情報ネットワーク活動

ICHARMで行っている情報ネットワーク活動


  「情報ネットワーク活動」においては、世界の研究者ネットワークを維持強化し、世界の大規模水災害に関する情報・経験の収集・解析・提供につなげると共に、国際洪水イニシアチブ(IFI)や台風委員会、アジア水循環イニシアチブ(AWCI)などの国際的ネットワークの運営、および主要な国際会議での発信を通じて、世界の防災の主流化に取り組んでいます。

国際洪水イニシアチブ(IFI)

  国際洪水イニシアチブ (International Flood Initiative: IFI)はユネスコ、世界気象機関、国連大学、国連国際防災戦略などの国際機関が世界の洪水管理推進のために協力する枠組みで、ICHARMは、IFIの事務局を担当しています。

  2016年10月31日には、第8回水と災害に関するハイレベルパネル(HELP)会合に先立って、IFIサイドイベントを開催し、2022年までの実施戦略と行動枠組みに関して議論しました。その中で、洪水リスク軽減と持続可能な開発を強固にするための学際的な協力に向けた「ジャカルタ宣言」が採択されました。これを受け、 IFIパートナーと協働しながら、水災害リスクの軽減を目的とした「水と災害に関するプラットフォーム」の構築のための活動に取り組んでいます。まずはアジア太平洋地域であるフィリピン、スリランカ、ミャンマー、パキスタンから開始しており、今後さらに拡大していく予定です。

  IFIの活動の詳細は、以下IFIホームページをご覧ください。
http://www.ifi-home.info/

スリランカにおけるプラットフォームに関する会議の参加者 (2017年8月24日)
フィリピンにおける水のレジリエンスと災害に関するプラットフォーム全体会合の参加者(2023年7月3日)

台風委員会

  台風委員会は、アジア太平洋地域における台風の人的・物的被害を最小化するための計画と履行の方策を促進・調整するために1968年に設置された政府共同体です。そのメンバーは東・東南アジアの14の国と地域の政府組織で構成され、気象部会(WGM)、水文部会(WGH)、災害リスク削減部会(WGDRR)、研修・研究調整部会に分かれて活動を行うとともに、統合部会、総会が開催されます。
(詳細は台風委員会ホームページ(https://www.typhooncommittee.org/)参照)

  水文部会は、ICHARMの主任研究員が部会長を務め、国土交通省とともに水文部会の議論をリードしています。

  なお、ICHARMは、2021年2月23~25日にオンラインで開催された第53回総会において、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び一般社団法人国際建設技術協会(IDI)との共同により、台風委員会の使命及びビジョンの遂行に顕著な功績のあった組織に授与される賞である2020年キンタナール賞を受賞しました。
 ※キンタナール賞について(台風委員会ホームページ)
  https://www.typhooncommittee.org/rules-and-procedures-of-dr-kintanar-award/
 ※「2020年キンタナール賞の受賞に寄せて」(ICHARM Newsletter Vol. 60)
  https://www.pwri.go.jp/icharm/publication/newsletter/pdf/icharm_newsletter_issue60.pdf#page=19


<最近の主な活動(ICHARMニュースレターから)>
台風委員会における第18回統合部会および第4回研修・研究調整部会フォーラムへの参加
  2023年11月28日から12月1日にかけて、台風委員会の第4回研修・研究調整部会(TRCG) フォーラムおよび第18回統合部会(IWS)が、タイ・バンコクの国連会議センター(UNCC)で開催されました。期間中は、台風委員会の4つの部会(気象(WGM)、水文(WGH)、 災害リスク削減(WGDRR)、研修・ 研究調整)が一堂に会し、TRCGフォーラムでは台風関連研究の基調講演や技術発表が実施され、統合部会では各部会のメンバーが議論したAOP(Annual Operation Plan)の進捗や運営計画などについて報告がなされ、各議題について台風委員会全体で議論されました。
https://www.pwri.go.jp/icharm/publication/newsletter/pdf/icharm_newsletter_issue71.pdf#page=21

第18回統合部会全体写真
水文部会 全体写真

アジア水循環イニシアティブ(AWCI)

  現在、グローバル化、人口増加、貧困、都市化、土地利用の変化などの人的要因によって、気候、水文、気象災害の悪影響が引き起こされています。極端な気象現象は、脆弱な地域に住む人々が直面する水関連災害のリスクも高めます。先進国と開発途上国の両方で損失が増加しており、この相互につながった世界では、一つの現象の影響は即座に国境を越え、その現象から遠く離れた地域であっても連鎖的な影響をもたらす可能性があります。繰り返し起こる災害は、脆弱な地域の持続可能な開発を妨げています。AWCI(アジア水循環イニシアティブ)は、AOGEO(アジア・オセアニア地球観測グループ)のタスクグループ(TG1)の一つとして、このようなアジアの水問題の解決に向けた総合的な取り組みを推進することを目的としています。

AWCIの活動の詳細は、以下AWCIホームページをご覧ください。
http://www.ifi-home.info/awci/index.html

オーストラリア キャンベラでのセッション (2019年2月2日~4日)

主要な国際会議での発信

  ICHARMは、主要な国際会議におけるセッションやサイドイベントなどを開催し、水関連災害リスク管理の実例と知見の共有により、具体的な協働と連携を支援し、防災の主流化に取り組んでいます。

2023年度
  2023年度には、ユネスコ主催で開催された国際会議 「Climate Risk, Vulnerability and Resilience Building」(4月19日~21日)においてサイドイベント「Crosscutting Research on Hydrological Systems, Rivers, Climate Risk and Water-Food-Energy Nexus」を開催しました。議論の結果、5つのカテゴリー2センターの協力により、水を通した分野横断的・統合的な多国間協力の推進を目指し、アフリカを対象とした共同研究を実施することで合意しました。
 会議の報告は、下記リンクからご覧ください。
 1.「Crosscutting Research on Hydrological Systems, Rivers, Climate Risk and Water-Food-Energy Nexus」

2022年度



  2022年度には、「第4回アジア・太平洋水サミット(APWS4)」、「第9回洪水管理国際会議(ICFM9)」、「国連水会議2023」といった主要な国際会議やその分科会等を主催しました。それらを通じ、ICHARMが推進してきた「水循環の知の統合の促進」、「ファシリテータの育成」、「End-to-Endのアプローチ」の概念を、ICHARMの具体的な研究成果・取組成果とともに世界に発信しました。
  各会議の報告は、下記リンクからご覧ください。

  1.第4回アジア・太平洋水サミット(APWS4)
  2.第9回洪水管理国際会議(ICFM9)
  3.国連水会議2023