2007年10月30日から2007年11月29日にかけて第4回東・東南アジア地域別「洪水ハザードマップ作成」コースを国際協力機構(JICA)の協力によりICHARMにて実施しました。本研修は、インドネシア、マレーシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ラオス、中国、ベトナム、スリランカの研修生(母国では洪水管理を担当する公的機関で働く技術者(計20名))を対象としています。
本研修では、洪水ハザードマップ作成・普及に関する技術や日本のノウハウを学び、母国において洪水ハザードマップ作成・普及に関わる業務に携わる人材を育成することを目的としています。
研修カリキュラムは主に講義、演習、現地調査、グループディスカッションに分類されており、各カリキュラムの概要は以下のとおりです。
<講義>:
日本や世界における洪水の現状や洪水ハザードマップの現状を事例紹介という形で学習しました。また、洪水ハザードマップ作成に必要なデータ取得のための最新技術についても学習しました。さらに、防災教育や総合防災対策などの総合的な分野についても学習しました。
<演習>:
洪水ハザードマップ作成に必要な流出解析や氾濫解析、GISの技術を習得するため、タンクモデル、貯留関数法を用いた流出解析演習、ソフトウェアを用いた氾濫解析演習、GIS演習を行いました。
<現地調査>:
地方自治体の協力のもと、研修生自身が洪水ハザードマップを持って街を歩き、住民へのインタビューを行うことにより危険箇所の指摘やマップの有効性、住民の意識などを認識する「タウンウォッチング」を行いました。
<グループ・ディスカッション>:
タウンウォッチング終了後に各班で調査エリアの問題点の整理や解決策の提案等について議論を行い、対象エリアの防災体制や現状の洪水ハザードマップに対する改善案の提案を行いました。
第4回目となる今回の研修では、前回までの研修の反省点や研修生からの意見を参考に、研修内容の更なる改善を行いました。特に、演習とタウンウォッチングの分量を増やし、内容もより効果的になるように改良を加えました。
研修の最後に、各研修生がサンプルデータと現地調査の結果を用いて各自で氾濫シミュレーションを行い、洪水ハザードマップを自分達で作成しました。この演習により、研修生が帰国後に母国の洪水危険エリアのデータを用いて洪水ハザードマップを作成するための技術を身に付けることが出来ました。また、研修の最後には、母国においてどのように洪水ハザードマップ作成・普及を進めていくかというアクションプランを国ごとに作成しました。