センター長からのメッセージ

大規模広域豪雨災害に対する多層的な対策

 1958年以降で最大の水蒸気収束が2018年7月初旬に西日本を中心に記録されました。その結果、24~72時間の長時間豪雨の記録が各所で更新され、破堤・溢水による浸水、土石流、都市部での内水氾濫等の災害が発生しました。また、本川と支川の合流部におけるバックウォーター現象や、土砂と洪水が同時に氾濫する土砂・洪水氾濫等の複合的な要因による水災害が発生しました。さらに、8ダムにおいて洪水調節容量を使い切り、異常洪水時防災操作に移行せざるを得ない事態となりました。このとき、放流情報等が避難に活用されていない地域があったことも新たな課題となりました。これらの結果、死者行方不明が232名にも及ぶ大災害となり、経済活動等においても甚大な被害が生じました。なお、一つの災害で200名を超える犠牲者が出たのは1982年以来のことでした。

 これらの特徴や課題を整理して、対策における基本的な考え方に基づいて速やかに実施すべき事項を取りまとめて、2018年12月13日、社会資本整備審議会より国土交通大臣に答申させて頂きました。答申では、一人ひとりが主体的に避難できる地域社会を目指して、マスメディアや通信の民間事業者等の協力を得て、災害、リスク、避難の情報の内容や発信方法を充実させて、自助、共助を支援するための仕組みづくりに取り組むこととしております。また複合災害や施設能力を超える災害外力に対する社会資本整備の在り方や、復旧・復興を迅速化する取組や災害リスクへの配慮を推進する方策についても提言しています。このように多層的な取り組みを一体感を持って進めていかなければなりません。

 気候が変化して経験を超える災害外力が頻繁に発生する一方で、少子高齢化により社会が脆弱化しています。多様化している価値観と需要に配慮しつつ、長期的な展望に基づいて、災害に対する人々の行動の変容を促し、災害リスクを軽減できる社会資本の整備を粘り強く進めていかなければなりません。

2019年1月31日
水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM) センター長
小池 俊雄