国立研究開発法人 土木研究所

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年頭のご挨拶

国立研究開発法人土木研究所 理事長 西川 和廣

 

国立研究開発法人土木研究所理事長西川和廣

 新年明けましておめでとうございます。

 先行きが見えなかった2021年でしたが、心配されていた東京オリンピック・パラリンピックも変則的ながら、大きな混乱もなく無事開催され、我が国のアスリート達のめざましい活躍を目の当たりにすることができたことは、一筋の僥倖でした。

 土木研究所では、感染症対策としてのテレワークやウェブ会議などの対応について、将来の働き方改革への布石として前向きに取り組んで参りました。 また、人が集まる会議や講演会などには様々な制約が課されてきましたが、最大限の対策を講じながら、研究成果の情報発信に努めて参りました。とくに各種講演会では、人数制限を行う中、参加頂いた皆様の新しい技術に対する熱意を感じることが出来ました。

 また、業務上の対応として、ドローンによる画像情報の取得と3DCIM作成技術による、地すべりなど自然災害に対するリモート対応など、3次元データの活用によるいわゆるDXデジタルトランスフォーメーションが既に走り出しています。

 土木研究所では、平成28年度に始まった第4次中長期計画期間がこの3月で終わり、4月から新たな中長期計画期間に入ります。 昨年来、次期中長期に向けて所を挙げて議論を続けて参りましたが、先日国土交通省の国立研究開発法人審議会から、第5期中長期目標についての大筋のご了解をいただいたところです。 引き続き新しい中長期計画を策定することになりますが、現在、以下の大きな3つの柱を中心に検討を進めています。 ①自然災害からいのちと暮らしを守る国土づくりへの貢献、②スマートで持続可能な社会資本の管理、③活力ある魅力的な地域・生活への貢献です。 自然災害に対して安全が確保された国土に、効率的なインフラが整備されかつしっかりと管理されていて、住み心地のよい魅力的な環境を維持すること、を理想として描いています。

 しかし、懸念される大規模地震や気候変動による水災害の激甚化、そして膨大なインフラの老朽化に備えなければならないという重い課題に対し、急速に進む生産年齢人口の減少という、厳しい条件の下での解決策を見出さなければなりません。 これに対処するためには、いわゆるDX、発展を続けるデータ・デジタル技術を最大限活用し、トランスフォーム、すなわち仕事の仕方、あり方を根底から見直すことが必須になってくるものと考えています。

 さて、令和4年度は、大正11年9月、土木研究所の前身である内務省土木試験所が創設されてから100周年を迎えます。 この時期は全国の主要な河川事務所が次々と創設された時期に当たり、我が国の近代的な治水事業が始まったことと符合します。この時代の土木研究所は、我が国の土木技術の基礎を積み上げ、事業の推進に寄与して来ました。 一方、昭和30年前後からは、道路網造りが急ピッチで進められることになりますが、これが戦後の高度経済成長を支えてきたことはいうまでもありません。

 100年の間、土木研究所は常に時代が必要とする技術開発に取り組み、研究成果を提供し続けてきました。 これからも、社会構造の変化に柔軟に対応し、土木分野の研究開発を通じて我が国のさらなる発展に貢献して行きたいと考えております。

 今後とも土木技術に対する社会的要請、国民のニーズ及び国際情勢の変化を的確に受け止め、国立研究開発法人のメリットが最大限活かされるような活動を続けたいと考えています。

 引き続き皆様のご支援、ご協力をお願いし、本年が良い年でありますことを祈念して新年のご挨拶といたします。