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「洪水ハザードマップ作成」研修・フォローアップセミナー

Flood Hazard Mapping 2008

洪水ハザードマップ研修実施の報告

ICHARMは、2008年10月28日から11月28日にわたり、JICA研修「第5回東・東南アジア洪水ハザードマップ作成」を実施しました。この研修は5カ年計画で実施しており、今年が最終年となります。

本研修の対象者は、毎年のように洪水被害に悩まされている東南アジア地域の国々の、洪水及び河川管理に携わる公的機関に属する技官及び行政官です。今年は中国、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムから計10名が参加しました。また、現在ICHARMが実施中の修士課程「防災政策プログラム 水災害リスクマネジメントコース」の学生も併せて、総勢18名が本研修に参加しました。

5週間にわたる本研修は、主に講義、演習、現地見学、ディスカッションから構成されています。

講義:ICHARMを含む土木研究所の研究員をはじめ、大学教授、UNESCO-IHE教授、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などから講師をお招きし、ハザードマップに関する日本の法制度や地域防災計画、防災教育、人工衛星データの最新技術や災害時の人間行動についての講義を行いました。

また、現地見学先である三重県伊勢市においては、以前に三重県危機管理部門の担当であった亀井副市長から地域防災力の向上に関する講義を受けるとともに、伊勢市大湊地区において大湊小学校の教頭先生や大湊振興会長から防災への取り組みを直接お話し頂けました。研修生は、日本の防災の基本である「自助」「共助」「公助」の考え方が住民組織に深く浸透していることを知って驚いていました。

田中上席研究員(ICHARM)による講義

オスティ専門研究員(ICHARM)による演習

演習:洪水ハザードマップ作成に必要な演習として、GIS演習と、洪水時の浸水想定区域図作成のために氾濫解析演習を行いました。研修の最後には、研修生が持参した自国のデータを用いて、各自のハザードマップを作成することが出来ました。

また、埼玉県栗橋町や三重県伊勢市において、研修生自身が洪水ハザードマップを持って街を歩き、住民へのインタビューを行うことにより危険箇所の指摘やマップの有効性、住民の意識などを認識する「タウンウォッチング」演習を行いました。特に、伊勢市においては、グループ毎に市役所職員に同行して頂くなど多大なご協力を頂きました。

研修生が作成したハザードマップ
(左:マレーシアからの研修生、右:カンボジアからの研修生)

栗橋町におけるタウンウォッチングの様子

栗橋町におけるタウンウォッチングの様子

大湊地区振興会長からのお話

大湊地区でのタウンウォッチングの様子

現地見学:日本の治水対策を学ぶため、国土交通省中部地方整備局 豊橋河川事務所・木曽川下流河川事務所・三重河川国道事務所の協力の下で現地見学を実施しました。今年は、豊川の霞堤や木曽川・揖斐川・長良川三川合流付近、並びに宮川の洪水対策事業の見学を行いました。宮川に接する伊勢市円座地区においては、2004年の洪水時にいかに自治会が活動を行ったかについて自治会長からお話しを伺いました。また、コミュニティの重要性や災害を通じてその結束が強まったことなど、貴重なお話しを聞くことが出来ました。

豊橋市役所での霞堤説明

木曽三川公園での事業概要説明

伊勢市辻久留地区での宮川事業概要説明

伊勢市円座地区でのヒアリング

説明に聞き入る研修員

ディスカッション:タウンウォッチングから学んだことや、ハザードマップの作成・活用方法について、グループ毎にディスカッションを行い、発表を行いました。

各グループでのディスカッション及び発表の様子

研修の最終成果として、研修生は帰国後に各地域においてハザードマップを活用した洪水対策を行うためのアクションプランを作成し発表を行いました。帰国後、各自が所属する組織にて報告が行われることになっています。

発表風景

研修員には、本研修で身につけたハザードマップに関する知識や技術を自国の所属組織で共有し、ハザードマップの作成・普及に役立てるだけでなく、ハザードマップ作成が法律化されていない国においてもハザードマップの意義を理解し、ハザードマップ普及のための活動を始めることが求められます。

閉校式にて集合写真

本研修は今年が最後年であり、来年度からは新たに「洪水ハザードマップを活用した地域防災計画」と題し、防災担当の組織を対象に、ハザードマップと予警報を組み合わせた洪水対策の研修を3年計画で行う予定です。

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