国立研究開発法人 土木研究所

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年頭のご挨拶

 

国立研究開発法人土木研究所理事長藤田光一

新しい年~令和8年を迎えました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和7年は、令和6年能登半島地震や能登半島豪雨による災害からの被災地復旧・復興が本格化する中で、土木技術面では被災インフラの復旧と再構築が中心的関心事であり続けた一年でした。また、令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、目に見えない地下のインフラが、私たちが普段当たり前のこととしている日常の安全と効率的な活動を支え、であるがゆえに、ひとたびその機能に障害が起こると重大な事故や影響が生じうることを、そして、インフラを賢くマネジメントすることの重要性を、改めて我々に強く認識させるものでした。

土木研究所は、激甚化する自然災害への備えとともに、老朽化等に起因するインフラの機能低下・不全への先取り対応に貢献する研究開発に取り組みながら、災害に強く、強靱で回復力を備えた国土・地域の実現に向け、土木技術を高め普及することを引き続き柱の一つにして取り組んで参ります。

さて、土木研究所 経営会議(総括者:理事長)は、令和6年2月に、「土木研究所の存在意義と目標像」を策定しました。以下の3枚の図は、そのエッセンスを表したものです。所内では “パーパス”と通称されることになるこの文書は、策定後すぐに、以下の趣旨とともに全職員に届けられました。

  • 土木研究所の全体を対象にし、土研を前進させていく旗印 そして羅針盤になるもの
  • 抽象的・一般的過ぎず、 “箸の上げ下ろし”まで指示するものでもなく、普段の取り組みの基本を示すもの。
  • 実質性を重んじる(格式や格調の高さよりは)。
  • 「基本」の提示であるから、各部署の特質に発する取り組みを画一的に縛るものとはしない。
  • これを軸に、各部署そして各人が「何をどう実行するか?」を考え議論し、より良い取り組みが湧き出るようになること、それが継続発展するようになることをねらう。
  • そして、その良い取り組みの実践に必要となる所全体としての取り組みが、充実した議論を通じて着々となされていくようになることをねらう。
  • 時間スケールは、まずはこれから10年程度で、時とともに進化させることも十分ありうる。

この「存在意義と目標像」は、その後、・今土木研究所で活躍している職員~特に入って年数が浅い職員の育成やモチベーションの醸成に、ひいては、・各研究者が持つ「専門性追究」の志と土木研究所が果たすべき任務の中核にある「公益性追求」とを融合させる道筋を見出すことに、・新たに当研究所の職員になることを希望される方への投げかけに、・災害時の技術支援における土木研究所の基本スタンスの議論に、・研究の活性化と研究者の成長につながる研究ミーティングや研究評価のあり方検討に、・交流研究員や専門研究員などの形で一定期間土木研究所において当所職員との協働を通じて活躍いただいている方との認識共有やさらなる効果発現法の議論に、・分野縦割りにとどめずインフラに関わる各分野の技術が総合性を発揮して地域を全体的に良くする構図を創り出す方途の議論に、そして、・土木研究所の運営のあり方についての様々な局面での建設的かつ率直な議論の基盤として、生かされるようになっています。

このような取り組みを通じてもやはり明らかなのは、研究所の活動の原動力が人であるということです。中核をなすのは土木研究所所属の研究者ですが、それにとどまりません。知恵や情報を交わらせ化学反応を起こす、協働して創り上げる、技術支援や研修を受ける、一緒に現場課題や災害への対処法を見いだす、糾合された専門家がプロジェクトを遂行するなどの機会を通じて、様々な方々が色々な形で土木研究所とつながりを持って活動されており、それは国際的にも広がっています。土木技術の本質を理解し、次々と興ってくる技術や知見を見極めつつ貪欲に吸収しながら次代を切り開く人たちの輩出が強く望まれる今、研究者や技術者が刺激を受け、触発され、あるいは成長の糧を得て、様々に大きくなれる場としても、土木研究所はその使命を果たしていきます。今後とも、どうぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。

令和8年1月

国立研究開発法人土木研究所 理事長 藤田 光一