2018年7月豪雨は西日本の多くの地域に観測史上最大の降雨をもたらし、道路閉塞等の交通支障,停電・断水等のライフライン支障,物流途絶等の広域への影響をもたらした。
2018年9月の台風21号は、高潮により関西空港に甚大な被害を引き起こすとともに、沿岸地域の浸水や暴風・空港及び港湾の機能停止に伴う広域への影響をもたらした。
上記の2災害は、近年の水災害において稀にみる広域災害と言えるが、今後の気候変動を踏まえると、このような広域に影響を及ぼす水災害の更なる発生に備える必要がある。
国土交通省では、近年多発する水関連災害に対して「逃げ遅れゼロ」及び「社会経済被害の最小化」の実現を目指している。このためには、社会経済被害を事前に高精度に推計し、適切な事前対策を講じておく必要があるが、過去の広域水害の事例は限られており、地域経済への影響の実態把握はまだ十分とは言えない。
本研究では、今後の広域水害の影響評価に向けて、統計データ分析及び事業所への調査を通じて、2018年の2事例を含む過去の水災害における広域経済活動の途絶や回復状況を明らかにし、これらの影響のメカニズムを分析する。
令和元年度~3年度
上席研究員 | 藤兼 雅和 |
主任研究員 | 大原 美保 |