし、本年が良い年でありますことを祈念して新年のご挨拶といたします。